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猫、自分に嫉妬する
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ぽかぽか……。ゆらゆら……。あったかい……。
次に目を覚ました時には、僕は湯船の中にいた。目の前には肌色。見上げたらトルスのスッとした顎のラインがあって、ああ、まだトルスと一緒にいるんだって安心する。
どうやら僕は湯船の中でトルスに横抱きにされているらしかった。トルスの膝の上に座ったままお湯に浸かっていられるなんて、なんて幸せなんだろう。
まだぼんやりしたままの僕は、視線を顎から下におろしてきて、ふとその小さな乳首に舌を這わせた。
「おわっ!?」
ビクン、とトルスの体が揺れて、お風呂お湯もタプンと揺れる。
「起きた途端にイタズラするなよ、もう……」
「えへへ」
「体も洗ったし、ナカも掻き出してある。ちゃんとベッドまで連れてってやるから寝てていいぞ」
「トルス、優しい」
トルスは眠っていた僕をお風呂に入れてくれて、抱っこしたままお風呂で一緒に温まっていてくれたらしい。向かい合わせで抱き合ったままあったかいお湯に浸かってるなんて幸せすぎる。猫の時にもお風呂に入れてもらったのに、幸福感が段違いだ。
掻き出したって言ってたから多分猫だった時よりエロい洗い方されたんだろうけど、トルスだから許す。
「寝るのもったいないよ。ああ、僕もトルスを洗いたかったなぁ」
「はは、猫より人間の方が洗うの大変だぞ。楽しいけどな」
トルスの広い胸にほっぺたをくっつけて、肌の肌理を楽しんでいると、思い出したようにトルスが呟いた。
「しかし納得いかん。あんな安易な方法で呪いが解けるとは。呪いの制作者に異議を唱えたい」
「えー、僕は好きだけどなぁ。こういう遊び心を忘れてない呪文」
「呪文じゃなくて呪いだ。……でも分かったぞ。多分この呪いを作ったのはローグみたいなヤツだ」
「かもねー」
へらっと笑う僕をチラッと見たトルスは、僕の顔をジッと見つめる。キスしてくれるのかな? と思って見つめ返してたら、あらぬところを急に触られて体が跳ねた。
「ひうっ! な、なに……?」
「猫に戻るような様子もないし、本当に良かった」
それでか……! 確かめるようにしっぽがあったあたりをくりくりと撫でられて、ゾクゾクしてくる。心配してくれてたんだと思うと嬉しくて、僕はそっとトルスの胸に唇を寄せた。
「うん……ごめんね。もう二度とあんな真似しないから」
「いや、デカ猫だったローグも、ねこ耳、ねこしっぽ付きのローグも、可愛かったぞ」
「……っ」
「そうだな。やっぱり、猫化の呪いは引き続き俺も共同研究させて貰おう」
「へ……なんで今、その話……?」
「呪いの構造もだいぶ分解できてたんだ。もっと研究を進めたら確実に解呪できるとか、程よいところで猫化を止められるとか、呪いの進行は無効化するとか、できる気がするんだよな」
考えごとしつつ、撫で続けるのやめてほしい。
「も……撫でるのやめて、またエッチな気分になっちゃう……」
「へぇ、ここも感じるんだ」
「今はどこ触られても感じるよ。あんなにいっぱいイかされたんだから」
からかうように言われて、思わずぷくっとほっぺたを膨らませて抗議する。だいたいせっかく恋人になれたのに、休みで一日中いちゃいちゃできそうな明日を研究に持っていかれたら寂しくて死ぬ。
「せっかく恋人になれたんだから明日は研究じゃなくて二人で楽しいことしたい。その……そんなに気に入ったなら、ねこ耳とねこしっぽのアクセサリーくらいつけてやってもいいし」
大サービスでそう言ってやったのに、トルスは不満そうな顔をする。
「作り物に興味はない。ローグの甘えるみたいにスリスリしてくるしっぽとか、興味いっぱいでピーンと立ってる耳とか、ホント犯罪的な可愛さなんだぞ」
「あ、そう」
「絶対に本物がいい」
確固たる意思でそう言い切るトルスにちょっと引く。僕が今腕の中に居るってのに、なんか失礼な話だ。
「猫の方がいいわけ? なんなら今すぐ猫になろうか?」
つい拗ねた声を出したら、トルスは優しく僕の頭を撫でてくれる。
「バカ、人間のローグが一番に決まっている。戻れなくなるくらいなら二度とあんなことさせない」
「うん。人間の僕も、ちゃんと可愛がってよね」
「当たり前だろう……!」
「明日は研究しないで、僕といちゃいちゃしてくれる?」
渾身の上目遣いでトルスを見上げたら、目がバチッとあった後、トルスは大きく息をついて片手で目を押さえ天を仰いでいた。
「お前、ほんっとーに! 可愛いな」
ちゅーっと、トルスが熱烈なキッスをくれる。
「全力で可愛がる!」
勝った。言質をとったぞ。これで明日のトルスの時間は僕のものだ。一日中トルスといちゃいちゃしてメロメロにして、僕の虜にしてやる! と鼻息荒く決意した。
でも、とりあえずはその前に。
僕はお風呂の中でゆったりしているトルスの大切なところにお尻をスリ、と擦りつけながらトルスに可愛くおねだりする。
「ねぇトルス、僕、またエッチな気分になっちゃった……」
「え?」
「明日まで待てない、もう一回、しない?」
次に目を覚ました時には、僕は湯船の中にいた。目の前には肌色。見上げたらトルスのスッとした顎のラインがあって、ああ、まだトルスと一緒にいるんだって安心する。
どうやら僕は湯船の中でトルスに横抱きにされているらしかった。トルスの膝の上に座ったままお湯に浸かっていられるなんて、なんて幸せなんだろう。
まだぼんやりしたままの僕は、視線を顎から下におろしてきて、ふとその小さな乳首に舌を這わせた。
「おわっ!?」
ビクン、とトルスの体が揺れて、お風呂お湯もタプンと揺れる。
「起きた途端にイタズラするなよ、もう……」
「えへへ」
「体も洗ったし、ナカも掻き出してある。ちゃんとベッドまで連れてってやるから寝てていいぞ」
「トルス、優しい」
トルスは眠っていた僕をお風呂に入れてくれて、抱っこしたままお風呂で一緒に温まっていてくれたらしい。向かい合わせで抱き合ったままあったかいお湯に浸かってるなんて幸せすぎる。猫の時にもお風呂に入れてもらったのに、幸福感が段違いだ。
掻き出したって言ってたから多分猫だった時よりエロい洗い方されたんだろうけど、トルスだから許す。
「寝るのもったいないよ。ああ、僕もトルスを洗いたかったなぁ」
「はは、猫より人間の方が洗うの大変だぞ。楽しいけどな」
トルスの広い胸にほっぺたをくっつけて、肌の肌理を楽しんでいると、思い出したようにトルスが呟いた。
「しかし納得いかん。あんな安易な方法で呪いが解けるとは。呪いの制作者に異議を唱えたい」
「えー、僕は好きだけどなぁ。こういう遊び心を忘れてない呪文」
「呪文じゃなくて呪いだ。……でも分かったぞ。多分この呪いを作ったのはローグみたいなヤツだ」
「かもねー」
へらっと笑う僕をチラッと見たトルスは、僕の顔をジッと見つめる。キスしてくれるのかな? と思って見つめ返してたら、あらぬところを急に触られて体が跳ねた。
「ひうっ! な、なに……?」
「猫に戻るような様子もないし、本当に良かった」
それでか……! 確かめるようにしっぽがあったあたりをくりくりと撫でられて、ゾクゾクしてくる。心配してくれてたんだと思うと嬉しくて、僕はそっとトルスの胸に唇を寄せた。
「うん……ごめんね。もう二度とあんな真似しないから」
「いや、デカ猫だったローグも、ねこ耳、ねこしっぽ付きのローグも、可愛かったぞ」
「……っ」
「そうだな。やっぱり、猫化の呪いは引き続き俺も共同研究させて貰おう」
「へ……なんで今、その話……?」
「呪いの構造もだいぶ分解できてたんだ。もっと研究を進めたら確実に解呪できるとか、程よいところで猫化を止められるとか、呪いの進行は無効化するとか、できる気がするんだよな」
考えごとしつつ、撫で続けるのやめてほしい。
「も……撫でるのやめて、またエッチな気分になっちゃう……」
「へぇ、ここも感じるんだ」
「今はどこ触られても感じるよ。あんなにいっぱいイかされたんだから」
からかうように言われて、思わずぷくっとほっぺたを膨らませて抗議する。だいたいせっかく恋人になれたのに、休みで一日中いちゃいちゃできそうな明日を研究に持っていかれたら寂しくて死ぬ。
「せっかく恋人になれたんだから明日は研究じゃなくて二人で楽しいことしたい。その……そんなに気に入ったなら、ねこ耳とねこしっぽのアクセサリーくらいつけてやってもいいし」
大サービスでそう言ってやったのに、トルスは不満そうな顔をする。
「作り物に興味はない。ローグの甘えるみたいにスリスリしてくるしっぽとか、興味いっぱいでピーンと立ってる耳とか、ホント犯罪的な可愛さなんだぞ」
「あ、そう」
「絶対に本物がいい」
確固たる意思でそう言い切るトルスにちょっと引く。僕が今腕の中に居るってのに、なんか失礼な話だ。
「猫の方がいいわけ? なんなら今すぐ猫になろうか?」
つい拗ねた声を出したら、トルスは優しく僕の頭を撫でてくれる。
「バカ、人間のローグが一番に決まっている。戻れなくなるくらいなら二度とあんなことさせない」
「うん。人間の僕も、ちゃんと可愛がってよね」
「当たり前だろう……!」
「明日は研究しないで、僕といちゃいちゃしてくれる?」
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「お前、ほんっとーに! 可愛いな」
ちゅーっと、トルスが熱烈なキッスをくれる。
「全力で可愛がる!」
勝った。言質をとったぞ。これで明日のトルスの時間は僕のものだ。一日中トルスといちゃいちゃしてメロメロにして、僕の虜にしてやる! と鼻息荒く決意した。
でも、とりあえずはその前に。
僕はお風呂の中でゆったりしているトルスの大切なところにお尻をスリ、と擦りつけながらトルスに可愛くおねだりする。
「ねぇトルス、僕、またエッチな気分になっちゃった……」
「え?」
「明日まで待てない、もう一回、しない?」
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