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1章 憧れのゲームの世界へ
24話
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海沿いの道から街の中へと続く大通りに入る。
ここに来てから焔たちはほとんど海沿いの方にいたので、街の中は新鮮だった。
都会というわけではない街なので、どことなくのんびりとした雰囲気がある。
しばらく進むと、街の真ん中と思われる大広場にでた。
ここにはたくさんのお店があり、パンやケーキのお店や日用品を扱っているところなどもある。
買い物をするならここに来るだけで全部済ませられそうなくらいだった。
そのため、この時間からすでにかなりの人が集まっている。
「なんだかすごいねお兄ちゃん」
「ああ、さっきから甘いにおいがして誘われてしまうな」
焔はおいしそうなにおいをクンクンと嗅いでいる。
「あれ? 舞依の方から甘いにおいがするぞ? 確かめさせてくれ」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん!」
焔は舞依を後ろから抱きしめ、髪に顔を押し当てクンクンとする。
「ああ、やっぱり舞依からいいにおいがするぞ。食べてしまいたい」
「もお~、今はダメだよ、お兄ちゃん」
「しょうがない、夜まで我慢するか」
急にいちゃつき始めたふたりにまわりのみんなが生温かい視線を送る。
「いや、夜でもダメですからね」
一応明日香がツッコんでおくが、きっと意味はないと思っていた。
「ねえねえお兄ちゃん、私はいいにおいする?」
そこに今回は詩乃が割り込んできた。
焔は目をギラギラさせながら詩乃の方へと近づく。
「よ~し、俺がしっかりと確かめてやろう」
焔が詩乃を抱きしめようと背後に回った瞬間、明日香が焔の後頭部に手刀をいれた。
「やめてください、この変態」
「なんだよ、詩乃がいいって言ってるんだからいいだろ」
「よくありません、私が詩乃ちゃんにクンカクンカしてたらどう思います?」
「……普通に気持ち悪い」
「でしょう? あなたはそれをやろうとしてたんですよ」
「他人になんと思われようとやりたいものはやりたい」
「お願いだから我慢してください」
「なんだよ明日香、もしかしてうらやましいのか?」
「そうですけど何か?」
「そうなのか……、それなら仕方ない、俺も我慢するとしよう」
明日香が我慢するならと、焔もここは耐えることにした。
「お兄ちゃん、私のにおいは?」
「ああ、いいにおいがするよ」
「えへへ」
変態行為をしなくてもこの発言自体がアウトのような気もするが、焔としては頑張った結果だった。
それに変なことをしなくても、詩乃からは本当にいいにおいがしていた。
甘いパンのようなにおいがさきほどからしていたのが、実は詩乃からだったのだ。
「詩乃ちゃんからパンみたいなにおいがするね」
「ああ、多分家でお母さんがパンを焼いてるからかな」
「それでか」
宿で提供するパンだろうか。
このまま詩乃を抱きしめてしまいたいくらいいいにおいだった。
詩乃の家の宿に泊まれば、このパンをごちそうになることもできるのだろうか。
焔の楽しみがさらに増えた。
「さあ、とりあえずここにはまた後で来るとして、先に宿の方へ行ってしまおうか」
焔がみんなに声をかけると、夏海があるお店を凝視しているのに気づく。
その視線の先を追うと、そこはソフトクリームのお店だった。
「夏海ちゃん、あれ食べたいの?」
「へ? いえ別に後からでいいですよ」
「いいんじゃない? ソフトクリームくらい歩きながら食べれば」
「そ、そうですか?」
焔たちはソフトクリームを人数分購入し、食べながら宿にむかうことにした。
焔と舞依、それから詩乃はお芋ソフト、残りの者はバニラソフトを選ぶ。
しばらくソフトクリームを堪能しながら歩いたところで、夏海が詩乃に話しかける。
「詩乃ちゃんのお芋味もおいしそうだね」
「おいしいですよ、ちょっと食べてみますか」
「いいの? じゃあちょっとだけ……」
夏海は詩乃の食べかけをほんの少しだけ舌ですくって食べる。
「うん、おいしいね。こっちもちょっと食べていいよ」
「わあ、ありがとうございます!」
今度は夏海の食べかけを詩乃が少し舐める。
そのやりとりを見た焔はかなりの衝撃を受けていた。
(しまったぁあああ! その手があったか、やるじゃないか夏海ちゃん! くっそおおお!)
別に夏海にはそんなやましい気持ちなどまったくなく、単に別味のソフトクリームが気になっただけだ。
しかし、焔にはそんなこと関係なく、せっかくのチャンスを逃してしまったことを激しく後悔していた。
そしてその隣で明日香も同じような表情をしていた。
ふたりの変態の思考回路はとてもよく似ているようだ。
ここに来てから焔たちはほとんど海沿いの方にいたので、街の中は新鮮だった。
都会というわけではない街なので、どことなくのんびりとした雰囲気がある。
しばらく進むと、街の真ん中と思われる大広場にでた。
ここにはたくさんのお店があり、パンやケーキのお店や日用品を扱っているところなどもある。
買い物をするならここに来るだけで全部済ませられそうなくらいだった。
そのため、この時間からすでにかなりの人が集まっている。
「なんだかすごいねお兄ちゃん」
「ああ、さっきから甘いにおいがして誘われてしまうな」
焔はおいしそうなにおいをクンクンと嗅いでいる。
「あれ? 舞依の方から甘いにおいがするぞ? 確かめさせてくれ」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃん!」
焔は舞依を後ろから抱きしめ、髪に顔を押し当てクンクンとする。
「ああ、やっぱり舞依からいいにおいがするぞ。食べてしまいたい」
「もお~、今はダメだよ、お兄ちゃん」
「しょうがない、夜まで我慢するか」
急にいちゃつき始めたふたりにまわりのみんなが生温かい視線を送る。
「いや、夜でもダメですからね」
一応明日香がツッコんでおくが、きっと意味はないと思っていた。
「ねえねえお兄ちゃん、私はいいにおいする?」
そこに今回は詩乃が割り込んできた。
焔は目をギラギラさせながら詩乃の方へと近づく。
「よ~し、俺がしっかりと確かめてやろう」
焔が詩乃を抱きしめようと背後に回った瞬間、明日香が焔の後頭部に手刀をいれた。
「やめてください、この変態」
「なんだよ、詩乃がいいって言ってるんだからいいだろ」
「よくありません、私が詩乃ちゃんにクンカクンカしてたらどう思います?」
「……普通に気持ち悪い」
「でしょう? あなたはそれをやろうとしてたんですよ」
「他人になんと思われようとやりたいものはやりたい」
「お願いだから我慢してください」
「なんだよ明日香、もしかしてうらやましいのか?」
「そうですけど何か?」
「そうなのか……、それなら仕方ない、俺も我慢するとしよう」
明日香が我慢するならと、焔もここは耐えることにした。
「お兄ちゃん、私のにおいは?」
「ああ、いいにおいがするよ」
「えへへ」
変態行為をしなくてもこの発言自体がアウトのような気もするが、焔としては頑張った結果だった。
それに変なことをしなくても、詩乃からは本当にいいにおいがしていた。
甘いパンのようなにおいがさきほどからしていたのが、実は詩乃からだったのだ。
「詩乃ちゃんからパンみたいなにおいがするね」
「ああ、多分家でお母さんがパンを焼いてるからかな」
「それでか」
宿で提供するパンだろうか。
このまま詩乃を抱きしめてしまいたいくらいいいにおいだった。
詩乃の家の宿に泊まれば、このパンをごちそうになることもできるのだろうか。
焔の楽しみがさらに増えた。
「さあ、とりあえずここにはまた後で来るとして、先に宿の方へ行ってしまおうか」
焔がみんなに声をかけると、夏海があるお店を凝視しているのに気づく。
その視線の先を追うと、そこはソフトクリームのお店だった。
「夏海ちゃん、あれ食べたいの?」
「へ? いえ別に後からでいいですよ」
「いいんじゃない? ソフトクリームくらい歩きながら食べれば」
「そ、そうですか?」
焔たちはソフトクリームを人数分購入し、食べながら宿にむかうことにした。
焔と舞依、それから詩乃はお芋ソフト、残りの者はバニラソフトを選ぶ。
しばらくソフトクリームを堪能しながら歩いたところで、夏海が詩乃に話しかける。
「詩乃ちゃんのお芋味もおいしそうだね」
「おいしいですよ、ちょっと食べてみますか」
「いいの? じゃあちょっとだけ……」
夏海は詩乃の食べかけをほんの少しだけ舌ですくって食べる。
「うん、おいしいね。こっちもちょっと食べていいよ」
「わあ、ありがとうございます!」
今度は夏海の食べかけを詩乃が少し舐める。
そのやりとりを見た焔はかなりの衝撃を受けていた。
(しまったぁあああ! その手があったか、やるじゃないか夏海ちゃん! くっそおおお!)
別に夏海にはそんなやましい気持ちなどまったくなく、単に別味のソフトクリームが気になっただけだ。
しかし、焔にはそんなこと関係なく、せっかくのチャンスを逃してしまったことを激しく後悔していた。
そしてその隣で明日香も同じような表情をしていた。
ふたりの変態の思考回路はとてもよく似ているようだ。
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