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 「アヤコちゃんもアキラちゃんも上達が早いね!」
 
  今日だけでも格上の部隊と戦う事が多かったおかげで二人は大幅に伸びていた。

「ローズさんがしっかりと教えてくれているからですよ」
「それにしてもアキラちゃんの長物は凶悪ね。射撃の距離を気にしないで当てるとかプロでも居ないね」
 
 何試合前で見せた晶の長距離射撃はオートエイムというチートでも使っているのでは無いかという程のミラクルショットを見せた。
 戦闘が終了した部隊が倒れている仲間を復活させようとしている最中に晶は長距離ショットで弾を当てる。敵の一人は晶の位置が遠すぎて何処から狙われているのか、分からないまま打ち抜かれる。
 まぐれなのか、狙ったのか綾子とローズのコメント欄ではリスナー達は盛り上がっていた。
ローズが晶に聞くと狙ったと言う言葉に一時的にコメントが止まる。
 それほどまでに晶の射撃は異常であったのだ。
 そんな中である事件が発生する。

「晶ちゃん! 後ろ!」

 咄嗟に操作していたキャラが後ろ向く。
 だが近くには敵が居る気配は無い。
「委員長? 敵いないよ?」
 
 首を傾げる。

「違う! その後ろじゃないよ! リアルの方よ! 夕ちゃんのいかがわしい姿が映っているのよ!」
 晶は後ろを振り向くと、風呂上がりの夕はパンツ一枚にバスタオルを首に掛けている状態で胸を隠す物はタオル一枚で、何かの拍子に露わになってしまうと状態で映っていた。
 
 まぁ、夕は晶とゲームをするが基本的に機械に詳しくない。
 なので、誰かと電話をする感じで話しながらゲームをしている事は知っているけど、自分の顔を映してゲームをしているとは思ってもいないが故の行動である。
「ちょっと! 夕! その姿が映っているよ!」
「ん?」
 
 全国に夕の素体に近い状態が映っていると知るが、それがどうしたと言わんばかりの呑気な返事である。

「ふぎゃ!」
 なぜか一番慌てていた晶が振り向きざまにバランスを崩して椅子と一緒に変な声を出して倒れる。

「おっおい、大丈夫か?」
「痛い……」
 
 転んだ晶に近寄ると晶の両脇に手を入れて持ち上げる。そんな姿はゲームセンターにあるクレーンゲームのアームに捕まれて運ばれる人形の様であった。

「もう大丈夫だから、夕は服を着て来て」
「あぁ」
 
 結局大事な所は見えてないが、夕の鍛えられた肉体美はネット上に晒される事となった。
 
 椅子から転げ落ちた事に自分の操作していたキャラクターは既に死亡しており、綾子とローズの戦闘を眺めるだけになっていた。

「大丈夫なの? すごい音がしていたけど……」
「大丈夫だよ。まさか夕が映っているとは思っても見なかったよ」
「同性の子と同棲中? アキラちゃんと違ってとても大人っぽい女性だったね! 良い肉体美ね!」
 
ローズは夕の体に興味を示す。
 それと同じで男女含めリスナー達は盛りあがった。
 それから少しすると、昼という事もあり晶は放送から抜けて昼食の準備を始める。

 その頃、晶が放送を抜けた後に自分の放送中に大量に投げられた投げ銭の金額を見てひっくり返りそうになる綾子。
 その額100万円近くに上り理性が追い付いていない状態である。未成年という事もあり金銭は母親が作った通帳に入るのだが、今までゲームの配信やペロンの散歩配信で稼げたのは月に1万~3万程であったが、桁の違いに何度も桁を確認してしまう。

「お母さん~~~!!」
 
 パニックを起こしながら母親に抱きつく綾子の姿に困惑する母であるが、内容を聞いて母も驚きその日の夜に家族会議が行われるのであった。
 



 ローズはと外国から日本に来て生活を始めていた。
 外国でプロゲーマーとして名を馳せていた。そんなある時に日本のプロゲーマー達のカスタムマッチをしている動画を見た事がきっかけでローズは日本に渡る事を決意した。

 自国ではプロゲーマーとしてお金は稼いでいた方であるが、昔感じていたゲームを楽しむと言う感覚を忘れ、毎日が同じ作業となっていた。
 そんなある日、ローズはプロとしてお金を稼いでいるゲームの配信を見ていた。
日本のプロチームを含めヌーチューブで人気のあるVチューバー等、有名な配信者が集まり大会形式で配信をしていた。
 その中に日本でも有名な歌手や芸能人が混ざり大会で競い合う動画にローズは再び楽しさを見出し、すぐに日本に渡るとあっという間に人気のストリーマーとして輝かしいデビューを果たす。 
 
 そして、様々なゲームで好成績を残していくローズは初めて能力で負けていると感じさせる敵に出会う。
 それが晶と言う存在であった。
 出会った時はキャラクター操作が初心者に毛が生えた程度であったが、時間が経つにつれて成長は早く、自分の足元まで駆けあがって来る勢いである。
 その中でも勝てないと感じる長物の精密度であった。それに関しては晶の右に出る者はこのゲームの中で居ないと断言できるほど、正確であり精密であった。
 初めて自分の心からライバルだと思える存在であったが、3人で放送をした後、晶がゲームをログインする事はほとんど無くなった。

 長い間まった夏休みが始まろうとしていたが、晶と夕は既に憂鬱になりかけていた。
 それはなぜかと言うと楽しみにしていた夏休みだと言うのに、自分達が通っている高校が甲子園の出場が決まり学校内ではお祭り騒ぎであった。
 十数年ぶりの出場という事で、応援に来られる者などを集めていた連中に捕まり反強制で晶と夕は球場に応援に行かないといけなくなったのだ。
 あの一件以来、野球部と話す事が多くなったが、まさか部員から晶と夕の応援が欲しいと顧問にねだっていたのが原因でもある。
 本人からすればいい迷惑である。

「夕どうするのさ~」
「どうするって言っても、あんなに念を押されれば断れないだろ~」
「だよね~」

 とぼとぼ肩を落としながら二人の夏休みが始まろうとしていた。
 そんな裏腹に全国49校の中から選ばれた高校という事もあり、付近の店では甲子園セールなどが始まっており、晶が何時も買い物に行く商店街も賑わっていた。
 
 とぼとぼ肩を落としながら二人の夏休みが始まろうとしていた。
 そんな裏腹に全国にある高校の中から選ばれた高校という事もあり、付近の店では甲子園セールなどが始まっており、晶が何時も買い物に行く商店街も祭りの様賑わっていた。
 


 そして夏休みが始まり、既にだらくした生活を送る予定であったが、二人は以前に頼まれていた映画の撮影に来ていた。

 


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