愛犬との想い出

第3章

事件！痛々しい武蔵の姿に・・・

僕が高校生になった頃、近所で次々に物騒な事件が起こっていた。

近所の家に泥棒が入って財布などの貴重品が盗まれたり、近所の駐車場の車が被害に遭ったりして巡回中の警察官が注意するように家に来ることもあった。

そんなある日の深夜、武蔵が｢ワンワンワン｣と物凄い吠え方をしていたので目を覚ました僕は｢ムサシどうしたんだろう｣って思ったがしばらく経つと武蔵は吠えなくなったので僕は布団に入って眠ってしまった。

翌日になって母親が｢ムサシどうしたの？｣って声をかけていたので僕は急いで駆けつけてみると武蔵は顔が腫れて痛々しい姿になっていた。

母親が僕に｢これはきっと泥棒か誰かにぶたれた痕に違いないといった｣

確かに武蔵の傷痕を見ると何か道具を使ってぶたれた痕のように見えた。犬同士でやり合ったようには見えなかった。

念のため、近くの動物病院に武蔵を連れていって応急処置をしてもらったが、武蔵は一人で犬小屋に連れていくと怯えているような感じにも見えたので、武蔵をしばらくの間玄関に入れてあげることにした。

僕は｢ムサシがお家を守ってくれたんだよね｣っていって武蔵に抱きついた。武蔵の痛々しい姿を見ているととても悲しい気持ちになったが、武蔵は玄関に入れてもらって少しホッとしている表情にも見えた。

数日すると武蔵の痛々しい姿も回復してきて、武蔵を犬小屋へ戻した。

その後は近所で物騒な事件が起こるというようなことは聞かなくなり、僕は武蔵の事件がきっかけで泥棒もこの周辺には現れなくなったのかなって思っていた。

武蔵の事件が起こったのは武蔵が来てから約8年目だったので、人間に例えるとすでにシニア犬です。

すっかり以前のように元気になった武蔵はなかなかのやり手で僕が高校3年生の頃、ガールフレンドができたようです。というのは武蔵の犬小屋にたぶんマルチーズと思われる黒の雌犬がくるようになり、二人でじゃれ合ったり、柴犬とマルチーズで交尾をしているんです。

僕が見ているにもかかわらず、僕の顔など見向きもせず、必死になって交尾をしているのです。しばらく経っても交尾をしていて僕は一向に相手にされることもなかったので途中で家に入ってしまったので最後まで交尾を見ていなかったのですが、武蔵が必至の形相で交尾をしている姿は鮮明に覚えています。

その後、ガールフレンドは来なくなってしまってどうなってしまったのかはわかりませんが、武蔵の子孫はできたのかは少し気になるところです。

僕が高校を卒業してからも武蔵はまだ、元気だったのですが、武蔵が来てから10年が過ぎた頃から、お腹を壊すことが多くなったり、食欲がなくなってきたり、だんだん武蔵も年をとってきたのかなって感じる兆候が多くなってきました(続)