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本編1 警戒される男
2・誰も知らない、話しちゃくれない @泉州
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なんかよォ、言いたかねぇが……。
やっぱり言わせて貰うがよぉ……。
おいおい神様ぁ~? オレが聞いてた話と違わねぇか~?
ちっとも『救いを求める感』がしねぇんだが、こりゃど~いう事だ?
ちょっとぐらい雰囲気が違ってたとしても文句を言う気は無かったが、これは大きく違い過ぎだろ、流石に怪しむレベルだぞ。間違えたんじゃねぇか、ってな。
望まれて来たんじゃないにしたって、誰も話し掛けて来ないってのはヒデェだろ。
なんでこんなに……たまたま近くにいた桃色少年はともかくとして……異世界の奴等から遠巻きにされてるんだ、オレは。
本当に誰か、オレとまともに喋ってくれる奴はいないかと。
いっそ縋るような思いで、オレは離れた所までジックリ視線をやった。
すると、ちょうど一人。結構離れた場所で。
戦えそうな兵士っぽい男達の陰から、一際身なりの良い金髪の男が姿を見せた。
ソイツと目が合った。
その瞬間、オレの方に足を踏み出した金髪男を、取り囲んでた数人が慌てて止める。
あの様子を見る限りじゃ、今までは兵士連中の身体が邪魔で見えなかった、と言うよりは。オレに金髪男が見付からんよう、兵士達が自分の身体を盾にして隠したんだろうな。
それを、金髪男が掻い潜って出て来ちまった……と。
「いけません、殿下!」
あの男は王子サマか。
成程。理解した。言われてみりゃ、確かにソレっぽい。
って事は、あの周囲にいるのは王子専属の護衛ってトコか。
「ですが…っ、このままでは、あの少年が……!」
「殿下、危険です! お下がりください!」
お偉い王子サマと護衛は、なんか知らんが揉めてンのか?
なんだ、なんだ? まさかとは思うが、オレと目が合ったってだけで、桃色少年を心配してンのか? なんでだよ?
自分がハンサムだのイケメンだのって言える外見じゃねぇのは分かってるがよ。そこまで乱暴そうには見えねぇだろぉ?
王子を止めてる兵士とは違う護衛は、王子を庇いながらオレを監視してる。
護衛とは別の制服っぽいのを着た兵士どもは、ゆっくりジリジリ、無言のままで。さりげなく、何となくフォーメーションを整え始めた。
僧侶っぽい連中の顔は誰も彼も、怯えたように強張ってる。オレのそばに座り込んでる桃色少年が気に掛かりつつも、オレからは距離を取りたがってるようだ。
一応仮にも、勇者として人々を救いに来たオレだ。
いきなり捕まるとかは、流石に勘弁して貰いたい。
……どうする? フレンドリーな感じで話し掛けてみればいいか?
いや、だが、なぁ……。
オレに暴れるツモリは無くても、なんでかここに居る人達には警戒されてるようだからなぁ。オレが気軽に近付いたり、話し掛けたりするだけでも、下手に刺激する事になっちまいそうだ。
捕まって牢屋行きになるのも願い下げだがよ、特に理由も無く兵士相手に暴れるような真似もしたくねぇ。
きっと勇者パワーってヤツで蹴散らせるんだろうが、それはそれで寝覚めが悪い。
寄って来る人物が現れるまで、一先ずオレは様子を見る事にした。
暇だから、周りの人物や建物を見て過ごす。
ザザッと見回してみた所、やっぱりここは教会とか、そんな感じの場所だろう。
日本にある教会なら、仲間とバイクで旅行した時に幾つか見た事がある。
それよりもかなり大きい感じはするが、似たようなモンだ。
よく見りゃ、出入口っぽい扉の方にいる人数が多いぞ。
オレの近くの方にいるのは桃色少年を筆頭に、比較的若い男ばかりだ。
たぶん今は、集会か何かが終わった直後で帰ろうとしてた、って辺りか。
そういやぁ王子も、割と出口のそばに居たな。
見た感じ、ここはかなりデカそうな宗教的な場所で。
王子が来るんだから、それなりに格式のある所なんだろう。
そこに現れたオレは残念ながら望まれてなさそう、……って事はつまり。
オレ、若干……割と……いや、かなりヤバいな。
明らかに不審者だろ、普通に考えて。
だが……。待っても、待っても。
オレに向かって怒鳴って来る奴も、話し掛けて来る奴もいない。
おいおい、どうした? オレが危険人物に見えてンなら、何かして来いよ。
いつまでも黙ったままで遠巻きにしてたって、どうにもなンねぇだろうよ。
いい加減に何かして来ねぇと、本気で日が暮れちまうぜ?
どいつもコイツも恥ずかしがり屋さんか?
流石にオレも、皆から怯えられるか、警戒されるだけって状況で。
ちょっと寂しくなって来た。
やっぱり言わせて貰うがよぉ……。
おいおい神様ぁ~? オレが聞いてた話と違わねぇか~?
ちっとも『救いを求める感』がしねぇんだが、こりゃど~いう事だ?
ちょっとぐらい雰囲気が違ってたとしても文句を言う気は無かったが、これは大きく違い過ぎだろ、流石に怪しむレベルだぞ。間違えたんじゃねぇか、ってな。
望まれて来たんじゃないにしたって、誰も話し掛けて来ないってのはヒデェだろ。
なんでこんなに……たまたま近くにいた桃色少年はともかくとして……異世界の奴等から遠巻きにされてるんだ、オレは。
本当に誰か、オレとまともに喋ってくれる奴はいないかと。
いっそ縋るような思いで、オレは離れた所までジックリ視線をやった。
すると、ちょうど一人。結構離れた場所で。
戦えそうな兵士っぽい男達の陰から、一際身なりの良い金髪の男が姿を見せた。
ソイツと目が合った。
その瞬間、オレの方に足を踏み出した金髪男を、取り囲んでた数人が慌てて止める。
あの様子を見る限りじゃ、今までは兵士連中の身体が邪魔で見えなかった、と言うよりは。オレに金髪男が見付からんよう、兵士達が自分の身体を盾にして隠したんだろうな。
それを、金髪男が掻い潜って出て来ちまった……と。
「いけません、殿下!」
あの男は王子サマか。
成程。理解した。言われてみりゃ、確かにソレっぽい。
って事は、あの周囲にいるのは王子専属の護衛ってトコか。
「ですが…っ、このままでは、あの少年が……!」
「殿下、危険です! お下がりください!」
お偉い王子サマと護衛は、なんか知らんが揉めてンのか?
なんだ、なんだ? まさかとは思うが、オレと目が合ったってだけで、桃色少年を心配してンのか? なんでだよ?
自分がハンサムだのイケメンだのって言える外見じゃねぇのは分かってるがよ。そこまで乱暴そうには見えねぇだろぉ?
王子を止めてる兵士とは違う護衛は、王子を庇いながらオレを監視してる。
護衛とは別の制服っぽいのを着た兵士どもは、ゆっくりジリジリ、無言のままで。さりげなく、何となくフォーメーションを整え始めた。
僧侶っぽい連中の顔は誰も彼も、怯えたように強張ってる。オレのそばに座り込んでる桃色少年が気に掛かりつつも、オレからは距離を取りたがってるようだ。
一応仮にも、勇者として人々を救いに来たオレだ。
いきなり捕まるとかは、流石に勘弁して貰いたい。
……どうする? フレンドリーな感じで話し掛けてみればいいか?
いや、だが、なぁ……。
オレに暴れるツモリは無くても、なんでかここに居る人達には警戒されてるようだからなぁ。オレが気軽に近付いたり、話し掛けたりするだけでも、下手に刺激する事になっちまいそうだ。
捕まって牢屋行きになるのも願い下げだがよ、特に理由も無く兵士相手に暴れるような真似もしたくねぇ。
きっと勇者パワーってヤツで蹴散らせるんだろうが、それはそれで寝覚めが悪い。
寄って来る人物が現れるまで、一先ずオレは様子を見る事にした。
暇だから、周りの人物や建物を見て過ごす。
ザザッと見回してみた所、やっぱりここは教会とか、そんな感じの場所だろう。
日本にある教会なら、仲間とバイクで旅行した時に幾つか見た事がある。
それよりもかなり大きい感じはするが、似たようなモンだ。
よく見りゃ、出入口っぽい扉の方にいる人数が多いぞ。
オレの近くの方にいるのは桃色少年を筆頭に、比較的若い男ばかりだ。
たぶん今は、集会か何かが終わった直後で帰ろうとしてた、って辺りか。
そういやぁ王子も、割と出口のそばに居たな。
見た感じ、ここはかなりデカそうな宗教的な場所で。
王子が来るんだから、それなりに格式のある所なんだろう。
そこに現れたオレは残念ながら望まれてなさそう、……って事はつまり。
オレ、若干……割と……いや、かなりヤバいな。
明らかに不審者だろ、普通に考えて。
だが……。待っても、待っても。
オレに向かって怒鳴って来る奴も、話し掛けて来る奴もいない。
おいおい、どうした? オレが危険人物に見えてンなら、何かして来いよ。
いつまでも黙ったままで遠巻きにしてたって、どうにもなンねぇだろうよ。
いい加減に何かして来ねぇと、本気で日が暮れちまうぜ?
どいつもコイツも恥ずかしがり屋さんか?
流石にオレも、皆から怯えられるか、警戒されるだけって状況で。
ちょっと寂しくなって来た。
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