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試作品使うの忘れてた

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「ラスクの匂い好き。俺のつがい。一生大事にする……!」

頬を擦りつけるなって言ってるのに、ディエゴは容赦なくスリスリしてくる。

肌を擦られると、昨日のエッチな夜を思い出して死ぬほど恥ずかしい。でも、ぴったりとくっついてくるこの温かさがめちゃくちゃ幸せでもあって、胸の奥がじんわりと満たされていく。

『つがい』かぁ。

こいつと、一生一緒にいるってことか。

僕の首筋に後ろから鼻先を埋めて満足そうに笑ってる顔見たら、なんかすごく幸せな気持ちになった。なおもスリスリしてくるのがなんともバカ犬っぽくて、しょうがないなぁって笑いが込み上げてくる。

でもこれ以上スリスリされたら兆してきそうでちょっと怖い。

「ディエゴ……ポーション、取ってきて」

ガラガラの声で頼んでみたら、即座に取りにいってくれた。背中に感じてたぬくもりがなくなってちょっと寂しい。

それにしても、綺麗な筋肉がついた後ろ姿はカッコイイのに、ピンと立った犬耳とふりふりと揺れるしっぽのせいでカッコイイより可愛いの方が勝ってるよな。

僕の荷物からポーションを探し出し、得意そうな顔で持ってくるのがなんか面白い。

「持って来た!」

「うん、ありがとう」

頭をよしよしと撫でてみたら、しっぽがめちゃくちゃに暴れて可愛い。

「ははは、お前ってホント可愛いなぁ。僕もディエゴの事、一生大事にするよ」

「ラスク!!!」

今度は前からディエゴが飛びかかってきた。もちろんこんなデカい身体で飛びかかって来られたら、僕ごときの貧弱な身体じゃ支えきれない。一緒にベッドに倒れ込んだ。

「いてててて……」

昨日の夜のせいで身体中が痛いのに、勢いよく押し倒されたんだからもちろんそんな声も出る。

「ごめん!!」

ハッとしたように起き上がって、ディエゴはポーションを手ずから飲ませてくれた。死にかけてたディエゴですら回復したポーションだ。もちろんあっというまに身体のだるさも痛さも飛んで、喉の痛さも解消した。

「ありがと。全快!」

「おー! さすがにラスクのポーションは効きがいいな」

「僕、ポーション作りには適性があるみたいなんだよね」

「薬によって適性とか違うのか?」

「うん、昨日行ったメッサレッサってお店さ、液体も固体もクリームもお香もお酒も……他にも色々あったよね? あんな風に何でも作れる薬師なんて滅多にいないよ。僕のお師匠さんは液体系が得意だから、僕も液体系が得意だなぁ」

「へー知らなかった。そんな違いがあるのか」

「あっ」

「どうした」

「昨日、肝心の試作品使うの、忘れてた……」

僕はがっくりと肩を落とした。
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