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すでに晶はお腹が膨れて、肉を焼く手伝いしている。
ちなみに夕は別のグループで良い具合に酔始めた者達が、己の腕の強さを競う様にテーブルで腕相撲を始めたグループに混ざって友達の様に遊んでいると誠一や力斗達も川辺に降りて来る。
「さっそく楽しんでいるみたいで、呼んだかいがあったの」
夕と構成員の一人と腕相撲をしている姿を見る。
まるで力を入れていないような表情で腕の太い男性を負かす夕の姿に誠一は笑いが込み上がる。
「大の大人が負けるとは情けない」
冗談を交えた声で声を掛けるが、構成員の男性は石に頭をぶつける勢いで頭を下げる。
「申し訳ありません!」
舐められたら終わりの世界で差別をするわけでは無いが、女性に純粋の力勝負に負けるようだと、生きづらい世界であるけど、相手は夕なら仕方がない。
身をもって先ほど経験した誠一は気にするなと一声かけると、明菜が座っている隣に腰を下ろす。
「お疲れ様です」
晶は四人分のお肉を乗せたお皿を誠一と力斗と残りの二人の前に置く。
「お客さんなのにすまないね」
「すまない」
「いえいえ、これほどの美味しいお肉を食べさせてもらっているので、ささ、こっちもどうぞ」
晶は空のグラスを渡して、冷えたビールを注いでいく。
「晶も一緒にどうだ?」
力斗にコップを渡して、オレンジジュースを注ぎ、準備が終わると、誠一がグラスを掲げる。
「乾杯」
「「「乾杯」」」
ガラスが触れ合い綺麗な音色の様に音が鳴る。
「かっ~~~!! 美女に注いでもらったビールは格段に美味いな!」
「晶ちゃんだっけか? 片桐組の組長、片桐(かたぎり) 東間(とうま)という。よろしく。誠一とは兄弟の仲だ。そして隣の奴は家の倅だ。どうだ? 格好良いだろ? 嫁に来ないか?」
黒髪のオールバックの50歳前後の東間は陽気に息子を勧めて来る。
誠一と雰囲気が違い見た目の年齢より若くイケオジと言った感じである。
「やめてくれよ。恥ずかしいだろ。すまないね。晶ちゃん親父が変な事を言って。俺は片桐 風(ふ)馬(うま)だ。まぁ親父が言いたい事はわかるな。仕事で来る女の人も割り切っていても怯えているからな。何を経験すれば俺達の前で平然でいれるのだ?」
息子の風馬は20台後半だろうか、金髪にピアスと今の若者と感じがするが、こういった世界で住んでいるおかげで、同世代の20代とは比べ物にならない貫禄がつき始めている。
「そんなのは簡単だ。命を懸けた修羅場を経験したからだな」
何時の間に戻ってきていたのか夕は晶の皿の上にある肉をひょいっと手づかみで口に運ぶ。
ちなみに修羅場と言うのはこの前の九尾の事だろう。
「うぉ! 何時の間に後ろに」
気配を感じる事無く背後を取られた事に驚きを隠せない。
「なぜ、夕は何で全身濡れているの?」
「そりゃ~ 水遊びしたからに決まっているだろ?」
川辺に来たら水遊びはするだろと夕は当たり前の事を聞くのか不思議に思っている。
夕が居た場所ではお酒を飲んで陽気になった者達が次々と川に向かって飛び込む姿が見える。
いい大人達が川に飛び込む姿はまるで子供の頃を思い出している様にも見える。
「ふむ。嬢ちゃん達は他人を狂わす能力でも備わっているのか? その容姿なら既にあるのか? 家の者があれ程まで遊ぶ姿は見た事が無いな」
誠一はクツクツと笑う。
「ほら、夏と言っても濡れた服は体が冷えるわよ」
明菜は夕と晶を連れて行く。
なぜ、自分も連れていかれるのと口にするが、明菜に連れていかれる。
それから30分ほど時間が経つと3人は戻って来る。
水着を持ってきていないのに水着に着替えている二人に力斗は頭を傾げる。
「お前達…… 水着持ってきていたか?」
「いんや? 姉御に連れていかれた部屋の中に大量にあった」
なぜそれほどの水着を持っているのか不思議であるが、明菜に直接聞ける勇気がわかない力斗であった。
「それよりこれを見て何も思わないのか?」
黒いビキニを着ている夕は既に大人の色気を放ち右手を首の後ろにあてて、グラビアの様なセクシーなポーズを取る夕だが、それ以上に気になるのはシミの無い肌に何か所もある薄赤く虫に刺された様な跡は誰が見ても人に付けられたモノだとわかるが口にはしない。
「あ~ 似合っているぞ?」
求めていたはずの言葉なのに夕はあからさまに不機嫌になる。
性別が変わってからと言うもの誰にでも綺麗など言われる事に慣れすぎていた夕はからかうつもりでポーズを決めたが不発に終わった事に機嫌を損ねただけである。
「何拗ねているの?」
大人の色気とは少し遠いが晶は幼さよりの可愛さを秘めている。
ヒラヒラが少し多めに付いて、晶のイメージに合わせ純白の白い水着を着ている。
誠一、力斗、東間以外は表情が変わらないが、それ以外の連中はまるで獲物を狙う様に二人に釘付けである。
「目の保養に最高だな。これほど綺麗な者を見られたなら思い残す事はなさそうだな」
豪快に笑う誠一に頷く東間である。
「貴方に一発殴りたいところだけど、近くで見ると女として自信なくすわね」
明菜も年齢の割に整い容姿も美人であるが、晶と夕の前では比べ物にならない。年齢で片づけられない壁がある。
晶の肌を羨ましい視線で二の腕を触り始める。
夕は運動した事でお腹が減り始め、網の前に陣を取り皿に肉をのせて戻って来る。
「ささ! 沢山食べて沢山飲もう!!」
夕は空いた皿をズラして手に持っていた新しい盛った皿置くと、少なくなったグラスに並々注ぐ。
「グイッと飲もう!!」
「おぉ」
目をキラキラとさせて見てくる夕の姿に誠一はまるで孫を見る様であった。
豪快に飲む姿に感心する。
「夕、あまり親父に飲ませすぎるなよ?」
「大丈夫、俺と晶が居れば襲われても平気だから、今日ぐらいは好きなだけ飲むと良いよ。なぁ晶? 平気だよな?」
「えっ? うん問題ないよ?」
二人だけは何かを感じ取っていると言った言葉に力斗は晶に聞くが、何を聞いても平気としか言わない。
だが、この二人に平気だと言われれば何が起ころとも任せられる安心感はある。
「そっか、なら今日は好きなだけ飲ましてもらおうかのう」
誠一はハメを外す様に飲み始める。
この別荘に沢山の構成員が居るのはほとんどが護衛である。
川沿いの木が生い茂っている場所まで護衛を配置している。
今でこそ確率は低いが鉄砲弾が来てもすぐに対応できるようにする為である。
現に過去であるが、久我組の幹部が飲食店を出た所に鉄砲弾に襲われ命を落とした事件もあり、今日の様な大物が集まる場所では常に警戒が必要である。
「ほら、皆も飲め」
誠一は力斗、片桐に酒を勧める。
「親父さすがに私は……」
「気にする必要はねぇよ。嬢ちゃんが大丈夫と言うのなら大丈夫だろう?」
信用をしている訳では無いが、今日一日で襲われる確率と言えば低い。それに夕の自信のある言葉の先を見てみたいと言う誠一の欲もある。
日が傾き朱色に染まり始めると太陽の光が人の影を細長く地に映す。
すでに出来上がり始めているのか誠一と東間は昔からの友人の様に豪快に笑い酒を飲みかわす。
そんな姿を力斗と明菜は楽しそうに見ている。
組のトップに立つ事によって様々な事を抱える事が多くなり、毎日気が抜けない日々である。
現に心を許せるのは明菜と力斗、5分の盃を交わした東間のみである。
だが、東間も片桐組のトップであり護衛が居ると言っても今回の様に狙われているかもと言う警戒なく飲む事は久しぶりである。
そのせいか、二人はお酒に飲みなれていない若者の様に浴びるように酒を煽る姿を見るのは珍しいのだ。
「旦那がこんなに楽しく飲んでいる姿を見るのは久しぶりだね」
「えぇ、そうですね。一人おかしな奴が混ざっていますがね」
誠一と東間の間に水着姿の夕が、楽しく会話しながらお酒を注ぐ姿に力斗も呆れる。
力斗であってもあの中であれほど笑い、組長2人に酒を飲ますように注げるかと言えば無理な話である。
「是非、うちの組に入ってほしいわ。毎日が楽しそうね」
明菜はまるで自分の娘を見るような母親の視線である。
バーベキューも終盤になり、最高級と言ってもいい程のブロック状のお肉が登場すると、夕は目の色を変え肉に飛びつく。
「美味そうな肉!」
浮足を立ちながらステンレスの盆を受け取ると、肉を焼いている晶の近くまで寄ると、夕は突如、川の反対側に鋭い視線を向けると、咄嗟に誠一と東間の席の前に立ちふさがる。
ちなみに夕は別のグループで良い具合に酔始めた者達が、己の腕の強さを競う様にテーブルで腕相撲を始めたグループに混ざって友達の様に遊んでいると誠一や力斗達も川辺に降りて来る。
「さっそく楽しんでいるみたいで、呼んだかいがあったの」
夕と構成員の一人と腕相撲をしている姿を見る。
まるで力を入れていないような表情で腕の太い男性を負かす夕の姿に誠一は笑いが込み上がる。
「大の大人が負けるとは情けない」
冗談を交えた声で声を掛けるが、構成員の男性は石に頭をぶつける勢いで頭を下げる。
「申し訳ありません!」
舐められたら終わりの世界で差別をするわけでは無いが、女性に純粋の力勝負に負けるようだと、生きづらい世界であるけど、相手は夕なら仕方がない。
身をもって先ほど経験した誠一は気にするなと一声かけると、明菜が座っている隣に腰を下ろす。
「お疲れ様です」
晶は四人分のお肉を乗せたお皿を誠一と力斗と残りの二人の前に置く。
「お客さんなのにすまないね」
「すまない」
「いえいえ、これほどの美味しいお肉を食べさせてもらっているので、ささ、こっちもどうぞ」
晶は空のグラスを渡して、冷えたビールを注いでいく。
「晶も一緒にどうだ?」
力斗にコップを渡して、オレンジジュースを注ぎ、準備が終わると、誠一がグラスを掲げる。
「乾杯」
「「「乾杯」」」
ガラスが触れ合い綺麗な音色の様に音が鳴る。
「かっ~~~!! 美女に注いでもらったビールは格段に美味いな!」
「晶ちゃんだっけか? 片桐組の組長、片桐(かたぎり) 東間(とうま)という。よろしく。誠一とは兄弟の仲だ。そして隣の奴は家の倅だ。どうだ? 格好良いだろ? 嫁に来ないか?」
黒髪のオールバックの50歳前後の東間は陽気に息子を勧めて来る。
誠一と雰囲気が違い見た目の年齢より若くイケオジと言った感じである。
「やめてくれよ。恥ずかしいだろ。すまないね。晶ちゃん親父が変な事を言って。俺は片桐 風(ふ)馬(うま)だ。まぁ親父が言いたい事はわかるな。仕事で来る女の人も割り切っていても怯えているからな。何を経験すれば俺達の前で平然でいれるのだ?」
息子の風馬は20台後半だろうか、金髪にピアスと今の若者と感じがするが、こういった世界で住んでいるおかげで、同世代の20代とは比べ物にならない貫禄がつき始めている。
「そんなのは簡単だ。命を懸けた修羅場を経験したからだな」
何時の間に戻ってきていたのか夕は晶の皿の上にある肉をひょいっと手づかみで口に運ぶ。
ちなみに修羅場と言うのはこの前の九尾の事だろう。
「うぉ! 何時の間に後ろに」
気配を感じる事無く背後を取られた事に驚きを隠せない。
「なぜ、夕は何で全身濡れているの?」
「そりゃ~ 水遊びしたからに決まっているだろ?」
川辺に来たら水遊びはするだろと夕は当たり前の事を聞くのか不思議に思っている。
夕が居た場所ではお酒を飲んで陽気になった者達が次々と川に向かって飛び込む姿が見える。
いい大人達が川に飛び込む姿はまるで子供の頃を思い出している様にも見える。
「ふむ。嬢ちゃん達は他人を狂わす能力でも備わっているのか? その容姿なら既にあるのか? 家の者があれ程まで遊ぶ姿は見た事が無いな」
誠一はクツクツと笑う。
「ほら、夏と言っても濡れた服は体が冷えるわよ」
明菜は夕と晶を連れて行く。
なぜ、自分も連れていかれるのと口にするが、明菜に連れていかれる。
それから30分ほど時間が経つと3人は戻って来る。
水着を持ってきていないのに水着に着替えている二人に力斗は頭を傾げる。
「お前達…… 水着持ってきていたか?」
「いんや? 姉御に連れていかれた部屋の中に大量にあった」
なぜそれほどの水着を持っているのか不思議であるが、明菜に直接聞ける勇気がわかない力斗であった。
「それよりこれを見て何も思わないのか?」
黒いビキニを着ている夕は既に大人の色気を放ち右手を首の後ろにあてて、グラビアの様なセクシーなポーズを取る夕だが、それ以上に気になるのはシミの無い肌に何か所もある薄赤く虫に刺された様な跡は誰が見ても人に付けられたモノだとわかるが口にはしない。
「あ~ 似合っているぞ?」
求めていたはずの言葉なのに夕はあからさまに不機嫌になる。
性別が変わってからと言うもの誰にでも綺麗など言われる事に慣れすぎていた夕はからかうつもりでポーズを決めたが不発に終わった事に機嫌を損ねただけである。
「何拗ねているの?」
大人の色気とは少し遠いが晶は幼さよりの可愛さを秘めている。
ヒラヒラが少し多めに付いて、晶のイメージに合わせ純白の白い水着を着ている。
誠一、力斗、東間以外は表情が変わらないが、それ以外の連中はまるで獲物を狙う様に二人に釘付けである。
「目の保養に最高だな。これほど綺麗な者を見られたなら思い残す事はなさそうだな」
豪快に笑う誠一に頷く東間である。
「貴方に一発殴りたいところだけど、近くで見ると女として自信なくすわね」
明菜も年齢の割に整い容姿も美人であるが、晶と夕の前では比べ物にならない。年齢で片づけられない壁がある。
晶の肌を羨ましい視線で二の腕を触り始める。
夕は運動した事でお腹が減り始め、網の前に陣を取り皿に肉をのせて戻って来る。
「ささ! 沢山食べて沢山飲もう!!」
夕は空いた皿をズラして手に持っていた新しい盛った皿置くと、少なくなったグラスに並々注ぐ。
「グイッと飲もう!!」
「おぉ」
目をキラキラとさせて見てくる夕の姿に誠一はまるで孫を見る様であった。
豪快に飲む姿に感心する。
「夕、あまり親父に飲ませすぎるなよ?」
「大丈夫、俺と晶が居れば襲われても平気だから、今日ぐらいは好きなだけ飲むと良いよ。なぁ晶? 平気だよな?」
「えっ? うん問題ないよ?」
二人だけは何かを感じ取っていると言った言葉に力斗は晶に聞くが、何を聞いても平気としか言わない。
だが、この二人に平気だと言われれば何が起ころとも任せられる安心感はある。
「そっか、なら今日は好きなだけ飲ましてもらおうかのう」
誠一はハメを外す様に飲み始める。
この別荘に沢山の構成員が居るのはほとんどが護衛である。
川沿いの木が生い茂っている場所まで護衛を配置している。
今でこそ確率は低いが鉄砲弾が来てもすぐに対応できるようにする為である。
現に過去であるが、久我組の幹部が飲食店を出た所に鉄砲弾に襲われ命を落とした事件もあり、今日の様な大物が集まる場所では常に警戒が必要である。
「ほら、皆も飲め」
誠一は力斗、片桐に酒を勧める。
「親父さすがに私は……」
「気にする必要はねぇよ。嬢ちゃんが大丈夫と言うのなら大丈夫だろう?」
信用をしている訳では無いが、今日一日で襲われる確率と言えば低い。それに夕の自信のある言葉の先を見てみたいと言う誠一の欲もある。
日が傾き朱色に染まり始めると太陽の光が人の影を細長く地に映す。
すでに出来上がり始めているのか誠一と東間は昔からの友人の様に豪快に笑い酒を飲みかわす。
そんな姿を力斗と明菜は楽しそうに見ている。
組のトップに立つ事によって様々な事を抱える事が多くなり、毎日気が抜けない日々である。
現に心を許せるのは明菜と力斗、5分の盃を交わした東間のみである。
だが、東間も片桐組のトップであり護衛が居ると言っても今回の様に狙われているかもと言う警戒なく飲む事は久しぶりである。
そのせいか、二人はお酒に飲みなれていない若者の様に浴びるように酒を煽る姿を見るのは珍しいのだ。
「旦那がこんなに楽しく飲んでいる姿を見るのは久しぶりだね」
「えぇ、そうですね。一人おかしな奴が混ざっていますがね」
誠一と東間の間に水着姿の夕が、楽しく会話しながらお酒を注ぐ姿に力斗も呆れる。
力斗であってもあの中であれほど笑い、組長2人に酒を飲ますように注げるかと言えば無理な話である。
「是非、うちの組に入ってほしいわ。毎日が楽しそうね」
明菜はまるで自分の娘を見るような母親の視線である。
バーベキューも終盤になり、最高級と言ってもいい程のブロック状のお肉が登場すると、夕は目の色を変え肉に飛びつく。
「美味そうな肉!」
浮足を立ちながらステンレスの盆を受け取ると、肉を焼いている晶の近くまで寄ると、夕は突如、川の反対側に鋭い視線を向けると、咄嗟に誠一と東間の席の前に立ちふさがる。
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