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第2話 定年前に追い出される
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「さあさあ、一杯どうぞ」
『うむ、いつもすまんな』
俺の僧衣の袖には、ウイスキーのミニボトルと、二個のショットグラスを仕込んである。
それもこれも、何処へ行くにも俺の隣に付いて来る、尻尾が7本もある白毛の化け狐が酒好きで、頻繁に酒を飲ませろと言ってくるからだ。
決して俺が飲みたいから持ち歩いているのではない。
それならどうしてショットグラスが二つあるのかって?
俺が飲むからに決まってんだろ。
『我は自分から酒を所望した事は無いぞ。
お主が一人で飲んでも旨くないと言うから付き合ってやっているのだろうが』
「じゃあ全部俺が飲んでも構わんな?俺の取り分が増えて助かるぜ」
『我の酒に手を付ける者はお主であっても万死に値する!』
化け狐は体勢を低くして尻尾を高く掲げ、今にも襲ってきそうな勢いで威嚇をする。
「おーこわ。俺もお前も酒を飲みたい。
飲むなら一人で飲むよりも飲み仲間と飲んだ方が旨い。
そういう事でどうだ?」
『うむ、まあ良いだろう。さっさと酒を寄越せ』
やっぱり酒好きじゃねぇか。
結局ミニボトルでは足りずに、俺達は昼間っからフルボトルを一本開けた。
「おっと忘れてたぜ。馬鹿息子にブロンズ像を蘇らせるって啖呵きっちまったんだった」
『その像は既に表面が劣化しているだろう。我には蘇らせるなど不可能に思えるが』
「俺は勝てない勝負を挑む程の愚か者じゃねぇよ。酒の対価にお前もちょっと手伝え」
『まあ少しぐらいなら手伝ってやっても良いが』
化け狐の手を借りて、俺は小汚いブロンズ像を見事に蘇らせたのであった。
そして夕方。
「おいクソ親父。あんたまだ仏像磨いてんのか?
それとも遂にくたばったか?」
本堂のふすまが開き、馬鹿息子が入って来て、俺は静かに息を潜める。
きっと俺の完璧な仕事ぶりに、馬鹿息子も驚愕して腰を抜かす事だろう。
「クソ親父ー?どこだー?」
馬鹿息子が俺を探しているが、そんな事よりももっと早くに見るべき所があるだろう。
「クソ親父ー?ってお前なに仏像のコスプレして仏壇に座ってんだよ!
態々仏像退かして馬鹿かよ!
それは生きているかの様に蘇らせたんじゃ無くて、生きてるけど別物だわ!」
そこまでツッコんではぁはぁと息を切らす馬鹿息子。
俺は薄目を開けていた瞼を全開にして馬鹿息子を見やり。
「もう一声!」
ツッコミのおかわりを所望した所。
「もういいわ!定年待たずにとっとと出て行け!」
こうして俺は、予定よりも一足早く、寺から追放されたのであった。
因みに退かしたブロンズ像は、化け狐に頼んで後でこっそり戻しといてもらった。
世の理から外れた人外ってパワフルぅ。
『うむ、いつもすまんな』
俺の僧衣の袖には、ウイスキーのミニボトルと、二個のショットグラスを仕込んである。
それもこれも、何処へ行くにも俺の隣に付いて来る、尻尾が7本もある白毛の化け狐が酒好きで、頻繁に酒を飲ませろと言ってくるからだ。
決して俺が飲みたいから持ち歩いているのではない。
それならどうしてショットグラスが二つあるのかって?
俺が飲むからに決まってんだろ。
『我は自分から酒を所望した事は無いぞ。
お主が一人で飲んでも旨くないと言うから付き合ってやっているのだろうが』
「じゃあ全部俺が飲んでも構わんな?俺の取り分が増えて助かるぜ」
『我の酒に手を付ける者はお主であっても万死に値する!』
化け狐は体勢を低くして尻尾を高く掲げ、今にも襲ってきそうな勢いで威嚇をする。
「おーこわ。俺もお前も酒を飲みたい。
飲むなら一人で飲むよりも飲み仲間と飲んだ方が旨い。
そういう事でどうだ?」
『うむ、まあ良いだろう。さっさと酒を寄越せ』
やっぱり酒好きじゃねぇか。
結局ミニボトルでは足りずに、俺達は昼間っからフルボトルを一本開けた。
「おっと忘れてたぜ。馬鹿息子にブロンズ像を蘇らせるって啖呵きっちまったんだった」
『その像は既に表面が劣化しているだろう。我には蘇らせるなど不可能に思えるが』
「俺は勝てない勝負を挑む程の愚か者じゃねぇよ。酒の対価にお前もちょっと手伝え」
『まあ少しぐらいなら手伝ってやっても良いが』
化け狐の手を借りて、俺は小汚いブロンズ像を見事に蘇らせたのであった。
そして夕方。
「おいクソ親父。あんたまだ仏像磨いてんのか?
それとも遂にくたばったか?」
本堂のふすまが開き、馬鹿息子が入って来て、俺は静かに息を潜める。
きっと俺の完璧な仕事ぶりに、馬鹿息子も驚愕して腰を抜かす事だろう。
「クソ親父ー?どこだー?」
馬鹿息子が俺を探しているが、そんな事よりももっと早くに見るべき所があるだろう。
「クソ親父ー?ってお前なに仏像のコスプレして仏壇に座ってんだよ!
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「もう一声!」
ツッコミのおかわりを所望した所。
「もういいわ!定年待たずにとっとと出て行け!」
こうして俺は、予定よりも一足早く、寺から追放されたのであった。
因みに退かしたブロンズ像は、化け狐に頼んで後でこっそり戻しといてもらった。
世の理から外れた人外ってパワフルぅ。
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