211 / 228
第一章 王国編第二部(中等部)
エピソード173 出店人気バトルの始まり?
しおりを挟む
激闘を繰り広げたウルトラ頭脳クイズ。
出場した生徒達は肩を落とす者もいれば、喜びを噛み締める者もいた。
そしてオレ達の目の前には呪文のように許しを乞うクラリネさんが無表情で立っていた……
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「だ、大丈夫よクラリネ。あんなのアタシでも無理だわ」
「くっ! 相手を妨害する魔法に早押しだと! ぼくの騎士道精神を辱めるような戦い方に歯痒さを感じたよ……」
そんなクラリナさんを抱きしめて励ますフィーネとリアナだったが、その様子を近くで眺めていたクラスメイト達、みんなの表情はクラリネさんにつられてか暗く沈みこんでいた。
(リアナ、それが早押しクイズだから……魔法で妨害するのもルールで認められているから……とりあえず騎士道精神とはなんぞや?)
「なんか、オレ達邪魔みたいだし、ちょっとクラスに戻ります……」
とりあえずこの場をフィーネやリアナを含めた女子達に任せて、オレとモーガンとショーンはブラブラしながら其々のクラスに向かった。
オレ達は早々と一階に降り、二年生の教室があるエリアではなく、反対方向の一年生の教室が並ぶエリアにやってきたのだが……
「一年四組は貴族ジャンケン大会をやっています!」
(ん? なんだそのパワーワードは?)
「貴族ジャンケンのルールは、初心者向けの男爵リアルタイムルールもあります! 勿論上級者向けの伯爵マインドもやってます! 一度ノブレス・オブリージュの心でお立ち寄り下さい」
(はい? 何を言っているのか全く分からないんですが……こんな時はお助けモーガンに聞いてみよう)
「なぁモーガン……貴族ジャンケンとは一体なに?」
オレの問いかけにモーガンは苦笑しながら答えた。
「小さな子どもから大人まで遊べる遊びだよ。王都のみで流行ったからクライヴが住んでいた所では聞かない遊びだったのかもしれないね。ボク達が出会った時も仕事ばかりで子どもらしい遊びとかしなかったよね」
「おう! ワシは男爵リアルタイムしか知らんがのぉ」
「そうなんだね、ボクはどちらもあまりした事ないよ」
その後もモーガンの説明は続き、どうやら男爵リアルタイムルールは普通のジャンケンだった。意外にも前世の日本でしていたジャンケンとほぼ一緒だった。グーチョキパーのポーズだけ少し違う程度だ。
しかし次の伯爵マインドというルールはまさに別物だ!
ただグーチョキパーのように単純に勝負が決まるわけではない。ポーズの優雅さも必要との事で…………
そもそもグーチョキパーではなく、お辞儀が二種類とダンスのポーズが六種類の合計八種類のポーズで勝敗をつけるらしい。
お辞儀には、右手を体に添えながら左手を横方向へ水平にするボウアンドスクレイプと、淑女のお辞儀カーテシーがある。
ダンスは英国式の社交ダンスで一人でのエアーダンスを行うらしい……
その動作はワルツのスピンターン、シャッセ。スローフォックストロットのリバースターン、フェザーステップ。クイックステップのステップホップ、ウッドペッカータップスの三つのジャンルの計六種類の動作がある。
それぞれの関係性はお辞儀はワルツに強く、ワルツはスローフォックストロットに強く、スローフォックストロットはクイックステップに強く、クイックステップはお辞儀に強いとなっている。
また同ジャンル内のポーズや優劣の無いポーズの場合はあいこではなく、技の優雅さで勝敗を決めるとの事だった。優雅さの基準はどれだけ相手のポーズに心打たれたかが判断基準らしい……
よって伯爵マインドというルールは貴族にしか出来ないジャンケンだ…………
なので男爵リアルタイムルールという平民でも楽しめるルールがあった事で老若男女問わず王都で流行した遊びになったとの事だった。
(うんツッコミどころ満載! 何が面白いのか全くわからないけど…………この世界には娯楽が少ないからこんな遊びでも流行ったのかなぁ)
そんなモーガンの説明を聞きながら其々のクラスに帰った。
帰ったのだが!
オレ達の一年二組の教室前では数名が入口前でザワザワと話をしており、なんとも言えぬ異様な雰囲気を感じた。
「なぁモーガン、何でかわからないけどあの人達やたら顔色が悪いよな……」
「あぁ、ボク達のクラスのお化け屋敷がよほど迫力があったのかな?」
モーガンは顎を触りながら何かを考えているようだ。
「クライヴ、ボク達も覗いてみないかい?」
「ちょっとアンタ! アタシを待ちなさいよ! クライヴのくせに!」
何故か激おこフィーネさんの登場である。
「ごめんごめんクライヴと先に入ろうとして。クラリネさんはどうしたの?」
「あぁ、クラリネならクラスの子達と一緒に出店巡りをしているわよ。校舎の外で二年生達が模擬店しているみたいで、クレープとかサンドイッチとか売ってるらしいわよ」
「へぇ~後で行ってみるかフィーネ」
オレは少しお腹も空いてきたので、クラスのお化け屋敷を見学した後でショーンやリアナ達も誘いみんなで模擬店巡りをしようと考えたが、フィーネには上手く伝わらなかった…………
「なっ! ふっ二人でなんか、デ、デートしたいからってモーガンの前でや、やめないと恥ずかしいんだから……ばか…………」
恥ずかしさからか真っ赤な顔のフィーネはオレに背中を向けた。
(勘違いが過ぎるぞフィーネさん。確かにオレも言葉足らずだったけど、なんでオレがモーガンの前でフィーネに二人でデートしようって誘うと思っているんだよ! モーガンも一緒に行動して学祭を楽しむだろ普通は)
その後フィーネに説明して誤解を解いてもらったが、ふーん死ねば良いのにとポツリと呟かれたのはガクブルでした……
そんな事もあったが、オレ達はショーンとリアナと合流してまずは二組のお化け屋敷から見学する事にした。
「おぉぉ! 入口からくれぇのぉ」
ショーンの言う通り、入口から入るとすぐ暗闇の世界が広がり、その通路は一方通行で幅は両手を広げる程度しかなく、二人寄り添って歩くように設計されているのだろう。
また道順の看板付近が光の魔道具でぼんやりと照らされていて雰囲気が増し増しだ。
「へぇ~雰囲気あるね」
声のトーンからモーガンはワクワクしているようだが、オレと女性陣はテンションがだだ下がりだ。
「モーガン…………もう入口から外に出ようか。薄気味悪いぞ……ここ」
「そ、そそそそうだ! クライヴの言う通りにしよう。こんな暗さの中で、もし襲われでもしたらそれはフェアーな闘いじゃない! 学生だからこそ騎士道精神の志しが必要だと思うんだ」
「ク、クライヴ、ア、アアアアンタ怖いんでしょ! なな情けないわよ ア、アタシは怖くないんだからね」
ガラガラ
「「ウッ!」」
「ヒャーー!」
オレとリアナは物音に耐える事ができたが、先程まで強気発言のフィーネは情けない声をあげていた…………
「すまん。入口のドアを開けっぱなしにしとったけぇ、閉めてきたんじゃ」
「「「ショーン!」」」
まだ何も起きてない入口付近で恐怖に怯えるオレとフィーネとリアナの声がハモった…………
(もう無理だって、怖いって、何でこの世にお化け屋敷という物が存在しているんだ? しかも前世のみならずこの世界でも!)
モーガンを先頭にオレがそのすぐ後ろ、フィーネとリアナは二人で寄り添って歩き、最後列はショーンが歩くフォーメーションでこのお化け屋敷に立ち向かった。
我先にと歩くモーガンについて行くオレ達に、早速お化け屋敷の洗礼を受ける事となった。
ヌメッ!
冷んやりとした何かがオレの頬を撫でる。
「ヒッ!」
その感覚に叫び声をあげずに耐える事ができたが、なにやら生臭い……
(こんにゃく? いや違う、こうなんか脂っぽいヌメリとした感触…………)
「キャー! 何よコレ!」
「クッ! こんな醜態を晒すとは……」
「あぁ、これはアレじゃのぉ! 偽ブタのブロック肉じゃ。脂身の多い部位を使っとるのぉ」
(えっ? 何で生肉なの? しかも脂凄いし、コレ絶対臭うやつだよ…………)
だがこのお化け屋敷はそれだけでは終わらなかった……
オレ達は警戒しながら進んで行くと、スポットライトの下に何故か直径三メートルのボールプールがポツンと佇んでいた。
(絶対驚かす系の何かが潜んでいるだろ。そこ)
「ちょ、ちょっとアンタ早く行きなさいよ!」
「ク、クライヴ、君の後にぼく達も続こう」
モーガンも足を止めていて、何故かみんながオレが先に行けと促してくる……
そして心を整える事三分、オレは恐る恐る一歩を踏み出した。
「ふん!」
野生味溢れる声とともにボールプールの中から敵ながらアッパレとしか言えない大胸筋の厚さを誇るサイドチェストのポージングでブーメランパンツを履いた男が飛び出した。
(怖い! 怖いけど思っていた怖さと違うジャンルの怖さ!)
「ぬぉう!」
荒々しい声とともに、またしてもボールプールの中から見事な広背筋を披露して背中で語ろうとダブルバイセップスバックのポージングでブーメランパンツを履いた男が時間差で飛び出してきた。
「「「「「……………………」」」」」
お化け屋敷ではまず無い、間違った怖さを披露されてオレ達は絶句した…………
(なんで? お化け屋敷でコレじゃ無い感が凄いぞ! どうして脅かす役の二人はやりきった顔をしてるんだ。違う違う、ここは幽霊の格好とかで脅かすところだろ!)
オレ達はツッコミたい気持ちを抑え込んでもう少し先に見える蝋燭で照らされた場所まで歩き出した。
「なんだか次は寒気を感じるなぁ」
オレはこの教室内での温度の変化に戸惑いを感じた。
「あの蝋燭の辺りにカラクリがありそうだね」
そう言ってモーガンはオレ達を先導する。
蝋燭で照らされた場所に着くと、壁に何かのボタンがあった。
そのボタンの上近くの看板には【絶対に押すなよ! 押すなって言ったからな! 押したら危険だからな! 本当だぞ!】と書かれていて興味をくすぐる内容だった。
「アンタ押しなさいよ!」
「おう! ここはクライヴじゃな」
「フッここはクライヴに任せようじゃないか」
「頑張って」
またしてもみんなからプレッシャーをかけられてオレが挑戦する事になった……
(くそー! もう押してやる!)
ポチッ………………
(ん? 故障か? 何も起きないじゃないか)
ドドドドドドドド
そんなオレの思いを裏切るように轟音とともに大量の水が上から降り注ぐ…………
その水量と水圧は消防車の放水を超えていた…………
「うぇっぷ! おい! おかしいだろコレ! 息できなくて危うく殺人事件になるところだったぞ!」
「「「「………………」」」」
オレの怒りの声と仲間達の静寂が広がったが、仕掛け人は誰も反応しなかった……
(普通ここはミスト的な霧で雰囲気を作るとか、押したら後ろから脅かしにくるとか、色々あったじゃん絶対に…………確かに怖いよ、一瞬息できなかったし、首も痛いし……背筋が凍るような怖さじゃなく、物理的な恐怖じゃんコレ)
その後もテーブルの上にクラスメイトのメガネとその所有者の名前が書かれたプレートが置かれている謎のエリアや、女子生徒が通る時だけハァハァ聞こえる穴の空いた壁エリア等、多様な攻め方のお化け屋敷を堪能? したオレ達だった。
出場した生徒達は肩を落とす者もいれば、喜びを噛み締める者もいた。
そしてオレ達の目の前には呪文のように許しを乞うクラリネさんが無表情で立っていた……
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「だ、大丈夫よクラリネ。あんなのアタシでも無理だわ」
「くっ! 相手を妨害する魔法に早押しだと! ぼくの騎士道精神を辱めるような戦い方に歯痒さを感じたよ……」
そんなクラリナさんを抱きしめて励ますフィーネとリアナだったが、その様子を近くで眺めていたクラスメイト達、みんなの表情はクラリネさんにつられてか暗く沈みこんでいた。
(リアナ、それが早押しクイズだから……魔法で妨害するのもルールで認められているから……とりあえず騎士道精神とはなんぞや?)
「なんか、オレ達邪魔みたいだし、ちょっとクラスに戻ります……」
とりあえずこの場をフィーネやリアナを含めた女子達に任せて、オレとモーガンとショーンはブラブラしながら其々のクラスに向かった。
オレ達は早々と一階に降り、二年生の教室があるエリアではなく、反対方向の一年生の教室が並ぶエリアにやってきたのだが……
「一年四組は貴族ジャンケン大会をやっています!」
(ん? なんだそのパワーワードは?)
「貴族ジャンケンのルールは、初心者向けの男爵リアルタイムルールもあります! 勿論上級者向けの伯爵マインドもやってます! 一度ノブレス・オブリージュの心でお立ち寄り下さい」
(はい? 何を言っているのか全く分からないんですが……こんな時はお助けモーガンに聞いてみよう)
「なぁモーガン……貴族ジャンケンとは一体なに?」
オレの問いかけにモーガンは苦笑しながら答えた。
「小さな子どもから大人まで遊べる遊びだよ。王都のみで流行ったからクライヴが住んでいた所では聞かない遊びだったのかもしれないね。ボク達が出会った時も仕事ばかりで子どもらしい遊びとかしなかったよね」
「おう! ワシは男爵リアルタイムしか知らんがのぉ」
「そうなんだね、ボクはどちらもあまりした事ないよ」
その後もモーガンの説明は続き、どうやら男爵リアルタイムルールは普通のジャンケンだった。意外にも前世の日本でしていたジャンケンとほぼ一緒だった。グーチョキパーのポーズだけ少し違う程度だ。
しかし次の伯爵マインドというルールはまさに別物だ!
ただグーチョキパーのように単純に勝負が決まるわけではない。ポーズの優雅さも必要との事で…………
そもそもグーチョキパーではなく、お辞儀が二種類とダンスのポーズが六種類の合計八種類のポーズで勝敗をつけるらしい。
お辞儀には、右手を体に添えながら左手を横方向へ水平にするボウアンドスクレイプと、淑女のお辞儀カーテシーがある。
ダンスは英国式の社交ダンスで一人でのエアーダンスを行うらしい……
その動作はワルツのスピンターン、シャッセ。スローフォックストロットのリバースターン、フェザーステップ。クイックステップのステップホップ、ウッドペッカータップスの三つのジャンルの計六種類の動作がある。
それぞれの関係性はお辞儀はワルツに強く、ワルツはスローフォックストロットに強く、スローフォックストロットはクイックステップに強く、クイックステップはお辞儀に強いとなっている。
また同ジャンル内のポーズや優劣の無いポーズの場合はあいこではなく、技の優雅さで勝敗を決めるとの事だった。優雅さの基準はどれだけ相手のポーズに心打たれたかが判断基準らしい……
よって伯爵マインドというルールは貴族にしか出来ないジャンケンだ…………
なので男爵リアルタイムルールという平民でも楽しめるルールがあった事で老若男女問わず王都で流行した遊びになったとの事だった。
(うんツッコミどころ満載! 何が面白いのか全くわからないけど…………この世界には娯楽が少ないからこんな遊びでも流行ったのかなぁ)
そんなモーガンの説明を聞きながら其々のクラスに帰った。
帰ったのだが!
オレ達の一年二組の教室前では数名が入口前でザワザワと話をしており、なんとも言えぬ異様な雰囲気を感じた。
「なぁモーガン、何でかわからないけどあの人達やたら顔色が悪いよな……」
「あぁ、ボク達のクラスのお化け屋敷がよほど迫力があったのかな?」
モーガンは顎を触りながら何かを考えているようだ。
「クライヴ、ボク達も覗いてみないかい?」
「ちょっとアンタ! アタシを待ちなさいよ! クライヴのくせに!」
何故か激おこフィーネさんの登場である。
「ごめんごめんクライヴと先に入ろうとして。クラリネさんはどうしたの?」
「あぁ、クラリネならクラスの子達と一緒に出店巡りをしているわよ。校舎の外で二年生達が模擬店しているみたいで、クレープとかサンドイッチとか売ってるらしいわよ」
「へぇ~後で行ってみるかフィーネ」
オレは少しお腹も空いてきたので、クラスのお化け屋敷を見学した後でショーンやリアナ達も誘いみんなで模擬店巡りをしようと考えたが、フィーネには上手く伝わらなかった…………
「なっ! ふっ二人でなんか、デ、デートしたいからってモーガンの前でや、やめないと恥ずかしいんだから……ばか…………」
恥ずかしさからか真っ赤な顔のフィーネはオレに背中を向けた。
(勘違いが過ぎるぞフィーネさん。確かにオレも言葉足らずだったけど、なんでオレがモーガンの前でフィーネに二人でデートしようって誘うと思っているんだよ! モーガンも一緒に行動して学祭を楽しむだろ普通は)
その後フィーネに説明して誤解を解いてもらったが、ふーん死ねば良いのにとポツリと呟かれたのはガクブルでした……
そんな事もあったが、オレ達はショーンとリアナと合流してまずは二組のお化け屋敷から見学する事にした。
「おぉぉ! 入口からくれぇのぉ」
ショーンの言う通り、入口から入るとすぐ暗闇の世界が広がり、その通路は一方通行で幅は両手を広げる程度しかなく、二人寄り添って歩くように設計されているのだろう。
また道順の看板付近が光の魔道具でぼんやりと照らされていて雰囲気が増し増しだ。
「へぇ~雰囲気あるね」
声のトーンからモーガンはワクワクしているようだが、オレと女性陣はテンションがだだ下がりだ。
「モーガン…………もう入口から外に出ようか。薄気味悪いぞ……ここ」
「そ、そそそそうだ! クライヴの言う通りにしよう。こんな暗さの中で、もし襲われでもしたらそれはフェアーな闘いじゃない! 学生だからこそ騎士道精神の志しが必要だと思うんだ」
「ク、クライヴ、ア、アアアアンタ怖いんでしょ! なな情けないわよ ア、アタシは怖くないんだからね」
ガラガラ
「「ウッ!」」
「ヒャーー!」
オレとリアナは物音に耐える事ができたが、先程まで強気発言のフィーネは情けない声をあげていた…………
「すまん。入口のドアを開けっぱなしにしとったけぇ、閉めてきたんじゃ」
「「「ショーン!」」」
まだ何も起きてない入口付近で恐怖に怯えるオレとフィーネとリアナの声がハモった…………
(もう無理だって、怖いって、何でこの世にお化け屋敷という物が存在しているんだ? しかも前世のみならずこの世界でも!)
モーガンを先頭にオレがそのすぐ後ろ、フィーネとリアナは二人で寄り添って歩き、最後列はショーンが歩くフォーメーションでこのお化け屋敷に立ち向かった。
我先にと歩くモーガンについて行くオレ達に、早速お化け屋敷の洗礼を受ける事となった。
ヌメッ!
冷んやりとした何かがオレの頬を撫でる。
「ヒッ!」
その感覚に叫び声をあげずに耐える事ができたが、なにやら生臭い……
(こんにゃく? いや違う、こうなんか脂っぽいヌメリとした感触…………)
「キャー! 何よコレ!」
「クッ! こんな醜態を晒すとは……」
「あぁ、これはアレじゃのぉ! 偽ブタのブロック肉じゃ。脂身の多い部位を使っとるのぉ」
(えっ? 何で生肉なの? しかも脂凄いし、コレ絶対臭うやつだよ…………)
だがこのお化け屋敷はそれだけでは終わらなかった……
オレ達は警戒しながら進んで行くと、スポットライトの下に何故か直径三メートルのボールプールがポツンと佇んでいた。
(絶対驚かす系の何かが潜んでいるだろ。そこ)
「ちょ、ちょっとアンタ早く行きなさいよ!」
「ク、クライヴ、君の後にぼく達も続こう」
モーガンも足を止めていて、何故かみんながオレが先に行けと促してくる……
そして心を整える事三分、オレは恐る恐る一歩を踏み出した。
「ふん!」
野生味溢れる声とともにボールプールの中から敵ながらアッパレとしか言えない大胸筋の厚さを誇るサイドチェストのポージングでブーメランパンツを履いた男が飛び出した。
(怖い! 怖いけど思っていた怖さと違うジャンルの怖さ!)
「ぬぉう!」
荒々しい声とともに、またしてもボールプールの中から見事な広背筋を披露して背中で語ろうとダブルバイセップスバックのポージングでブーメランパンツを履いた男が時間差で飛び出してきた。
「「「「「……………………」」」」」
お化け屋敷ではまず無い、間違った怖さを披露されてオレ達は絶句した…………
(なんで? お化け屋敷でコレじゃ無い感が凄いぞ! どうして脅かす役の二人はやりきった顔をしてるんだ。違う違う、ここは幽霊の格好とかで脅かすところだろ!)
オレ達はツッコミたい気持ちを抑え込んでもう少し先に見える蝋燭で照らされた場所まで歩き出した。
「なんだか次は寒気を感じるなぁ」
オレはこの教室内での温度の変化に戸惑いを感じた。
「あの蝋燭の辺りにカラクリがありそうだね」
そう言ってモーガンはオレ達を先導する。
蝋燭で照らされた場所に着くと、壁に何かのボタンがあった。
そのボタンの上近くの看板には【絶対に押すなよ! 押すなって言ったからな! 押したら危険だからな! 本当だぞ!】と書かれていて興味をくすぐる内容だった。
「アンタ押しなさいよ!」
「おう! ここはクライヴじゃな」
「フッここはクライヴに任せようじゃないか」
「頑張って」
またしてもみんなからプレッシャーをかけられてオレが挑戦する事になった……
(くそー! もう押してやる!)
ポチッ………………
(ん? 故障か? 何も起きないじゃないか)
ドドドドドドドド
そんなオレの思いを裏切るように轟音とともに大量の水が上から降り注ぐ…………
その水量と水圧は消防車の放水を超えていた…………
「うぇっぷ! おい! おかしいだろコレ! 息できなくて危うく殺人事件になるところだったぞ!」
「「「「………………」」」」
オレの怒りの声と仲間達の静寂が広がったが、仕掛け人は誰も反応しなかった……
(普通ここはミスト的な霧で雰囲気を作るとか、押したら後ろから脅かしにくるとか、色々あったじゃん絶対に…………確かに怖いよ、一瞬息できなかったし、首も痛いし……背筋が凍るような怖さじゃなく、物理的な恐怖じゃんコレ)
その後もテーブルの上にクラスメイトのメガネとその所有者の名前が書かれたプレートが置かれている謎のエリアや、女子生徒が通る時だけハァハァ聞こえる穴の空いた壁エリア等、多様な攻め方のお化け屋敷を堪能? したオレ達だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜
鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。
(早くない?RTAじゃないんだからさ。)
自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。
けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。
幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。
けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、
そもそも挽回する気も起こらない。
ここまでの学園生活を振り返っても
『この学園に執着出来る程の魅力』
というものが思い当たらないからだ。
寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。
それに、これ以上無理に通い続けて
貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより
故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が
ずっと実りある人生になるだろう。
私を送り出した公爵様も領主様も、
アイツだってきっとわかってくれる筈だ。
よし。決まりだな。
それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして……
大人しくする理由も無くなったし、
これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。
せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。
てな訳で………
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。
…そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、
掲示板に張り出された正式な退学勧告文を
確認しに行ったんだけど……
どういう事なの?これ。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる