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本編1 警戒される男
5・こんなに遠い異世界で役立たずとか本当にツライ @泉州
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オレがこの場から立ち去るって伝えた途端、王子は目に見えて狼狽えだした。
何か知らんがヤバいって思ったんだろう。
ついでに言うと、オレがそう決意したのは自分の所為だ、とか思ったのかも知れん。
ふっふっふ……。残念ながら、半分は当たってるが半分はハズレだ。
王子が明確に答えを言わなくても、オレは立ち去るツモリだったからな。
少なくとも、この場からは。
呼ばれてねぇし、歓迎すべき対象でも無さそうなのに、長々と居られねぇっつの。
「まっ……お待ちください!」
扉へ向かうオレを王子が追い掛けて来た。
止めようとした護衛を振り払って、必死な様子でオレの前に回り込む。
美形王子の焦り顔とか、結構レアじゃねぇか?
……まぁ、それより。
こんな得体の知れないオレによくまぁ、不用心に近寄って来られンな。
……って感想が正直な所だ。
「と…っ、突然に、これまで暮らしていらしたのとは異なる世界に来られて、さぞや不安を感じられた事かと思います。」
「いや? 別に?」
不安じゃなくて、ガッカリしたんだよ。居場所が無いって事に。
そして恥ずかしいんだよ。自分を勇者、とか言っちゃった事に。
どっちも王子の所為じゃねぇから、わざわざ口に出しては言わんが、よ。
「でっ……ですが、ご安心ください。この国の召喚術は失われておりますが、異世界から来られた方をお迎えする事は充分に可能です。」
オレの反応が期待以下の薄さだったのか、オレが動き出す気配でも感じたのか。
王子がオレの腕を掴んで来た。
掴んだっていうか、……縋って来た感じか?
護衛は警戒心をバリバリに出しながらオレを睨み付けてる。
僧侶っぽい連中は遠巻きに離れてコッチを窺うだけで、オレへの対応はどうやら、王子に丸投げする構えだ。
さっきの桃色少年の所には、同僚っぽい僧侶が駆け寄るのが見えた。
「国として、出来るだけ丁寧に対応させていただきます。此方での生活基盤となる住居は勿論の事、今後の…」
「いや、別に。」
王子の台詞が長くなりそうだったんで、簡潔にぶった切った。
声を詰まらせた王子の顔を見ると、オレは不機嫌そうに見えたのかも知れねぇな。
だから……別に、オレは、怒ってねぇよ。
繰り返しになるが、ガッカリして恥ずかしいんだ。落胆、及び、羞恥だ。
呼ばれたワケでもねぇのに、人々を救うだとか調子に乗ってて御免なさい、だ。
「そ~いうの求めてねぇから。自分の事は自分で何とかする。」
勝手に異世界から現れといて、国に生活の面倒みて貰うとか……正直、無ぇわ。どこの寄生虫だよ。
これがまだ、無理矢理に連れて来られたとか、オレに何か働けねぇ事情があるならともかく。異世界から来てきっと不安だろう可哀想に、って理由で生活保護して貰うなんて有り得ねぇ。
下町辺りでのんびり勝手に暮らすから、気を遣わないでくれ。
あんまりにも気に掛けられると、逆に落ち着かねぇんだ。
何処ででも、適当に暮らせンだから、ほっといてくれ。
軽く……あくまで軽く、オレは王子の手を振り解いた。
よろけた王子を、駆け寄った護衛達が支える。
ガチで殺気立ってるのに、それでも歯を食いしばって黙ってんのは、恐らく王子がオレに丁寧な態度で接してるからだろう。
王子の顔を立ててるんだな。
やる事あっていいな、……オレと違って。
「そんな……、異世界人様!」
悲愴感に塗れた王子の声が背後から聞こえた。
その声は可哀想な子を呼び止めるみたいで、オレはやり切れない気分で扉を開けた。
何か知らんがヤバいって思ったんだろう。
ついでに言うと、オレがそう決意したのは自分の所為だ、とか思ったのかも知れん。
ふっふっふ……。残念ながら、半分は当たってるが半分はハズレだ。
王子が明確に答えを言わなくても、オレは立ち去るツモリだったからな。
少なくとも、この場からは。
呼ばれてねぇし、歓迎すべき対象でも無さそうなのに、長々と居られねぇっつの。
「まっ……お待ちください!」
扉へ向かうオレを王子が追い掛けて来た。
止めようとした護衛を振り払って、必死な様子でオレの前に回り込む。
美形王子の焦り顔とか、結構レアじゃねぇか?
……まぁ、それより。
こんな得体の知れないオレによくまぁ、不用心に近寄って来られンな。
……って感想が正直な所だ。
「と…っ、突然に、これまで暮らしていらしたのとは異なる世界に来られて、さぞや不安を感じられた事かと思います。」
「いや? 別に?」
不安じゃなくて、ガッカリしたんだよ。居場所が無いって事に。
そして恥ずかしいんだよ。自分を勇者、とか言っちゃった事に。
どっちも王子の所為じゃねぇから、わざわざ口に出しては言わんが、よ。
「でっ……ですが、ご安心ください。この国の召喚術は失われておりますが、異世界から来られた方をお迎えする事は充分に可能です。」
オレの反応が期待以下の薄さだったのか、オレが動き出す気配でも感じたのか。
王子がオレの腕を掴んで来た。
掴んだっていうか、……縋って来た感じか?
護衛は警戒心をバリバリに出しながらオレを睨み付けてる。
僧侶っぽい連中は遠巻きに離れてコッチを窺うだけで、オレへの対応はどうやら、王子に丸投げする構えだ。
さっきの桃色少年の所には、同僚っぽい僧侶が駆け寄るのが見えた。
「国として、出来るだけ丁寧に対応させていただきます。此方での生活基盤となる住居は勿論の事、今後の…」
「いや、別に。」
王子の台詞が長くなりそうだったんで、簡潔にぶった切った。
声を詰まらせた王子の顔を見ると、オレは不機嫌そうに見えたのかも知れねぇな。
だから……別に、オレは、怒ってねぇよ。
繰り返しになるが、ガッカリして恥ずかしいんだ。落胆、及び、羞恥だ。
呼ばれたワケでもねぇのに、人々を救うだとか調子に乗ってて御免なさい、だ。
「そ~いうの求めてねぇから。自分の事は自分で何とかする。」
勝手に異世界から現れといて、国に生活の面倒みて貰うとか……正直、無ぇわ。どこの寄生虫だよ。
これがまだ、無理矢理に連れて来られたとか、オレに何か働けねぇ事情があるならともかく。異世界から来てきっと不安だろう可哀想に、って理由で生活保護して貰うなんて有り得ねぇ。
下町辺りでのんびり勝手に暮らすから、気を遣わないでくれ。
あんまりにも気に掛けられると、逆に落ち着かねぇんだ。
何処ででも、適当に暮らせンだから、ほっといてくれ。
軽く……あくまで軽く、オレは王子の手を振り解いた。
よろけた王子を、駆け寄った護衛達が支える。
ガチで殺気立ってるのに、それでも歯を食いしばって黙ってんのは、恐らく王子がオレに丁寧な態度で接してるからだろう。
王子の顔を立ててるんだな。
やる事あっていいな、……オレと違って。
「そんな……、異世界人様!」
悲愴感に塗れた王子の声が背後から聞こえた。
その声は可哀想な子を呼び止めるみたいで、オレはやり切れない気分で扉を開けた。
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