94 / 100
第3章 魔族王国の迷子令嬢
94 領主アッコロカムイ
しおりを挟む
私達は捕虜となった領軍の兵士を、谷間に放置していく事にしました。
「千人もの捕虜を王都まで連れて行けないし、ノスロンドの街に戻しても意味がない、時間の無駄になるだけだ」
と、ジルベルトが言いました。
彼は指揮官のダリハリと副官だけを捕虜として、王都に連れて行く事にしたのです。
「すでに証拠書類があるのだから、2台の囚人護送車に乗れる人数だけ、重要な人物を連れて行くしかないのか……」
「あまりにも人数が多いから、苦渋の選択ってやつだな」
「兵士は上官の命令に従ってるだけかも知れないしね」
「ミレーヌ、ギルド長に経過報告のメッセージを送ってくれ」
「オッケー。【伝言鳩】!」
クルックゥ!
白い鳩がミレーヌの手の上に現れて、ミレーヌがメッセージを聞かせます。
バサバサバサバサ……
ミレーヌが両手でゆっくりと持ち上げると、鳩はノスロンド街の方角へと飛んで行きました。
「武器や防具は取り上げて、出来る限り収納して持っていこう。野盗になって通行人を襲うと困るからな」
「入りきらなかったら燃やしてしまおう」
私はインベントリの中に次々と捕虜の武具を収納しましたが、結局全て納めきってしまいました。
「えっ、お嬢ちゃん……千人分の武器鎧と輜重が全部収納出来たのかい?」
「はい」テヘペロ!
「う~ん、嬢ちゃんは一体何者なんだ!?」
「記憶喪失で分かりませ~ん……」
「それよりマリエルちゃん、MP残量に気を付けてね」
「はい、ミレーヌさん。今のところ問題ありませんので大丈夫です」
「そう……あんなに収納できる魔力量を持っているなんて、想像の斜め上をいってるわね」
『御嬢様は普通の女の子ですぅ。フンスッ』
アダモがドヤ顔で言いました。
「「「な訳あるかいっ!」」」
◇ ▲ ◇
領軍兵の襲撃から5日が経ちました。
馬車の中で、アダモは1年程前にサチコに言われた事をマリエルに告げます。
「アダモはアダマンタイト製だから、物質としてはダイヤモンドと並んで最強の硬度を誇るけど。魔族やアンデッドには、物理攻撃が効き難いからアダモの攻撃も通用しないかもしれないのよ。だから御嬢様にミスリル製の鉤爪とグローブとブーツ作って貰ったから、それを使いなさいね」
『は~い、サチコ様ぁ』
〇 ▼ 〇
『と、言う訳ですから御嬢様の収納の中に、アダモ用のミスリル装備があると思いますぅ』
「はい……あったわ。今出してみましょうか?」
『いいえ、この先で魔族が出た時にお願いしますぅ』
「リョウカ~イ」
ジルベルトはフト疑問を感じた。
「うん? 魔族が出る事は既定の事実なのか?」
『最後に親玉が現れるのは、筋書きのクライマックスなのですぅ』
「はぁあ?」
「アダモちゃん、それはサチコの本からの知識なのね?」
『はい、ミレーヌ様。それがお約束というものなのですぅ』
「そう……、お約束…なのね」
王都は『ウチウラ』と呼ばれる湾岸沿いの街道を、グルッと回った先にあるそうです。
「波が無く、穏やかな海ですね」
「湾に成ってるので、外海よりは静かね」
「日向を小魚が泳いでてキュンキュンするね」
「ここはウチウラ湾という所なのよ」
穏やかな陽気の中を馬車が進みつつ、女子達はそんな事を呑気に話していたのだが……。
ところが一転、俄かに黒雲がモクモクと沸き起こり、急に突風が吹き付けてきたのです。
嵐に成り波が岸に激しく打ち寄せます、街道まで波が押し寄せてきました。
やがて海からワラワラと、人の様な魔物が沢山這い上がってきたのです。
三叉戟を手にした半魚人達が、馬車の行く手を塞ぎました。
私達は急いで戦闘態勢を整え対応しましたが、風が強いので矢が真っすぐ飛びません。
ファイヤーボールやウインドカッターも風で押し流されて外れてしまいました。
そして、半魚人が馬車馬を三叉戟で突き刺そうと襲い掛かってきました。
「半魚人を【雷撃】!」
ピカッ、ズッドオオオオオンッ!
私の放った雷撃が、強風の中でも見事に半魚人を直撃して倒しました。真っ黒こげです。
「おっ! 魔物の体が濡れてるから、雷は効果があるぞ!」
「よし、接近戦で各個撃破しよう」
「「「オオゥ!」」」
半魚人のレベルは、それほど高くなかったようです。
A級冒険者達の剣や槍での物理攻撃で、バタバタと倒れていきました。
アダモもミスリル装備を試すかの様に、皆と一緒に戦っていました。
そろそろ半魚人が全滅するかと見えた時、突然海が赤く大きく盛り上がりました。
そして巨大なタコの魔物が、ウネウネと足をくねらせながら海岸に這い上がってきたのです。
『ここで全員、絞め殺してくれるわぁぁっ!』
領主のアッコロカムイはタコの姿の上級魔族でした。
真っ赤な胴体が10メートルぐらいで、足は20メートルもありそうです。
ミレーヌとリーゼが不意を突かれて、長い脚に絡め取られてしまいました。
「大変だ、この状態で魔法攻撃をしたら、2人とも巻き添えになってしまうぞ!」
「アッコロカムイを【石化】!」
私は石化の魔法を試みました。
ピッシャァァァンッ!
「【石化】が弾かれて効かないわっ! よ~し、それなら……アッコロカムイを【ブラインド】!」
ピッキイイイイイイイイイインッ!
『ゥガアアッ、目が見えぬぅぅぅっ! 小癪な小娘がぁぁぁっ!』
(【ブラインド】は女神エイルから直接授けられたスキルなので、通常のスキルよりも強力でした。もちろん記憶喪失のマリエルは、そのことを覚えていませんが)
「今だ! 接近して攻撃するんだ。図体が大きいから、近づけば矢も魔法も当たるぞ!」
「「「オオゥ!」」」
『アダモキィィィック!』
ドッガアアアアアンッ!
『グギャアアアッ!』
「アダモアイアンクローッ!」
ズッシャアアアアアッ!
『ヒギャアアアッ!」
ミスリルを装着したアダモの攻撃でアッコロカムイが怯んだところを、ジルベルトとマッシュが両手剣で足を切って、ミレーヌとリーゼを助け出しました。
『ウヌゥッ、小癪なぁぁ。いでよ、シーサーペント!』
バッシャアアアアアアアアアアッ!
手足の無い、20十メートルぐらいの龍の様な魔物が、海から4匹現れました。
アッコロカムイを守る為に、首を伸ばして咬みつき攻撃をしてきます。
シーサーペントの牙が、タコ足から落ちたミレーヌとリーゼを襲いました。
「そうはさせませんっ!」
シュイイイイインッ!
私が前に出て2人を庇うと【オートマルチリフレクションシールド】が発動して、シーサーペントの牙を弾きました。
「ミレーヌさんリーゼさん、もっと近くへ来てください。……よし、今だわ!【聖域】!」
ピッカァアアアアアンッ!
雲の切れ間から、太陽が眩しく私の周辺を照らします。
すると、中空に千の光る剣が現れて、アッコロカムイとシーサーペント目掛けて降り注ぎました。
ザアアアアアアアアアアッ!
『ヒギャアアアアアッ!』
アッコロカムイとシーサーペントは、色鮮やかな光の粒に成り、空へと昇り浄化してしまいました。
「お嬢ちゃん、やったなぁ! ……うん? お嬢ちゃん……」
私は魔力切れの為に、地面に倒れて気絶してしまったそうです。
アッコロカムイがいた海岸には、ドロップした宝物が山の様に積まれて残っていました。
【後書き】
アッコロカムイは、アイヌ伝承に出てくる赤く大きなタコの妖怪で、内浦湾に住み着いて人や船を襲ったと言われています。
「千人もの捕虜を王都まで連れて行けないし、ノスロンドの街に戻しても意味がない、時間の無駄になるだけだ」
と、ジルベルトが言いました。
彼は指揮官のダリハリと副官だけを捕虜として、王都に連れて行く事にしたのです。
「すでに証拠書類があるのだから、2台の囚人護送車に乗れる人数だけ、重要な人物を連れて行くしかないのか……」
「あまりにも人数が多いから、苦渋の選択ってやつだな」
「兵士は上官の命令に従ってるだけかも知れないしね」
「ミレーヌ、ギルド長に経過報告のメッセージを送ってくれ」
「オッケー。【伝言鳩】!」
クルックゥ!
白い鳩がミレーヌの手の上に現れて、ミレーヌがメッセージを聞かせます。
バサバサバサバサ……
ミレーヌが両手でゆっくりと持ち上げると、鳩はノスロンド街の方角へと飛んで行きました。
「武器や防具は取り上げて、出来る限り収納して持っていこう。野盗になって通行人を襲うと困るからな」
「入りきらなかったら燃やしてしまおう」
私はインベントリの中に次々と捕虜の武具を収納しましたが、結局全て納めきってしまいました。
「えっ、お嬢ちゃん……千人分の武器鎧と輜重が全部収納出来たのかい?」
「はい」テヘペロ!
「う~ん、嬢ちゃんは一体何者なんだ!?」
「記憶喪失で分かりませ~ん……」
「それよりマリエルちゃん、MP残量に気を付けてね」
「はい、ミレーヌさん。今のところ問題ありませんので大丈夫です」
「そう……あんなに収納できる魔力量を持っているなんて、想像の斜め上をいってるわね」
『御嬢様は普通の女の子ですぅ。フンスッ』
アダモがドヤ顔で言いました。
「「「な訳あるかいっ!」」」
◇ ▲ ◇
領軍兵の襲撃から5日が経ちました。
馬車の中で、アダモは1年程前にサチコに言われた事をマリエルに告げます。
「アダモはアダマンタイト製だから、物質としてはダイヤモンドと並んで最強の硬度を誇るけど。魔族やアンデッドには、物理攻撃が効き難いからアダモの攻撃も通用しないかもしれないのよ。だから御嬢様にミスリル製の鉤爪とグローブとブーツ作って貰ったから、それを使いなさいね」
『は~い、サチコ様ぁ』
〇 ▼ 〇
『と、言う訳ですから御嬢様の収納の中に、アダモ用のミスリル装備があると思いますぅ』
「はい……あったわ。今出してみましょうか?」
『いいえ、この先で魔族が出た時にお願いしますぅ』
「リョウカ~イ」
ジルベルトはフト疑問を感じた。
「うん? 魔族が出る事は既定の事実なのか?」
『最後に親玉が現れるのは、筋書きのクライマックスなのですぅ』
「はぁあ?」
「アダモちゃん、それはサチコの本からの知識なのね?」
『はい、ミレーヌ様。それがお約束というものなのですぅ』
「そう……、お約束…なのね」
王都は『ウチウラ』と呼ばれる湾岸沿いの街道を、グルッと回った先にあるそうです。
「波が無く、穏やかな海ですね」
「湾に成ってるので、外海よりは静かね」
「日向を小魚が泳いでてキュンキュンするね」
「ここはウチウラ湾という所なのよ」
穏やかな陽気の中を馬車が進みつつ、女子達はそんな事を呑気に話していたのだが……。
ところが一転、俄かに黒雲がモクモクと沸き起こり、急に突風が吹き付けてきたのです。
嵐に成り波が岸に激しく打ち寄せます、街道まで波が押し寄せてきました。
やがて海からワラワラと、人の様な魔物が沢山這い上がってきたのです。
三叉戟を手にした半魚人達が、馬車の行く手を塞ぎました。
私達は急いで戦闘態勢を整え対応しましたが、風が強いので矢が真っすぐ飛びません。
ファイヤーボールやウインドカッターも風で押し流されて外れてしまいました。
そして、半魚人が馬車馬を三叉戟で突き刺そうと襲い掛かってきました。
「半魚人を【雷撃】!」
ピカッ、ズッドオオオオオンッ!
私の放った雷撃が、強風の中でも見事に半魚人を直撃して倒しました。真っ黒こげです。
「おっ! 魔物の体が濡れてるから、雷は効果があるぞ!」
「よし、接近戦で各個撃破しよう」
「「「オオゥ!」」」
半魚人のレベルは、それほど高くなかったようです。
A級冒険者達の剣や槍での物理攻撃で、バタバタと倒れていきました。
アダモもミスリル装備を試すかの様に、皆と一緒に戦っていました。
そろそろ半魚人が全滅するかと見えた時、突然海が赤く大きく盛り上がりました。
そして巨大なタコの魔物が、ウネウネと足をくねらせながら海岸に這い上がってきたのです。
『ここで全員、絞め殺してくれるわぁぁっ!』
領主のアッコロカムイはタコの姿の上級魔族でした。
真っ赤な胴体が10メートルぐらいで、足は20メートルもありそうです。
ミレーヌとリーゼが不意を突かれて、長い脚に絡め取られてしまいました。
「大変だ、この状態で魔法攻撃をしたら、2人とも巻き添えになってしまうぞ!」
「アッコロカムイを【石化】!」
私は石化の魔法を試みました。
ピッシャァァァンッ!
「【石化】が弾かれて効かないわっ! よ~し、それなら……アッコロカムイを【ブラインド】!」
ピッキイイイイイイイイイインッ!
『ゥガアアッ、目が見えぬぅぅぅっ! 小癪な小娘がぁぁぁっ!』
(【ブラインド】は女神エイルから直接授けられたスキルなので、通常のスキルよりも強力でした。もちろん記憶喪失のマリエルは、そのことを覚えていませんが)
「今だ! 接近して攻撃するんだ。図体が大きいから、近づけば矢も魔法も当たるぞ!」
「「「オオゥ!」」」
『アダモキィィィック!』
ドッガアアアアアンッ!
『グギャアアアッ!』
「アダモアイアンクローッ!」
ズッシャアアアアアッ!
『ヒギャアアアッ!」
ミスリルを装着したアダモの攻撃でアッコロカムイが怯んだところを、ジルベルトとマッシュが両手剣で足を切って、ミレーヌとリーゼを助け出しました。
『ウヌゥッ、小癪なぁぁ。いでよ、シーサーペント!』
バッシャアアアアアアアアアアッ!
手足の無い、20十メートルぐらいの龍の様な魔物が、海から4匹現れました。
アッコロカムイを守る為に、首を伸ばして咬みつき攻撃をしてきます。
シーサーペントの牙が、タコ足から落ちたミレーヌとリーゼを襲いました。
「そうはさせませんっ!」
シュイイイイインッ!
私が前に出て2人を庇うと【オートマルチリフレクションシールド】が発動して、シーサーペントの牙を弾きました。
「ミレーヌさんリーゼさん、もっと近くへ来てください。……よし、今だわ!【聖域】!」
ピッカァアアアアアンッ!
雲の切れ間から、太陽が眩しく私の周辺を照らします。
すると、中空に千の光る剣が現れて、アッコロカムイとシーサーペント目掛けて降り注ぎました。
ザアアアアアアアアアアッ!
『ヒギャアアアアアッ!』
アッコロカムイとシーサーペントは、色鮮やかな光の粒に成り、空へと昇り浄化してしまいました。
「お嬢ちゃん、やったなぁ! ……うん? お嬢ちゃん……」
私は魔力切れの為に、地面に倒れて気絶してしまったそうです。
アッコロカムイがいた海岸には、ドロップした宝物が山の様に積まれて残っていました。
【後書き】
アッコロカムイは、アイヌ伝承に出てくる赤く大きなタコの妖怪で、内浦湾に住み着いて人や船を襲ったと言われています。
0
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
異世界転移は分解で作成チート
キセル
ファンタジー
黒金 陽太は高校の帰り道の途中で通り魔に刺され死んでしまう。だが、神様に手違いで死んだことを伝えられ、元の世界に帰れない代わりに異世界に転生することになった。
そこで、スキルを使って分解して作成(創造?)チートになってなんやかんやする物語。
※処女作です。作者は初心者です。ガラスよりも、豆腐よりも、濡れたティッシュよりも、凄い弱いメンタルです。下手でも微笑ましく見ていてください。あと、いいねとかコメントとかください(′・ω・`)。
1~2週間に2~3回くらいの投稿ペースで上げていますが、一応、不定期更新としておきます。
よろしければお気に入り登録お願いします。
あ、小説用のTwitter垢作りました。
@W_Cherry_RAITOというやつです。よろしければフォローお願いします。
………それと、表紙を書いてくれる人を募集しています。
ノベルバ、小説家になろうに続き、こちらにも投稿し始めました!
悪役令嬢は、初恋の人が忘れられなかったのです。
imu
恋愛
「レイラ・アマドール。君との婚約を破棄する!」
その日、16歳になったばかりの私と、この国の第一王子であるカルロ様との婚約発表のパーティーの場で、私は彼に婚約破棄を言い渡された。
この世界は、私が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界だ。
私は、その乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。
もちろん、今の彼の隣にはヒロインの子がいる。
それに、婚約を破棄されたのには、私がこの世界の初恋の人を忘れられなかったのもある。
10年以上も前に、迷子になった私を助けてくれた男の子。
多分、カルロ様はそれに気付いていた。
仕方がないと思った。
でも、だからって、家まで追い出される必要はないと思うの!
_____________
※
第一王子とヒロインは全く出て来ません。
婚約破棄されてから2年後の物語です。
悪役令嬢感は全くありません。
転生感も全くない気がします…。
短いお話です。もう一度言います。短いお話です。
そして、サッと読めるはず!
なので、読んでいただけると嬉しいです!
1人の視点が終わったら、別視点からまた始まる予定です!
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
『完結』人見知りするけど 異世界で 何 しようかな?
カヨワイさつき
恋愛
51歳の 桜 こころ。人見知りが 激しい為 、独身。
ボランティアの清掃中、車にひかれそうな女の子を
助けようとして、事故死。
その女の子は、神様だったらしく、お詫びに異世界を選べるとの事だけど、どーしよう。
魔法の世界で、色々と不器用な方達のお話。
下剋上を始めます。これは私の復讐のお話
ハルイロ
恋愛
「ごめんね。きみとこのままではいられない。」そう言われて私は大好きな婚約者に捨てられた。
アルト子爵家の一人娘のリルメリアはその天才的な魔法の才能で幼少期から魔道具の開発に携わってきた。
彼女は優しい両親の下、様々な出会いを経て幸せな学生時代を過ごす。
しかし、行方不明だった元王女の子が見つかり、今までの生活は一変。
愛する婚約者は彼女から離れ、お姫様を選んだ。
「それなら私も貴方はいらない。」
リルメリアは圧倒的な才能と財力を駆使してこの世界の頂点「聖女」になることを決意する。
「待っていなさい。私が復讐を完遂するその日まで。」
頑張り屋の天才少女が濃いキャラ達に囲まれながら、ただひたすら上を目指すお話。
*他視点あり
二部構成です。
一部は幼少期編でほのぼのと進みます
二部は復讐編、本編です。
悪役令嬢に転生してストーリー無視で商才が開花しましたが、恋に奥手はなおりません。
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】乙女ゲームの悪役令嬢である公爵令嬢カロリーナ・シュタールに転生した主人公。
だけど、元はといえば都会が苦手な港町生まれの田舎娘。しかも、まったくの生まれたての赤ん坊に転生してしまったため、公爵令嬢としての記憶も経験もなく、アイデンティティは完全に日本の田舎娘。
高慢で横暴で他を圧倒する美貌で学園に君臨する悪役令嬢……に、育つ訳もなく当たり障りのない〈ふつうの令嬢〉として、乙女ゲームの舞台であった王立学園へと進学。
ゲームでカロリーナが強引に婚約者にしていた第2王子とも「ちょっといい感じ」程度で特に進展はなし。当然、断罪イベントもなく、都会が苦手なので亡き母の遺してくれた辺境の領地に移住する日を夢見て過ごし、無事卒業。
ところが母の愛したミカン畑が、安く買い叩かれて廃業の危機!? 途方にくれたけど、目のまえには海。それも、天然の良港! 一念発起して、港湾開発と海上交易へと乗り出してゆく!!
乙女ゲームの世界を舞台に、原作ストーリー無視で商才を開花させるけど、恋はちょっと苦手。
なのに、グイグイくる軽薄男爵との軽い会話なら逆にいける!
という不器用な主人公がおりなす、読み味軽快なサクセス&異世界恋愛ファンタジー!
*女性向けHOTランキング1位に掲載していただきました!(2024.9.1-2)たくさんの方にお読みいただき、ありがとうございます!
コブ付き女サヨナラと婚約破棄された占い聖女ですが、唐突に現れた一途王子に溺愛されて結果オーライです!
松ノ木るな
恋愛
ある城下町で、聖女リィナは占い師を生業としながら、捨て子だった娘ルゥと穏やかに暮らしていた。
ある時、傲慢な国の第ニ王子に、聖女の物珍しさから妻になれと召し上げられ、その半年後、子持ちを理由に婚約破棄、王宮から追放される。
追放? いや、解放だ。やったー! といった頃。
自室で見知らぬ男がルゥと積み木遊びをしている……。
変質者!? 泥棒!? でもよく見ると、その男、とっても上質な衣裳に身を包む、とってもステキな青年だったのです。そんな男性が口をひらけば「結婚しよう!」??
……私はあなたが分かりません!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる