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薬効と正しい使い方

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「おう! その方がラスクも嬉しいだろ」

「うん!」

早速ディエゴがマジックバッグから次々と品物を取り出してくれる。

各々の瓶や容器にいつのまにか小さな紙片が貼られていたから、その紙片を広げてナカを確かめてみたら、薬効と『正しい使い方』なるものが書かれていた。

「……」

うわぁ、生々しい……。

「へー、すげぇ! 便利だな!」

「うわ!」

紙片を読むのに夢中になっていて、ディエゴが紙をのぞき込んでいるのに気がつかなかった。

僕が広げた紙片を次々に読んで、ディエゴが満面の笑みを浮かべる。

「ラスク、とりあえず色々試す前にさ、まずはこれからいこうぜ」

ディエゴが持ち上げたのは、エルフさんのお店の前に行った酒屋さんで貰った、可愛いピンク色の果実酒。

「それって、酒屋さんがくれた果実酒」

「おう! 甘いからラスクでも飲めるって言ってただろ? オヤジがふたりで飲みなってくれたヤツだし」

「水で割って呑めって言ってたよね」

「だな。ほれ」

マジックバッグの中から無骨なグラスを取り出して、ひとつを僕に渡してくれる。そのままベッドの上でピンクの酒を注いだかと思うと、またもやマジックバッグの中から水筒を取りだして水で割ってくれる。

「ずぼらだなぁ」

「もうラスクの傍から離れたくない。さ、呑もう」

しょうがないなぁ、と苦笑してディエゴに促されるままグラスのフチをコツンと合わせて、互いにグラスに口をつける。

「うわ……美味しい」

「甘いな」

「うん! トロッと甘い。熟した桃みたいな完熟した甘み……!」

「気に入ったか?」

「これなら僕でもいくらでも呑めそう」

「そりゃ良かった。俺はちょっと物足りねぇな。こっちを試してみてぇ」

そう言ってディエゴが次に手に取ったのは、エルフさんのお店で買った、でっかい酒瓶。

僕が両腕で抱えないといけないくらいにおっきな酒瓶に、どーんと一本ドラゴンの舌が漬け込まれてる逸品だ。舌先が二つに割れてるのがなんともエグい。

「ドラゴンの舌が漬けられてるとか、面白いよな!」

興味津々な顔で酒を注いであおり呑んでるけど、それってめっちゃ強い精力剤だって書いてあったんだけど。

「うっわ、うま! 喉がやけるみてぇだ!」

「それって美味しいの?」

『喉がやける』と『うまい』が僕の中ではイコールにならなくて、苦笑するしかない。

「美味いさ! ああ今日は気分がいいなぁ。酒は美味いし、ラスクは恋人になってくれたし、人生最良の日だ」

「大げさだよ……」

「大げさなもんか」
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