上 下
6 / 55

6

しおりを挟む
肩を震わせて今にも笑い出しそうな国王がいる。
「いや~ ツカサは中々辛い言い方をするな、それにしてもわし等でも見たことの無い一面をみしてもらった」
「おもしろかったですわねぇ~ ではツカサ私と一緒に見学に行きましょう」
 席を立ちツカサの方に行くが。
「あっ大丈夫です。今日は、キララと行動しますのでお気遣い感謝です」
 そう言われたキララはキツネ耳が立ち尻尾が邪魔にならない程度に振っていた。
 王女は、驚きのあまり足をとめる。
「私では、何か不満でもあるのですか?」
 少し暗めな笑みを並べる。
「不満は無いのですが、何か身の危険を感じたので」
 聞きもらしそうな空気が漏れる音が聞こえ出すと、限界を超えたのか国王が大笑いしだした。
「あっははは! ツカサやめてくれ、わしを笑い殺すつもりか、それにしてもアレン口で勝奴がいるとは」
 いまだに腹を抱えて笑っている国王の腕にしっぺをする感覚で持っていた扇子を振り下ろす。
 バチーンと良い音を出している。涙目に鳴りながら口から出そうな悲鳴を堪えている姿が哀れに見える。
「キララ、危険はないと思いますがシッカリとツカサをまもるのですよ」
 王妃はそう言いながらキララを見る笑顔は、本人からすれば威圧を感じているのか兵士の様に敬礼のポーズをとっていた。
「では、ツカサ様こちらに」
と手を引かれ席を立つ。
 長い廊下を歩きながらキララが話を振ってくる。
「ツカサ様は、どちらに行かれたいですか?」
「うーん、こちらの世界の事は何も知らないので何ともいいがたいですね。儀式が使えるのならば魔法と言うものが存在しませんか?」
「魔法は、存在します。 王国にも魔法師がありまよ」
 今すぐに走り出して見に行きたい衝動にかられる。
「マジか!」
 聞きなれない言葉に少し戸惑うが、ツカサの弾けんばかりの笑顔にキララはうっとりしてしまう。
「では、魔法師団の訓練所に行ってみましょう」
 王城の裏庭の通路を抜けると三メートルくらいの扉がある。キララは扉を開けると中に  は、数十人見える。

 何人かは射的場みたいな場所で目標物に魔法を放っている。その姿を見たツカサは、一目散に走っていく姿は、幼き少女が駆けていくようにしか見えない。
 ツカサは、練習していた赤髪でガタイのいい男性を捕まえて無邪気に服を引っ張る。
「ちょっといい?」
 突如声を掛けられ驚いき、服を引かれた方に向くと満面な笑みをしていたツカサを見る。 傍から見ると10歳前後の少女に二重で驚く。その可愛らしい顔と訓練所なのに年端もいかない少女がこんな場所にいるということに。
訓練をしていた兵士は、声を荒げてしまう。
「まったく、 おい! 誰だ! こんな少女をこんな所に連れてきた奴は!」
大声で叫び周りに居た人たちが何かあったかと目線が集まる。
ツカサは少し無精髭をはやした兵士に持ち上げられて肩に座らせられる。
急に目線の位置が高くなったので無意識に兵士の掴まってしまう。
「おぉ高い」
と声を漏らす。 
肩に乗せられたツカサは他の人より頭一つ以上出ているため目立ち人の群れができる。
 すると、如何にも階級の高そうな三十前後の凛とした人がくる。
「これは、これはツカサ様ではありませぬか、今日はどの様なご用件で?」
 両脇を抱えられながら地面におろされる。
「今日は、魔法を見学しにきたのですが、少し迷惑をかけたみたいですね」
 軽く頭をさげる。
「そうそう、自己紹介がまだでしたな、私は、ロイス=カルネルといいます、魔法師団一番隊隊長を務めさしていただいています」
 その光景を見てツカサの隣に居た兵士が疑問に思う。
 前に貴族令嬢が訓練場に無断で遊びに来たときは、危険ということもあるので怒っているところを目撃しているのでまた怒るのかと思っていたが、今回は社交の挨拶をしていたことに疑問を覚えていた。
 肩にツカサを乗せていた兵士が疑問に思っていること口走ってしまった。
「隊長、この前令嬢に怒っていたのに……」
「あぁこの方は、召喚儀式で呼ばれた神の使いのツカサ様だ。 フリード王子の婚約者でもあるぞ」
 と言われた途端兵士は、青白くなる。
「こっ…… これは申し訳ありません。 神の使い様とは知らず無礼を働いたことになにとぞお許しください」
 ツカサの前で膝をつくとその、部屋にいた全員が膝をつく。
「私が悪いのです。そんなに畏まらないでください。私の世界では魔法が無かったのではしゃいでしまった結果皆様にご迷惑おかけしてごめんなさい」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます

葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。 しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。 お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。 二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。 「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」 アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。 「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」 「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」 「どんな約束でも守るわ」 「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」 これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。 ※タイトル通りのご都合主義なお話です。 ※他サイトにも投稿しています。

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!

恋愛
 男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。  ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。  全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?! ※結構ふざけたラブコメです。 恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。 ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。 前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。 ※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。

忘れられた妻

毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。 セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。 「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」 セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。 「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」 セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。 そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。 三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません

【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。

曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」 「分かったわ」 「えっ……」 男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。 毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。 裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。 何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……? ★小説家になろう様で先行更新中

【完結】太っちょ転生令嬢は龍の番〜池から上がったら婚約者が浮気していました〜

ウミ
恋愛
 池に突き落とされた衝撃で前世を思い出したアイリーン。対岸まで泳いでやっとのことで岸に上がった彼女は、隠れてイチャコラする婚約者を目撃してしまう。そして、そのお相手は恋愛相談をしていた侍女ジュリだった!  体型のことで散々馬鹿にされた彼女は、ダイエットをして見返すことに。しかし、引きこもった領地でも新たな展開がーー

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

処理中です...