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初恋の君 前編
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アロイスはあまり身体が丈夫な子供ではなかった。
子供の頃には季節の変わり目には必ずといっていいほど風邪をひいては熱を出し、ずいぶんと両親を心配させたものだ。
ロワール王国の貴族は十四歳になると王城へ上がることを許される。けれどそれは貴族の籍があれば誰でもというわけではなく、文もしくは武の分野において優秀と認められた者に限られていた。
侯爵家に生まれながらも、病弱なアロイスがこのままでは王城へ上がることができないのではないかと心配した両親は、王国の南に位置するアルザスへと彼を送り出した。
アルザスは一年中温暖な気候で、温かな風が吹き付ける保養地として有名な街だ。
そこでアロイスは初恋の君に出会った。
◇◇◇◇
王都から移動してきてすぐに風邪をひいてしまい、二、三日前までベッドの住人となっていたアロイスは、ようやく出歩けるほどに回復した。
昨日の朝にはすっかり熱が下がっていたのだが、乳母のグレースは外出を許してくれず、ベッドで過ごすように命じられてしまった。
風邪をひいて寝込むのも早いが、若さゆえに回復も早かったアロイスは、退屈のあまりグレースに黙って屋敷を抜け出し、アルザスの街を探検することにした。
アルザスは暖かく過ごしやすいが、若い年頃の少年にとっては少々刺激に欠ける。
街を歩いてみても、アロイスと近しい年頃の少年の姿をほとんど見かけない。
仕事を引退し、余生をのんびりと過ごしているような壮年から老年に差し掛かるような人たちばかりが目に付いた。
これではとても遊び相手を見つけられそうにない。
アロイスが過ごす屋敷は丘の上にあり、街を一望できる。
屋敷から見えた港に来てみたはいいが、小さな漁港しかなく、活気に満ちているとは言いがたい。
特に見るべきものも見つからず、アロイスはふてくされながら、港近くの路地を抜け、海岸へ移動した。
白い砂浜に打ち寄せる波は穏やかで、アロイスは誘われるように波打ち際に足を踏み入れた。
砂浜の不思議な感触を踏みしめながら歩いていると、いきなり波が打ち寄せてきて、アロイスの靴を濡らした。
「つめたっ!」
背筋がゾクリとするほど水が冷たい。いくらアルザスが温暖な土地とはいえ、水に入って遊ぶには早すぎた。
アロイスは安易に足を濡らしてしまったことを後悔する。
靴はぐっしょりと海水に濡れ、歩くたびにゴボゴボといやな音を立てている。
すっかり気分が落ち込んでしまう。
このまま探検を諦めて屋敷に帰ったとしても、抜け出したことに気づいたグレースから叱られるのがわかっているだけに、帰りにくい。
アロイスが肩を落としたとき、高く澄んだ声がかけられた。
「見慣れない子ね」
慌てて振り向いたアロイスの目に、可愛らしい少女の姿が映る。
太陽のように輝く薄い金色の髪、澄んだ水色の瞳を持つ少女は、いたずらっぽい笑みを浮かべていた。
アロイスよりも年はいくらか下のようだ。着ているのはありふれた膝丈のドレスで、さほど上質ではないところを見るに、貴族ではなさそうだった。
性別も年齢も違う彼女では、とてもアロイスの遊び相手になりそうもない。
落胆を感じたアロイスは、ぶっきらぼうに返事をした。
「二、三日前にこの街に来たから」
「ふうん……。ねえ、その靴、わざとそうしているの?」
アロイスの無愛想な態度にもめげず、少女はアロイスに問いかけてきた。
「まさか!」
「だよね」
気持ちの悪い感触に、今すぐ靴を脱いでしまいたいというのがアロイスの本音だった。だが、靴を脱いでしまえば屋敷まで裸足で帰ることになる。
アロイスは少女の視線を振り切るように、意地になって海岸を歩き出した。
少女もアロイスのあとをついて歩き出す。
アロイスが一歩進むたびに、ゴボゴボと靴が音を立てた。
「……ねえ」
「なんだよ。用もないのについてくるな」
アロイスは振り返りもせず、邪険に言い放つ。
「えっと、その靴、乾かしてあげようか?」
「え?」
アロイスは大きく目を見開き、足を止めた。
「乾かせるのか?」
願ってもない申し出に、アロイスは思わず少女に詰め寄る。
「うん。一度靴と靴下を脱いでくれる?」
「あ、ああ」
アロイスは言われるままに、慌てて靴を脱いだ。
濡れた靴と靴下を少女に差し出すと、彼女はそれを砂浜の上に並べて置く。
「ちょっと待っててね」
少女は真剣な表情で靴の前に立つと、手を大きく広げた。
少女の手が動いた軌跡に白い光が浮かび上がり、魔法陣を描いていく。
円や直線を組み合わせた複雑な図形は、魔法を使うための回路図だ。
とても自分より幼い少女が描いたとは思えない複雑な文様が、二つ、三つと空中に浮かび上がる。少女は空中の魔法陣を両手につかんだかと思うと、それらを重ね、砂の上のアロイスの靴に向かって振り下ろした。
すると、靴と靴下からぱらぱらと白い砂粒のようなものが飛び出した。しゅうっと音を立てて水分が蒸気となり、見る間に靴の色が変わって乾いていくのがわかった。
「……すごい」
間近で魔法を見るのは初めてだったアロイスは、ひたすら彼女の技に感心した。
魔力はそこそこ持っているアロイスだが、この魔法陣を描く才能がなかったために、魔法を使うことは諦めた。
魔法陣を込めた道具を使えば魔法を使うことはできるが、あらかじめ道具を用意しなければならないし、道具はそれほど簡単に手に入るものでも、安価なものでもない。
そんなわけで、早々に魔法使いになることを諦めたアロイスは軍人を目指している。
とはいっても、この病弱な身体を治さなければそれも難しいだろう。
「これで乾いたと思うよ」
靴を差し出してきた少女に、アロイスは素直に礼を述べた。
「ありがとう……。すごく、助かった」
「うふふ。どういたしまして。あんまり上手じゃないから、恥ずかしいんだけどね」
恥ずかしそうに頬を染める少女から、アロイスは差し出された靴を受け取る。
アロイスの彼女に対する態度は、決して良いものではなかったはずなのに、少女はなんの見返りも求めず助けてくれた。
こんな風に間近で魔法を見るのも初めてだったし、彼女の描いた魔法陣はとても美しく見えた。彼女は上手じゃないと謙遜するが、アロイスの目には十分素晴らしく見えたのだ。
アロイスの胸は先ほどからなぜか不自然に高まっている。
アロイスは内心で首をひねった。
「なあ、名前なんていうんだ? 俺はアル」
アロイスは彼女には愛称を呼んで欲しくて、正式な名前ではなく愛称を教える。
「私はレティよ」
「レティ……か」
彼女の名前を呟くと、アロイスの胸に温かなものが込み上げた。
「レティは、このあたりに住んでいるのか?」
「そうよ。お母さんとふたり」
「ふうん」
母親とふたりというのは、なにか訳があるのだろう。けれど、悲しそうなレティの表情に、それ以上聞くのはためらわれた。
「レティは明日もここにいる?」
「うん。この辺で遊んでることが多いかな?」
「じゃあ、明日もここで会おう。明日こそ一緒に遊ぼうか」
「うふふ。いいよ」
にこりと笑ったレティに、アロイスの胸が高鳴る。どうしていいのかわからず、アロイスは駆け出した。
「じゃあなっ!」
「うん。またね!」
元気に手を振るレティに手を振り返して、アロイスは屋敷へ続く道を走る。
明日はなにをして遊ぼうかと、いまから楽しみで仕方がなかった。
子供の頃には季節の変わり目には必ずといっていいほど風邪をひいては熱を出し、ずいぶんと両親を心配させたものだ。
ロワール王国の貴族は十四歳になると王城へ上がることを許される。けれどそれは貴族の籍があれば誰でもというわけではなく、文もしくは武の分野において優秀と認められた者に限られていた。
侯爵家に生まれながらも、病弱なアロイスがこのままでは王城へ上がることができないのではないかと心配した両親は、王国の南に位置するアルザスへと彼を送り出した。
アルザスは一年中温暖な気候で、温かな風が吹き付ける保養地として有名な街だ。
そこでアロイスは初恋の君に出会った。
◇◇◇◇
王都から移動してきてすぐに風邪をひいてしまい、二、三日前までベッドの住人となっていたアロイスは、ようやく出歩けるほどに回復した。
昨日の朝にはすっかり熱が下がっていたのだが、乳母のグレースは外出を許してくれず、ベッドで過ごすように命じられてしまった。
風邪をひいて寝込むのも早いが、若さゆえに回復も早かったアロイスは、退屈のあまりグレースに黙って屋敷を抜け出し、アルザスの街を探検することにした。
アルザスは暖かく過ごしやすいが、若い年頃の少年にとっては少々刺激に欠ける。
街を歩いてみても、アロイスと近しい年頃の少年の姿をほとんど見かけない。
仕事を引退し、余生をのんびりと過ごしているような壮年から老年に差し掛かるような人たちばかりが目に付いた。
これではとても遊び相手を見つけられそうにない。
アロイスが過ごす屋敷は丘の上にあり、街を一望できる。
屋敷から見えた港に来てみたはいいが、小さな漁港しかなく、活気に満ちているとは言いがたい。
特に見るべきものも見つからず、アロイスはふてくされながら、港近くの路地を抜け、海岸へ移動した。
白い砂浜に打ち寄せる波は穏やかで、アロイスは誘われるように波打ち際に足を踏み入れた。
砂浜の不思議な感触を踏みしめながら歩いていると、いきなり波が打ち寄せてきて、アロイスの靴を濡らした。
「つめたっ!」
背筋がゾクリとするほど水が冷たい。いくらアルザスが温暖な土地とはいえ、水に入って遊ぶには早すぎた。
アロイスは安易に足を濡らしてしまったことを後悔する。
靴はぐっしょりと海水に濡れ、歩くたびにゴボゴボといやな音を立てている。
すっかり気分が落ち込んでしまう。
このまま探検を諦めて屋敷に帰ったとしても、抜け出したことに気づいたグレースから叱られるのがわかっているだけに、帰りにくい。
アロイスが肩を落としたとき、高く澄んだ声がかけられた。
「見慣れない子ね」
慌てて振り向いたアロイスの目に、可愛らしい少女の姿が映る。
太陽のように輝く薄い金色の髪、澄んだ水色の瞳を持つ少女は、いたずらっぽい笑みを浮かべていた。
アロイスよりも年はいくらか下のようだ。着ているのはありふれた膝丈のドレスで、さほど上質ではないところを見るに、貴族ではなさそうだった。
性別も年齢も違う彼女では、とてもアロイスの遊び相手になりそうもない。
落胆を感じたアロイスは、ぶっきらぼうに返事をした。
「二、三日前にこの街に来たから」
「ふうん……。ねえ、その靴、わざとそうしているの?」
アロイスの無愛想な態度にもめげず、少女はアロイスに問いかけてきた。
「まさか!」
「だよね」
気持ちの悪い感触に、今すぐ靴を脱いでしまいたいというのがアロイスの本音だった。だが、靴を脱いでしまえば屋敷まで裸足で帰ることになる。
アロイスは少女の視線を振り切るように、意地になって海岸を歩き出した。
少女もアロイスのあとをついて歩き出す。
アロイスが一歩進むたびに、ゴボゴボと靴が音を立てた。
「……ねえ」
「なんだよ。用もないのについてくるな」
アロイスは振り返りもせず、邪険に言い放つ。
「えっと、その靴、乾かしてあげようか?」
「え?」
アロイスは大きく目を見開き、足を止めた。
「乾かせるのか?」
願ってもない申し出に、アロイスは思わず少女に詰め寄る。
「うん。一度靴と靴下を脱いでくれる?」
「あ、ああ」
アロイスは言われるままに、慌てて靴を脱いだ。
濡れた靴と靴下を少女に差し出すと、彼女はそれを砂浜の上に並べて置く。
「ちょっと待っててね」
少女は真剣な表情で靴の前に立つと、手を大きく広げた。
少女の手が動いた軌跡に白い光が浮かび上がり、魔法陣を描いていく。
円や直線を組み合わせた複雑な図形は、魔法を使うための回路図だ。
とても自分より幼い少女が描いたとは思えない複雑な文様が、二つ、三つと空中に浮かび上がる。少女は空中の魔法陣を両手につかんだかと思うと、それらを重ね、砂の上のアロイスの靴に向かって振り下ろした。
すると、靴と靴下からぱらぱらと白い砂粒のようなものが飛び出した。しゅうっと音を立てて水分が蒸気となり、見る間に靴の色が変わって乾いていくのがわかった。
「……すごい」
間近で魔法を見るのは初めてだったアロイスは、ひたすら彼女の技に感心した。
魔力はそこそこ持っているアロイスだが、この魔法陣を描く才能がなかったために、魔法を使うことは諦めた。
魔法陣を込めた道具を使えば魔法を使うことはできるが、あらかじめ道具を用意しなければならないし、道具はそれほど簡単に手に入るものでも、安価なものでもない。
そんなわけで、早々に魔法使いになることを諦めたアロイスは軍人を目指している。
とはいっても、この病弱な身体を治さなければそれも難しいだろう。
「これで乾いたと思うよ」
靴を差し出してきた少女に、アロイスは素直に礼を述べた。
「ありがとう……。すごく、助かった」
「うふふ。どういたしまして。あんまり上手じゃないから、恥ずかしいんだけどね」
恥ずかしそうに頬を染める少女から、アロイスは差し出された靴を受け取る。
アロイスの彼女に対する態度は、決して良いものではなかったはずなのに、少女はなんの見返りも求めず助けてくれた。
こんな風に間近で魔法を見るのも初めてだったし、彼女の描いた魔法陣はとても美しく見えた。彼女は上手じゃないと謙遜するが、アロイスの目には十分素晴らしく見えたのだ。
アロイスの胸は先ほどからなぜか不自然に高まっている。
アロイスは内心で首をひねった。
「なあ、名前なんていうんだ? 俺はアル」
アロイスは彼女には愛称を呼んで欲しくて、正式な名前ではなく愛称を教える。
「私はレティよ」
「レティ……か」
彼女の名前を呟くと、アロイスの胸に温かなものが込み上げた。
「レティは、このあたりに住んでいるのか?」
「そうよ。お母さんとふたり」
「ふうん」
母親とふたりというのは、なにか訳があるのだろう。けれど、悲しそうなレティの表情に、それ以上聞くのはためらわれた。
「レティは明日もここにいる?」
「うん。この辺で遊んでることが多いかな?」
「じゃあ、明日もここで会おう。明日こそ一緒に遊ぼうか」
「うふふ。いいよ」
にこりと笑ったレティに、アロイスの胸が高鳴る。どうしていいのかわからず、アロイスは駆け出した。
「じゃあなっ!」
「うん。またね!」
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