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はじまり
2日目. 目標を立てよう
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さて、食べるものを食べれば出るものが出るのが人間という生き物である。
葉月は万能ツールを取り出した。
小屋の裏に階段状に地面を掘っていく。簡易トイレだ。池に近すぎると水源を汚染してしまいそうなので、池からは離れているが、当面の拠点となる小屋から離れすぎていても使いづらい。
葉月としては、ほどほどの場所を選んだつもりだ。
二メートルほど掘り進めた場所で用を済ませ、上から土ブロックをかぶせて見えなくしておく。
(早めにきちんとしたトイレを作ろう)
着替えの服もないし、お風呂もない。欲を言えばきりがないので、優先順位をつけてこなしていくしかないのだ。
葉月は長期と短期に分けて目標を決めることにした。
<短期目標>
1.水場の確保→済み
飲用可能な湧き水を発見。
2.安全地帯の確保→済み
天露をしのぎ、敵対MOBから身を守る仮拠点の確保はできた。ただし豆腐建築。屋根に明かり取り用の穴が開いているので、雨対策が必要。余裕ができたら建て替える予定。
3.食料の確保→済み
当分はりんごとイチゴでしのげそう。根菜類については加熱調理が必要なため、別途検討。穀物やたんぱく質もほしい。
4.寝床の確保→未
とにかくぐっすり眠りたい。ベッドまたは布団の入手が必要。急務!
<長期目標>
1.生活に必要な道具を揃える。ベッド、食器、調理器具など。
2.安全対策。敵対MOBが小屋に近づけないようにする。
3.お風呂をつくる。
4.着替えをつくる。紙装備なので防御力も上げたい。
5.畑の整備。
6.拠点整備。脱豆腐建築。
7.ペットがほしい。
8.牧畜でタンパク質確保。
「ま、こんなところかな」
優先順位を忘れないようにメモをしておきたいが、紙とペンがない。
と、思った瞬間、葉月が手にしていたスコップ型の万能ツールがタブレット型携帯端末に変わった。
(ま、まじで?)
土を掘っていたものがタブレットに変わってしまうのには、かなり違和感があったが、神様がくれたものだからということにして、葉月は自分を納得させた。
タブレットは葉月が転移前に使っていたものと同じ機種だった。残念ながら機内モードになっていて、電波はない。バッテリー容量の表示が消えているところを見ると、電池が切れる心配はなさそうだった。
ネットが使えるとは思っていなかったので、特に失望することもなく、葉月はメモアプリを起動し、TODOリストを入力した。
(よし、今日は木を手に入れる!)
葉月はタブレットの地図アプリを起動する。
予想通りタブレット上には、赤い人型のアイコンで葉月の現在位置が表示されていた。けれど、映っているのはこの小屋と池周辺だけだった。
画面をピンチして地図を縮小してみると、下のほうにうねうねと曲がりくねった一本道が地図として表示され、ほかの部分は全てグレーになっていた。
どうやら葉月が移動した周辺だけが地図に表示されているらしい。
この世界に降り立ってから、この拠点まで葉月の体感では二キロほど歩いたような気がしていたけれど、地図を見る限り蛇行して進んだ所為で、直線距離では一キロほどしか移動していないようだった。
(私、方向音痴だからなぁ……)
ゲームの中でも探検に夢中になって、自分の拠点がわからなくなって大いに焦ったことは多々ある。諦めて新しい拠点を作ろうとしたら、実は拠点の裏山辺りでぐるぐる回っていたということもあった。ファークラあるあるである。
けれど、この地図アプリさえあれば目的の方向から外れたことに気づけるだろうし、いろいろと歩いてみれば地図をうめていくことができそうだ。
葉月が移動してきたのは小屋の南側だった。ここまでで木は発見できていないので、北のほうを探索してみることにする。
葉月はタブレット型の万能ツールを手に、北に向かって歩き出した。
葉月は万能ツールを取り出した。
小屋の裏に階段状に地面を掘っていく。簡易トイレだ。池に近すぎると水源を汚染してしまいそうなので、池からは離れているが、当面の拠点となる小屋から離れすぎていても使いづらい。
葉月としては、ほどほどの場所を選んだつもりだ。
二メートルほど掘り進めた場所で用を済ませ、上から土ブロックをかぶせて見えなくしておく。
(早めにきちんとしたトイレを作ろう)
着替えの服もないし、お風呂もない。欲を言えばきりがないので、優先順位をつけてこなしていくしかないのだ。
葉月は長期と短期に分けて目標を決めることにした。
<短期目標>
1.水場の確保→済み
飲用可能な湧き水を発見。
2.安全地帯の確保→済み
天露をしのぎ、敵対MOBから身を守る仮拠点の確保はできた。ただし豆腐建築。屋根に明かり取り用の穴が開いているので、雨対策が必要。余裕ができたら建て替える予定。
3.食料の確保→済み
当分はりんごとイチゴでしのげそう。根菜類については加熱調理が必要なため、別途検討。穀物やたんぱく質もほしい。
4.寝床の確保→未
とにかくぐっすり眠りたい。ベッドまたは布団の入手が必要。急務!
<長期目標>
1.生活に必要な道具を揃える。ベッド、食器、調理器具など。
2.安全対策。敵対MOBが小屋に近づけないようにする。
3.お風呂をつくる。
4.着替えをつくる。紙装備なので防御力も上げたい。
5.畑の整備。
6.拠点整備。脱豆腐建築。
7.ペットがほしい。
8.牧畜でタンパク質確保。
「ま、こんなところかな」
優先順位を忘れないようにメモをしておきたいが、紙とペンがない。
と、思った瞬間、葉月が手にしていたスコップ型の万能ツールがタブレット型携帯端末に変わった。
(ま、まじで?)
土を掘っていたものがタブレットに変わってしまうのには、かなり違和感があったが、神様がくれたものだからということにして、葉月は自分を納得させた。
タブレットは葉月が転移前に使っていたものと同じ機種だった。残念ながら機内モードになっていて、電波はない。バッテリー容量の表示が消えているところを見ると、電池が切れる心配はなさそうだった。
ネットが使えるとは思っていなかったので、特に失望することもなく、葉月はメモアプリを起動し、TODOリストを入力した。
(よし、今日は木を手に入れる!)
葉月はタブレットの地図アプリを起動する。
予想通りタブレット上には、赤い人型のアイコンで葉月の現在位置が表示されていた。けれど、映っているのはこの小屋と池周辺だけだった。
画面をピンチして地図を縮小してみると、下のほうにうねうねと曲がりくねった一本道が地図として表示され、ほかの部分は全てグレーになっていた。
どうやら葉月が移動した周辺だけが地図に表示されているらしい。
この世界に降り立ってから、この拠点まで葉月の体感では二キロほど歩いたような気がしていたけれど、地図を見る限り蛇行して進んだ所為で、直線距離では一キロほどしか移動していないようだった。
(私、方向音痴だからなぁ……)
ゲームの中でも探検に夢中になって、自分の拠点がわからなくなって大いに焦ったことは多々ある。諦めて新しい拠点を作ろうとしたら、実は拠点の裏山辺りでぐるぐる回っていたということもあった。ファークラあるあるである。
けれど、この地図アプリさえあれば目的の方向から外れたことに気づけるだろうし、いろいろと歩いてみれば地図をうめていくことができそうだ。
葉月が移動してきたのは小屋の南側だった。ここまでで木は発見できていないので、北のほうを探索してみることにする。
葉月はタブレット型の万能ツールを手に、北に向かって歩き出した。
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