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第一章 王国編第一部(初等部)
エピソード114 初等部二年生後期の授業
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えー、やっと王都に戻ってきました…………
もうしばらくは帰省しないと思います。
シェリダン子爵の町から逃げるように王都行きの馬車に乗り込んだのですが、神父様と呼んで良いウェーイな人間が何故か見送りに来ていました。
「ヘイ! ヨー! 見送りにやってきたぞ! イェイ、イェイ!
クライヴお前の幸せ、願う俺は神父!
ナイーブなお前はシワ寄せ、泣かぬ男クライヴ!
こうと決めたら頑固だ、だがここはお前の故郷、マメに戻れ!
王都行くと聞いたら、ただそこはお前は孤高、夢に進め!
イェイ! カモン! ヘイ! オーディエンス、ハンズクラップ!
クライヴのヤバさは、他を泣かす価値ある天才!
お前のやり方で、名を残し勝ち取れ人生!
帰りは手ぶらか?
俺のブラザーは?」
そんな神父野郎が、俺の知らない特産品の神父金運まんじゅうを無理矢理手渡された。
「…………………………」
オレは無言で受け取りとりあえず軽く会釈をした…………
そして馬車の中で、先程無理やり受け取った神父金運まんじゅうを開いてみると、人の顔の大きさのまんじゅうが一つだけ入っており、そこには笑顔の神父野郎の顔が描かれており、額には金運と書いてあった………………
勿論フィーネもドン引きである。
「フィーネ………………」
「なにクライヴ?」
「オレの故郷は心の中で今日消滅したよ…………」
「うん……」
何も言わずにただ頷いてくれるフィーネの優しさが嬉しかった。
オレは神父様との思い出の日々を走馬灯のように浮かべながら神父金運まんじゅうを噛み締めた。
笑顔の神父が描かれていたが、オレは悔しさと悲しさが入り混じり……涙の味しかしなかった……
そして悲しみを抱えながらオレは王都に戻ってきた。
しばらくモーガン達に何かあったのかと心配されたが、フィーネが「今は一人にさせてあげて……」とフォローをしてくれていたらしい。
そして夏休みが明けて後期の授業が開始された。
「クライヴおはよう。もう大丈夫そうだね。学生寮に戻ってきたらクライヴが塞ぎ込んでいるって聞いてボク達心配していたよ。まさかクライヴが! ってね」
モーガンは笑顔で話しかけてくれて、久しぶりのモーガンの笑顔は荒んだ心が洗われるようだった。
「あぁ、みんなに心配かけてゴメン。もう大丈夫だ」
そして階段でフィーネ達と合流して食堂に向かうと何故が新入生全員が待ち構えていた。
突然女の子三人組がオレとモーガンにマシンガンのように質問してきた。
「あの、私、入学式の挨拶の時からクライヴ先輩が好きです! 先輩は彼女とかいますか? 趣味は何ですか? 好きな食べ物は何ですか? どんな女の子が好きですか? モーガン先輩と付き合っていますか?」
うん! この子めっちゃ真っ赤な顔して緊張しているのだろうが。最後の質問がおかしいぞ。
そして別の女の子はモーガンに質問していた。
「モーガン先輩はどうしてそんなにキラキラしているのですか? もしかして天使ですか? 好きなタイプを教えて下さい。やっぱり彼氏はクライヴ先輩ですか?」
うん! すごく照れて緊張感しているのは分かるが……更におかしい子だぞ。
そして男の子達はフィーネとリアナに話しかけていた。
「あ、あ、あの、先輩方はどんな男性が好きですか? そ、その参考までに」
恥ずかしくてフィーネとリアナの顔が見れないんだろうな…………
だがしかしオレは気付いているぞ!
お前達がリアナの目を合わせないように胸の辺りを見ているのを!
「アタシは臆病な癖にお節介で優しくて友達想いでピンチの時には身を挺して守ってくれて、本当は強くて頼りになる人かな」
うん! フィーネ、該当者はいるのだろうか?
「ぼくは顔を合わせて話す事が出来ないのはお断りだ。人の顔を見て話すのは最低限のマナーだと思うからね」
リアナは男の子達の視線に気付いていたんだね。厳しいお言葉で……
そんな新入生達から憧れの目で見られるのは別にいいのだが…………一人納得していない人がいた。
「おい! おめぇら、ワシの事でなんか聞きたいことがあろうが?」
「いやぁぁ!」
「きゃぁぁ!」
「すみせんでした!」
ショーンが新入生に多分優しく話しかけたつもりなのだろうが、とても嫌がられていた…………
落ち込むショーンの肩を叩きオレ達は朝食を食べ、学院に向かった。
「き、今日は、歴史の授業を始めるよ」
ダン先生は相変わらず自信が無さそうに授業を進めていた。
「今日は、王国について学ぶよ。王国は平和続いているよね。それは現在の王様が平和を愛する人だからだよ。でもね平和を守り続けるには近隣諸国との関係性が大事になってくるんだよ。そんな近隣諸国とのお話は中等部になると詳しい授業があるんだ。
ちなみにこの王立学院は元々は貴族向けの高い水準の文武が学べる学院だったんだ。
しかし平民にも必要最低限の知識を学ぶ事で職に就くことができ、路頭に迷わなくてよくなる事から
、未来のある子どもを一人でも救えるようにと初等部ができたんだよ。学ぶ内容は王国の歴史や読み書き、計算等の必要最低限の知識を身につける事が目的だよ。これだけでも職はあるからね。
そして、中等部からは中高一貫となり、中学二年間は初等部より更に難しい一般教養や魔法や武術の基礎座学、実技等を学ぶんだよ。それと中等部からは平民と貴族は一緒に学ぶ事になるので、色々と問題が起こる事もあるんだ。
更に高等部の三年間は社交マナー、魔法や武術の実技、実習、希望職種の体験実習があるんだよ。経理、商業、外交、研究所、騎士団等、様々な職種があるんだよ。
「騎士団!」
突然リアナが立ち上がった。
「リアナ君? まだ初等部だからね。高等部の話だからまだまだ先の話だよ」
ダン先生に言われてリアナは恥ずかしそうに着席した。
授業後の休憩時間に、オレ達は先程の授業でリアナが過剰に反応した理由を聞くと、どうやらお姉さんと騎士なると家に戻ると約束をしているらしく、つい反応したらしい。
夏休み後にリアナはますます騎士の夢が大きくなったようで、今度の休日は討伐依頼で人助けをしようと言い出した……………………
落ち着け…………リアナ…………
そして二日後の休日…………
「みんな! 初級冒険者になれた事だし討伐依頼を受けてみないか?」
そこには目を輝かせているリアナがいるが……モーガンがリアナを落ち着かせた。
「ショーンがもう少しで初級冒険者になれそうだから、今回は無理せずに採取依頼をしようよ」
モーガンの提案に考え込むリアナ……
オレはモーガンが起こした会話の波に乗っかり、援護をした。
「まぁ、リアナの中等部入学までの目標は達成できた事だし、軽めの採取依頼で身体を慣らしていこう。夏休み疲れもあるだろうし、ベストコンディションで討伐依頼に望むのはどうだ?」
「ふむ……確かにクライヴ達の言う通りだね。分かったよ。ぼくの負けだ」
無事にリアナを説得できて冒険者協会に向かった。
「クライヴこんなのがあるよ? 少し森の近くには行くけどヒンヤリ草の採取はどうかな? 今のボク達にはこれぐらいから始めてみてはどうかな?」
「それでいいと思うよ。よし! みんなモーガンが持ってきた依頼書に決め……」
「誰か! 誰か! 助けてください! 集落の作物が荒らされています」
急いで走ってきたのだろうか? 作業着姿の男性が息を切らしながらやってきた。
そしてリアナはすぐに男性に駆け寄り事情を聞いていた………………
(リアナの性格からしてこれってもう、助けるのは分かったが、後は闘い等起きませんように……)
もうしばらくは帰省しないと思います。
シェリダン子爵の町から逃げるように王都行きの馬車に乗り込んだのですが、神父様と呼んで良いウェーイな人間が何故か見送りに来ていました。
「ヘイ! ヨー! 見送りにやってきたぞ! イェイ、イェイ!
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帰りは手ぶらか?
俺のブラザーは?」
そんな神父野郎が、俺の知らない特産品の神父金運まんじゅうを無理矢理手渡された。
「…………………………」
オレは無言で受け取りとりあえず軽く会釈をした…………
そして馬車の中で、先程無理やり受け取った神父金運まんじゅうを開いてみると、人の顔の大きさのまんじゅうが一つだけ入っており、そこには笑顔の神父野郎の顔が描かれており、額には金運と書いてあった………………
勿論フィーネもドン引きである。
「フィーネ………………」
「なにクライヴ?」
「オレの故郷は心の中で今日消滅したよ…………」
「うん……」
何も言わずにただ頷いてくれるフィーネの優しさが嬉しかった。
オレは神父様との思い出の日々を走馬灯のように浮かべながら神父金運まんじゅうを噛み締めた。
笑顔の神父が描かれていたが、オレは悔しさと悲しさが入り混じり……涙の味しかしなかった……
そして悲しみを抱えながらオレは王都に戻ってきた。
しばらくモーガン達に何かあったのかと心配されたが、フィーネが「今は一人にさせてあげて……」とフォローをしてくれていたらしい。
そして夏休みが明けて後期の授業が開始された。
「クライヴおはよう。もう大丈夫そうだね。学生寮に戻ってきたらクライヴが塞ぎ込んでいるって聞いてボク達心配していたよ。まさかクライヴが! ってね」
モーガンは笑顔で話しかけてくれて、久しぶりのモーガンの笑顔は荒んだ心が洗われるようだった。
「あぁ、みんなに心配かけてゴメン。もう大丈夫だ」
そして階段でフィーネ達と合流して食堂に向かうと何故が新入生全員が待ち構えていた。
突然女の子三人組がオレとモーガンにマシンガンのように質問してきた。
「あの、私、入学式の挨拶の時からクライヴ先輩が好きです! 先輩は彼女とかいますか? 趣味は何ですか? 好きな食べ物は何ですか? どんな女の子が好きですか? モーガン先輩と付き合っていますか?」
うん! この子めっちゃ真っ赤な顔して緊張しているのだろうが。最後の質問がおかしいぞ。
そして別の女の子はモーガンに質問していた。
「モーガン先輩はどうしてそんなにキラキラしているのですか? もしかして天使ですか? 好きなタイプを教えて下さい。やっぱり彼氏はクライヴ先輩ですか?」
うん! すごく照れて緊張感しているのは分かるが……更におかしい子だぞ。
そして男の子達はフィーネとリアナに話しかけていた。
「あ、あ、あの、先輩方はどんな男性が好きですか? そ、その参考までに」
恥ずかしくてフィーネとリアナの顔が見れないんだろうな…………
だがしかしオレは気付いているぞ!
お前達がリアナの目を合わせないように胸の辺りを見ているのを!
「アタシは臆病な癖にお節介で優しくて友達想いでピンチの時には身を挺して守ってくれて、本当は強くて頼りになる人かな」
うん! フィーネ、該当者はいるのだろうか?
「ぼくは顔を合わせて話す事が出来ないのはお断りだ。人の顔を見て話すのは最低限のマナーだと思うからね」
リアナは男の子達の視線に気付いていたんだね。厳しいお言葉で……
そんな新入生達から憧れの目で見られるのは別にいいのだが…………一人納得していない人がいた。
「おい! おめぇら、ワシの事でなんか聞きたいことがあろうが?」
「いやぁぁ!」
「きゃぁぁ!」
「すみせんでした!」
ショーンが新入生に多分優しく話しかけたつもりなのだろうが、とても嫌がられていた…………
落ち込むショーンの肩を叩きオレ達は朝食を食べ、学院に向かった。
「き、今日は、歴史の授業を始めるよ」
ダン先生は相変わらず自信が無さそうに授業を進めていた。
「今日は、王国について学ぶよ。王国は平和続いているよね。それは現在の王様が平和を愛する人だからだよ。でもね平和を守り続けるには近隣諸国との関係性が大事になってくるんだよ。そんな近隣諸国とのお話は中等部になると詳しい授業があるんだ。
ちなみにこの王立学院は元々は貴族向けの高い水準の文武が学べる学院だったんだ。
しかし平民にも必要最低限の知識を学ぶ事で職に就くことができ、路頭に迷わなくてよくなる事から
、未来のある子どもを一人でも救えるようにと初等部ができたんだよ。学ぶ内容は王国の歴史や読み書き、計算等の必要最低限の知識を身につける事が目的だよ。これだけでも職はあるからね。
そして、中等部からは中高一貫となり、中学二年間は初等部より更に難しい一般教養や魔法や武術の基礎座学、実技等を学ぶんだよ。それと中等部からは平民と貴族は一緒に学ぶ事になるので、色々と問題が起こる事もあるんだ。
更に高等部の三年間は社交マナー、魔法や武術の実技、実習、希望職種の体験実習があるんだよ。経理、商業、外交、研究所、騎士団等、様々な職種があるんだよ。
「騎士団!」
突然リアナが立ち上がった。
「リアナ君? まだ初等部だからね。高等部の話だからまだまだ先の話だよ」
ダン先生に言われてリアナは恥ずかしそうに着席した。
授業後の休憩時間に、オレ達は先程の授業でリアナが過剰に反応した理由を聞くと、どうやらお姉さんと騎士なると家に戻ると約束をしているらしく、つい反応したらしい。
夏休み後にリアナはますます騎士の夢が大きくなったようで、今度の休日は討伐依頼で人助けをしようと言い出した……………………
落ち着け…………リアナ…………
そして二日後の休日…………
「みんな! 初級冒険者になれた事だし討伐依頼を受けてみないか?」
そこには目を輝かせているリアナがいるが……モーガンがリアナを落ち着かせた。
「ショーンがもう少しで初級冒険者になれそうだから、今回は無理せずに採取依頼をしようよ」
モーガンの提案に考え込むリアナ……
オレはモーガンが起こした会話の波に乗っかり、援護をした。
「まぁ、リアナの中等部入学までの目標は達成できた事だし、軽めの採取依頼で身体を慣らしていこう。夏休み疲れもあるだろうし、ベストコンディションで討伐依頼に望むのはどうだ?」
「ふむ……確かにクライヴ達の言う通りだね。分かったよ。ぼくの負けだ」
無事にリアナを説得できて冒険者協会に向かった。
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「それでいいと思うよ。よし! みんなモーガンが持ってきた依頼書に決め……」
「誰か! 誰か! 助けてください! 集落の作物が荒らされています」
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