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第3話 正義のヒーロー犬ですけど何か?
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「あー、どっかにエナドリ落ちてねぇかな」
エナドリ探して徘徊中。
スポドリとミネラルウォーターは落ちていたが、エナドリは見付からない。
エナドリが無ければ酒でも良いんだけど、どっかに落ちてねぇかな。
「お、コンビニのおっさん店長がJKと歩いてる。
あのおっさん鬼嫁がいんのによくやるわ。
、
、
、
すぐ後ろに」
「ぎゃぁぁぁああ!許してぇぇ!殺さないでぇぇ!」
好んで人死の現場を見たいとは思わなかったので背中を向けて立ち去った。
「エナドリー。エナドリー。次は終点、エナドリ駅です」
公道で電車ごっこをしている初老のおっさん連中に混ざって終点まで移動した。
おっさん達はこれから折り返し運転をするらしい。
幾つになっても同じ趣味を持つ仲間がいるってのは良いもんだ。
「お?なんか物騒な雰囲気だな。野次犬ろう」
児童向け公園の隅でランドセル背負ったガキ共が亀を取り囲んでマサイジャンプをしている。
どうやら虐めの現場に遭遇したらしい。
「やーいやーい!お前の母ちゃんでーべそ!」
マサイジャンプをしているガキの一人が、真ん中のガキに罵詈雑言を飛ばす。
他のガキ共は“え?あいつとこいつの母ちゃんってそういう関係なの?”って顔をしたが、どうやら心を無にして虐めに集中する腹積もりらしい。
これは見ておれんな。
「おい、ガキ共。その辺にしとけ」
「ああん?誰だてめぇ!俺のバックにはマサイの男がいんだぞこら!」
こいつガキのくせにマサイとつるんでんのかよ。
これは少しばかりやばいかもしれねぇな。
本当にマサイがいればの話だが。
まぁどうせガキの方便だろうから無視しちまって問題無いだろう。
「お前らが多勢に無勢で一人のガキを虐めてんのは、この正義のワンちゃんには見過ごせねぇわけよ」
「はん!犬っころがマサイに楯突くとは良い度胸だぜ!
お前ら、こいつを囲め!」
ガキ共が俺の周囲を取り囲んだ。
俺が本気を出せばガキが何人集まろうが相手にはならないが、マサイが出て来ると厄介だ。
ここは話し合いで平和的に解決するか。
「おいガキ共。お勉強の時間だぜ」
「はっ!今更時間稼ぎでもする気かよ。
ビビってんのか?犬っころ」
大人の話は聞いとくもんだぜ。
俺は犬だけど。
「まぁ聞けよ。お前ら狂犬病って知ってっか?」
「知る訳ねぇだろ!こちとら幼い小学生様だぞ!」
知らない事を誇るのは恥ずかしい事だぜ。
「知らねぇか。狂犬病ってのは犬が罹る病気でなぁ。
その病気に罹った犬に噛まれると、人間にも移る怖ろしい病気なんだよ」
「それがどうしたんだよ!」
「あ?どうして今、俺がそんな話をしてるかわかんねぇのか?お前らお子様だから仕方ねぇか。
いいか?狂犬病ってのは人にも移る病気なんだよ。その狂犬病の症状ってのは特殊でなぁ」
ガキ共をビビらす為に少しばかり間を置く。
狂犬病ってのは本当に怖ろしい病気だからな。
「な、、、何だよ」
「俺は狂犬病の犬に噛まれてこのザマだ」
「「「「「何ぃぃぃいい!?」」」」」
示し合わせたようなリアクションすんな。
お前らス〇ンド使いかよ。
「察しが良いみたいだな。狂犬病の犬に噛まれると人間にも感染する。
で、俺はどうだ?俺は実際に犬に噛まれてこの姿になっちまった。
もしも俺がお前らを噛んだらどうなると思う?」
ガキ共が言葉を失ってるな。
これならあと一押しで終わりだろう。
「この姿になる覚悟を持って俺と戦うか?ガキ共」
「に、逃げろ!」
俺のはったりにガキ共は恐れをなして逃げて行った。
ホッピングみたいにピョンピョン跳ねるよりも走った方が早くね?
「おう、ガキ。無事か?」
「ひぃ!狂犬病怖いぃ!」
さっきの会話を聞いてたのか半袖短パンの鼻垂れ坊主が尻を引き摺りながら後ずさる。
このガキ、助けてやったのに失礼な。
「あんなもん嘘に決まってんだろ。
俺は定期的に検査も受けてるし病気なんて一つも持って、、、あっ、、、持ってねぇよ」
「今の間が怖いぃぃ!」
ちょっとばかし会話にユーモラスなアクセントを加えただけだろうが。
「噛まねぇし噛んでも病気になったりしねぇから安心しろ。
ところでだ。俺はお前を虐めから助けてやった訳だよな」
「え?ああ、うん。そう、かな?」
何で疑問形なんだよ。
俺が助けたってのは明白だろうが。
「俺がお前をいじめっ子から助けてやった。
だからお前は俺に礼をする必要があるよな」
「え?うん。そう、かな?」
だから何で疑問形なんだよ。
否定しないだけマシだけどよ。
「そうだ。だから俺にエナドリ一本奢ってくれ。
それで今回の事は手打ちにしてやる」
これで俺は見事にエナドリをゲット出来て一件落着ってやつだな。
水戸の黄門だって助けた後には綺麗な女と遊んで良い思いしてんだろ?
知らねぇけど。
「ごめんお金は持ってないんだ。ガムならあるけど食べる?」
「食う」
ガキがフーセンガムをくれたから許してやった。
ガキの名前は愛莉と書いてラブリ。
苛められてる理由は絶対名前のせいだろこいつ。
エナドリ探して徘徊中。
スポドリとミネラルウォーターは落ちていたが、エナドリは見付からない。
エナドリが無ければ酒でも良いんだけど、どっかに落ちてねぇかな。
「お、コンビニのおっさん店長がJKと歩いてる。
あのおっさん鬼嫁がいんのによくやるわ。
、
、
、
すぐ後ろに」
「ぎゃぁぁぁああ!許してぇぇ!殺さないでぇぇ!」
好んで人死の現場を見たいとは思わなかったので背中を向けて立ち去った。
「エナドリー。エナドリー。次は終点、エナドリ駅です」
公道で電車ごっこをしている初老のおっさん連中に混ざって終点まで移動した。
おっさん達はこれから折り返し運転をするらしい。
幾つになっても同じ趣味を持つ仲間がいるってのは良いもんだ。
「お?なんか物騒な雰囲気だな。野次犬ろう」
児童向け公園の隅でランドセル背負ったガキ共が亀を取り囲んでマサイジャンプをしている。
どうやら虐めの現場に遭遇したらしい。
「やーいやーい!お前の母ちゃんでーべそ!」
マサイジャンプをしているガキの一人が、真ん中のガキに罵詈雑言を飛ばす。
他のガキ共は“え?あいつとこいつの母ちゃんってそういう関係なの?”って顔をしたが、どうやら心を無にして虐めに集中する腹積もりらしい。
これは見ておれんな。
「おい、ガキ共。その辺にしとけ」
「ああん?誰だてめぇ!俺のバックにはマサイの男がいんだぞこら!」
こいつガキのくせにマサイとつるんでんのかよ。
これは少しばかりやばいかもしれねぇな。
本当にマサイがいればの話だが。
まぁどうせガキの方便だろうから無視しちまって問題無いだろう。
「お前らが多勢に無勢で一人のガキを虐めてんのは、この正義のワンちゃんには見過ごせねぇわけよ」
「はん!犬っころがマサイに楯突くとは良い度胸だぜ!
お前ら、こいつを囲め!」
ガキ共が俺の周囲を取り囲んだ。
俺が本気を出せばガキが何人集まろうが相手にはならないが、マサイが出て来ると厄介だ。
ここは話し合いで平和的に解決するか。
「おいガキ共。お勉強の時間だぜ」
「はっ!今更時間稼ぎでもする気かよ。
ビビってんのか?犬っころ」
大人の話は聞いとくもんだぜ。
俺は犬だけど。
「まぁ聞けよ。お前ら狂犬病って知ってっか?」
「知る訳ねぇだろ!こちとら幼い小学生様だぞ!」
知らない事を誇るのは恥ずかしい事だぜ。
「知らねぇか。狂犬病ってのは犬が罹る病気でなぁ。
その病気に罹った犬に噛まれると、人間にも移る怖ろしい病気なんだよ」
「それがどうしたんだよ!」
「あ?どうして今、俺がそんな話をしてるかわかんねぇのか?お前らお子様だから仕方ねぇか。
いいか?狂犬病ってのは人にも移る病気なんだよ。その狂犬病の症状ってのは特殊でなぁ」
ガキ共をビビらす為に少しばかり間を置く。
狂犬病ってのは本当に怖ろしい病気だからな。
「な、、、何だよ」
「俺は狂犬病の犬に噛まれてこのザマだ」
「「「「「何ぃぃぃいい!?」」」」」
示し合わせたようなリアクションすんな。
お前らス〇ンド使いかよ。
「察しが良いみたいだな。狂犬病の犬に噛まれると人間にも感染する。
で、俺はどうだ?俺は実際に犬に噛まれてこの姿になっちまった。
もしも俺がお前らを噛んだらどうなると思う?」
ガキ共が言葉を失ってるな。
これならあと一押しで終わりだろう。
「この姿になる覚悟を持って俺と戦うか?ガキ共」
「に、逃げろ!」
俺のはったりにガキ共は恐れをなして逃げて行った。
ホッピングみたいにピョンピョン跳ねるよりも走った方が早くね?
「おう、ガキ。無事か?」
「ひぃ!狂犬病怖いぃ!」
さっきの会話を聞いてたのか半袖短パンの鼻垂れ坊主が尻を引き摺りながら後ずさる。
このガキ、助けてやったのに失礼な。
「あんなもん嘘に決まってんだろ。
俺は定期的に検査も受けてるし病気なんて一つも持って、、、あっ、、、持ってねぇよ」
「今の間が怖いぃぃ!」
ちょっとばかし会話にユーモラスなアクセントを加えただけだろうが。
「噛まねぇし噛んでも病気になったりしねぇから安心しろ。
ところでだ。俺はお前を虐めから助けてやった訳だよな」
「え?ああ、うん。そう、かな?」
何で疑問形なんだよ。
俺が助けたってのは明白だろうが。
「俺がお前をいじめっ子から助けてやった。
だからお前は俺に礼をする必要があるよな」
「え?うん。そう、かな?」
だから何で疑問形なんだよ。
否定しないだけマシだけどよ。
「そうだ。だから俺にエナドリ一本奢ってくれ。
それで今回の事は手打ちにしてやる」
これで俺は見事にエナドリをゲット出来て一件落着ってやつだな。
水戸の黄門だって助けた後には綺麗な女と遊んで良い思いしてんだろ?
知らねぇけど。
「ごめんお金は持ってないんだ。ガムならあるけど食べる?」
「食う」
ガキがフーセンガムをくれたから許してやった。
ガキの名前は愛莉と書いてラブリ。
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