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第1章 異世界で生活研修! って、日本に帰れますか?
8 小人のお店
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「この地域の服が欲しいです。オゥちゃんはどこで服を買ってるんですか?」
「小人達に作って貰ってるぞぉ、小人のお店は森の中にあるだぁ。
茶色のきのこは靴屋、赤色のきのこは服屋、黄色のきのこは工芸品屋なんだぁ。
森の中できのこを探して、欲しいものを紙に書き、そっと置いとくだぁ。
小人は恥ずかしがり屋だから、眠ってる間に来て、採寸して作ってくれるぞぉ。
部屋の棚などに、さりげなくミルクとクッキーを置いとくんだぁ。
材料を置いとくと、それを使って作ってもくれるぞぉ」
「サンタクッキーみたいですね。
そう言えばサンタを手伝う小人が居るって話を聞いた事があります。
良い子や悪い子を調べたり、プレゼントを作ったり、サンタと一緒に配るのを手伝ったりするって」
「ふ~ん、サンタ~?……俺ぁ知らねぇなぁ」
「明日、きのこを探しに行っても良いですか?」
「んだぁ、いいとも~! 一緒に行くだぁ」
「はい、お願いします」
翌日の午後、森に入り赤色きのこを探した。
相変わらずオゥちゃんは、迷うことなく道無き森の中をズンズンと進んでいく。
「オゥちゃん、もしかしてレーダーマップでも表示されてるんですかっ?!」
「んだぁなぁ、生まれ付きのパッシブスキルだぁ」
「えっ、……マジですか? 冗談だったんですけど!」
「旅人に教わった模範解答だぁ」
「もぅ、何処までがお約束何ですかぁ? レーダーマップは本当に有るんですぁ?」
「はぁはっはっは~。ホントにあるぞぅ、ユウちゃんも欲しいかぁ?
レーダーマップスキルは、感染病みたいに伝染るんだぁ。
接吻すれば伝染るかもだぁ」
オゥちゃんは、そう言って顔を近づけてきて、目を瞑った。
二丁目の人ですかっ!
「すいません、心の準備が出来るまで、とりあえず保留にして下さい」
「んだなぁ、いつでも言ってくれぇ。オラのファーストキッスは取っとくだぁ」
二丁目の童貞の人ですかっ!
「スキルはウイルスみたいな物だぁ。
パッシブスキルのウイルスは、常時発動していて活動してるからぁ、粘膜を接触すると、相手の体にスキルウイルスが入っていく事があるだぁ。
通常の魔法スキルウイルスは、集中と詠唱で活性化してから発動するからぁ、普段は大人しくて他人の体に入りにくいだぁ」
そんな話をしていると、もう赤いきのこを見つけた。
『小人さんへ、町の人が着ている様な服とズボンを作って下さい。ユウリ』
そう書いた紙を置き、袋に入れた自家製のクッキーを添えて置く。
「明日の朝が楽しみです」
「しーっ、だぁ!」
「はーいっ」
小声で答えた。
その夜は部屋の棚にミルクとクッキーと革と布を置いて寝た。
リズミカルで楽しげな歌を夢の中で聞きながら、朝まで熟睡した。
翌朝起きるとベッドの横に服とズボンが置かれていて、昨日きのこの前に置いた注文書に、
『ユウリ、ありがとう、ごちそうさま(小人ブランドマーク印)』
と、書き足してあった。
ちょっとメルヘンチックな服とズボンが、綺麗に畳まれてキャビネットに置いて有る。
「しまった、靴下も頼むんだったぁ。今度又、頼みに行こう」
朝食後の休憩時間。
オゥちゃんの家のリビングの壁には、大きな熊のなめし皮に書かれた地図がある。
色々な記号やマークが小さく書き込んであるのに気づいた。
全て手書きのようだが、日本語の書き込みもある事に気づく。
「オゥちゃん、日本語って解りますか?」
「なんだそれはぁ?」
「今喋っているのは何語ですか?」
「何語? 知らんなぁ。 オラの知る限り、みんなこの言葉を喋ってるぞぉ」
地図を良く見ると、地図の右下に小さく日本語が書いてある。
『パンがコンガリ焼けマシタ』
……コンガリ……マシタ?
研修所の所長さんっ! コンちゃんっ!!
「これ何て書いてあるか解りますか?」
「解らないが、見ていたらお腹が空いたな~(グキュウ~)」
さっき食べたばかりですけど、腹の中に子犬でも飼ってるんですかっ!
「これを書いた人を知ってますか?」
「んにゃあ、この地図は旅人から譲って貰ったんだぁ」
「この地図に書いてあるマークって何ですか?」
「それがぁ、其処に行っても何も無いんだぁ。只の山や森の中だなぁ」
「あぁ、この絵はたぶん薬草だぁ、そこにいっぱい生えいてたぞぅ」
「つるはしみたいな絵の下に小さくひらがなで『みすりる』って書いてあるけど」
「ミスリルは貴重な金属だぞぉ」
「掘りましたか?」
「掘らねえぇ、掘るとミスリルが有るのかぁ?」
「有るかも知れません」
「俺ぁ樵だぁ、木ぃ伐るだけだぁ。掘らねぇぞぅ」
とりあえず手書きで地図を写させて貰う。
「オートマッピング機能とレーダマップ表示が有れば良いのになぁ……」
普通の研修生は、地図を自作で作るしかないよねぇ。
どんどん地図を書いて、お弁当箱に入れて置けば良いかぁ……。
「小人達に作って貰ってるぞぉ、小人のお店は森の中にあるだぁ。
茶色のきのこは靴屋、赤色のきのこは服屋、黄色のきのこは工芸品屋なんだぁ。
森の中できのこを探して、欲しいものを紙に書き、そっと置いとくだぁ。
小人は恥ずかしがり屋だから、眠ってる間に来て、採寸して作ってくれるぞぉ。
部屋の棚などに、さりげなくミルクとクッキーを置いとくんだぁ。
材料を置いとくと、それを使って作ってもくれるぞぉ」
「サンタクッキーみたいですね。
そう言えばサンタを手伝う小人が居るって話を聞いた事があります。
良い子や悪い子を調べたり、プレゼントを作ったり、サンタと一緒に配るのを手伝ったりするって」
「ふ~ん、サンタ~?……俺ぁ知らねぇなぁ」
「明日、きのこを探しに行っても良いですか?」
「んだぁ、いいとも~! 一緒に行くだぁ」
「はい、お願いします」
翌日の午後、森に入り赤色きのこを探した。
相変わらずオゥちゃんは、迷うことなく道無き森の中をズンズンと進んでいく。
「オゥちゃん、もしかしてレーダーマップでも表示されてるんですかっ?!」
「んだぁなぁ、生まれ付きのパッシブスキルだぁ」
「えっ、……マジですか? 冗談だったんですけど!」
「旅人に教わった模範解答だぁ」
「もぅ、何処までがお約束何ですかぁ? レーダーマップは本当に有るんですぁ?」
「はぁはっはっは~。ホントにあるぞぅ、ユウちゃんも欲しいかぁ?
レーダーマップスキルは、感染病みたいに伝染るんだぁ。
接吻すれば伝染るかもだぁ」
オゥちゃんは、そう言って顔を近づけてきて、目を瞑った。
二丁目の人ですかっ!
「すいません、心の準備が出来るまで、とりあえず保留にして下さい」
「んだなぁ、いつでも言ってくれぇ。オラのファーストキッスは取っとくだぁ」
二丁目の童貞の人ですかっ!
「スキルはウイルスみたいな物だぁ。
パッシブスキルのウイルスは、常時発動していて活動してるからぁ、粘膜を接触すると、相手の体にスキルウイルスが入っていく事があるだぁ。
通常の魔法スキルウイルスは、集中と詠唱で活性化してから発動するからぁ、普段は大人しくて他人の体に入りにくいだぁ」
そんな話をしていると、もう赤いきのこを見つけた。
『小人さんへ、町の人が着ている様な服とズボンを作って下さい。ユウリ』
そう書いた紙を置き、袋に入れた自家製のクッキーを添えて置く。
「明日の朝が楽しみです」
「しーっ、だぁ!」
「はーいっ」
小声で答えた。
その夜は部屋の棚にミルクとクッキーと革と布を置いて寝た。
リズミカルで楽しげな歌を夢の中で聞きながら、朝まで熟睡した。
翌朝起きるとベッドの横に服とズボンが置かれていて、昨日きのこの前に置いた注文書に、
『ユウリ、ありがとう、ごちそうさま(小人ブランドマーク印)』
と、書き足してあった。
ちょっとメルヘンチックな服とズボンが、綺麗に畳まれてキャビネットに置いて有る。
「しまった、靴下も頼むんだったぁ。今度又、頼みに行こう」
朝食後の休憩時間。
オゥちゃんの家のリビングの壁には、大きな熊のなめし皮に書かれた地図がある。
色々な記号やマークが小さく書き込んであるのに気づいた。
全て手書きのようだが、日本語の書き込みもある事に気づく。
「オゥちゃん、日本語って解りますか?」
「なんだそれはぁ?」
「今喋っているのは何語ですか?」
「何語? 知らんなぁ。 オラの知る限り、みんなこの言葉を喋ってるぞぉ」
地図を良く見ると、地図の右下に小さく日本語が書いてある。
『パンがコンガリ焼けマシタ』
……コンガリ……マシタ?
研修所の所長さんっ! コンちゃんっ!!
「これ何て書いてあるか解りますか?」
「解らないが、見ていたらお腹が空いたな~(グキュウ~)」
さっき食べたばかりですけど、腹の中に子犬でも飼ってるんですかっ!
「これを書いた人を知ってますか?」
「んにゃあ、この地図は旅人から譲って貰ったんだぁ」
「この地図に書いてあるマークって何ですか?」
「それがぁ、其処に行っても何も無いんだぁ。只の山や森の中だなぁ」
「あぁ、この絵はたぶん薬草だぁ、そこにいっぱい生えいてたぞぅ」
「つるはしみたいな絵の下に小さくひらがなで『みすりる』って書いてあるけど」
「ミスリルは貴重な金属だぞぉ」
「掘りましたか?」
「掘らねえぇ、掘るとミスリルが有るのかぁ?」
「有るかも知れません」
「俺ぁ樵だぁ、木ぃ伐るだけだぁ。掘らねぇぞぅ」
とりあえず手書きで地図を写させて貰う。
「オートマッピング機能とレーダマップ表示が有れば良いのになぁ……」
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