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ビクッ!と驚きのあまりに背筋を伸ばす。
 ツカサの胸が背中に当たっている事を言って離してもらおうと思ったが声がでなかった。
 初めての乗馬で不安定でしがみ付く様になっているのはわかるが、それなのに離れてほしいと言うのは不敬にあたるのでないかと不安になる。
 周囲に助けを求めようとするが他の者達はカルロに鋭い眼差し向けている。
 血涙が出るのではないかと思われるほど悔やんでいる者も見受けられる。
 色々な事を考えていると小一時間が経っていた。
 コツン二度目の軽い衝撃が走る。
「ツカサ様?」
 後ろを見ようとしたらキララが人差し指を口に当てて首を振る。
 乗馬中だと言うのにツカサは気持ちよさそうに寝入っている。兵士達もその光景をほのぼのと見ている。
 銀色の髪は風に煽られてふわふわしている。
 兵士達は各々に思った。
 すこし前まではフリードは少し硬い印象だったが、ツカサが来てからは丸くなったというよりも親しみやすくなったと言うべきだろう。
 それからというもの仲睦まじい二人は、何時なんどきでも一緒にいた。
 そんな国を誇れる将来の王妃を守りたいと思っている。
 今,目の前で乗馬をしながらでも寝てしまえる平和な世界にしたいと奮起する。
 その現象に気が付いたフリードとキララは目を合わせて笑う。
 そしてほのぼのと時間はやがて終わりを迎える。
「んっ……」
 ツカサが起きた事に気が付くフリードは眠り姫に手を伸ばし馬から降ろす。
「お目覚めはいかがですか? 眠り姫」
 右手は腰に左手は頭に添え顔を近くに寄せる。
 ツカサは眠っていた事、フリードがすごく近くにある事に顔を赤らめる。
「おっおはよう?」
 今できる精一杯の返事を返した。
 それから馬車に戻って、ご飯時に差し掛かる頃にはセレウコス帝国が見え始める。
 距離的には今日中に着くことは可能であるが、事前に使いを出して入国許可を貰わないといけない。それに前もって行くと言っているが相手方にも準備と言うものがあるので規則では軍隊並び大勢で入る前に前日に報告することが当たり前になっている。
 フリードが馬車の中から手を出して合図をすると、進軍は止まる。
「今日はここまでだ! 明日朝一で帝国に入る。ゆっくりと休息を取って朝に備えよ」
 その言葉で兵士は各々の作業に移る。 
 ある者は食事の支度やテントを張る者や周囲に危険な物がないかを確かめる。それぞれが行動始める。
 兵士達あってツカサ含め王族達は安心して旅を出来る事にツカサは深く感謝をしていた。
                                           
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