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第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~
今日の予定が急に決まった
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「イグゥ、何やってるの?」
「鍵でも無くしましたか?」
自宅の外壁にぶら下がる怪しいオレに話し掛けて来た声は、二人分。
振り返る前でも分かった。フィロウと、たぶんエステードさん。
そっと確認したら、オレの斜め下辺りから二人が見上げてた。
フィロウはちょっと驚いたような表情で。エステードさんは何だか苦笑っぽい。
「イグゥってば、なんでそんな所にぶら下がってるの? 凄く怪しいよ?」
「あ~、いや、ちょっとな……。」
「玄関は開いてないんですか? 鍵、一緒に探しましょうか?」
「いや、鍵が無くて二階の窓から入ろうってワケじゃなくて。えぇと、……この体勢と距離で話すのもオカシイよな。二人とも、ちょっと離れてくれ。今、降りるから。」
二人が距離を取ってくれたのを確認して、オレは壁を軽く蹴りながら手を離す。
ただ手を離して落下したら、壁に身体が擦れちゃう可能性があるからな。
壁に背中を向けるように空中で反転、地面に飛び降りた。
着地したオレに、更に驚いた表情のフィロウが駆け寄って来る。
「なっ、何やってるのっ!」
「ちょっとぶら下がってみたくなって…」
「飛び降りるなんて危ないじゃない! 怪我でもしたらどうするの!」
「それは大丈夫だ。流石にこの高さくらいじゃ、落ちても怪我しないし。それに今のは『予想外に落ちてしまった』じゃなくて、『安全に飛び降りた』だから安心してくれ。」
「……もおぉ~っ。」
王子様フェイスを心配そうに曇らせるフィロウ。
オレは安心させるべく、精一杯、力強く言った。
力強く頷いても効果があまり無いって、分かったからな。
フィロウは心配して、ちょっとプリプリして、それから許してくれた。
「窓から入ろうとしてたんじゃないんですか。」
「エステードさん、それも違うから安心してくれ。」
エステードさんもエステードさんで、納得行かないって顔をしてる。
オレが二階からぶら下がってた件について、シッカリした理由が無いからだな。
これに関してはほっといて良さそうだ。
ところで……。オレも、気になってることがある。
お昼前から兄弟二人揃って訪ねて来る理由。
この時間、ルサーが家にいないのはエステードさんは分かってるハズ。
だったら用事があるのはオレに、ってワケで。
それを考えたら、こんな、呑気にしてる場合じゃないぞ。早く聞かなきゃ。
話を逸らす為じゃないからな。
「それはそうと……二人してオレに、何か用事か?」
「そうだった。イグゥに伝えたい事があって来たんだよ。ハーレムの事。」
「危うく忘れる所でしたね?」
「お兄さんっ……。もうっ、忘れたりなんかしないもん。」
そうだぞ、忘れられたら困るぞ。
例え、それが良い話って限らなくてもな。
「あのね、イグゥ。お父さんとお母さんがね。ハーレムに入ってもいい、って。」
「許可して貰えたのか。良かった……。えっと……エステードさんは?」
「私は保留です。」
「そんな……っ!」
フィロウのハーレム入りの許可が意外に早かったから、オレは期待してた。
でもエステードさんのアッサリした言葉に、デジャヴを感じつつ膝を着く。
厳しいっ。厳しいぞ、エステードさん。
ここはエステードさん、ちょっと渋々でも「いいですよ」って言う流れだろ。
流石は最難関って仮定しただけはあるぞ。
「ちゃんとフィロウを大事にしてくれるか、ハーレムに入ってからもシッカリ様子を観察してますからね? 油断しないようにしてください。」
「ぃよ……っしゃ! じゃ、許可してくれるんだな?」
「保留です。」
「そんなっ!」
再びガクリってなるオレ。
そんなオレを見てエステードさんはクスクス笑った。
小さな声を漏らして笑う様子を見たら、オレもホッとする。
「それでね、イグゥ。ボクの加入手続きなんだけど、今日これから、どうかな?」
「オレは予定無いから構わない。でもまだ、フィロウの両親に挨拶してないぞ。」
「大丈夫。教会に行ったら会えるから。」
「そっ……そうか。」
まさかの、加入手続きと両親への挨拶を同時に済ませる、ってヤツか~。
ちょっと慌ただしいなぁ。むしろ逆に、それくらいの方が緊張しなくていいか?
「大丈夫かなぁ、オレ、殴られたりしないかな?」
「イグゥが堂々としてれば大丈夫だよ。」
「イグゥ君が既にハーレム登録をした天守だと、分かってますからね。客観的な証拠がある事ですから、両親も安心出来たはずです。」
教会で手続きをしたから、少なくともオレが天守だ、って点だけは確実だ。
それなら……あの日、ハーレムを作っといて良かったんだな。
じゃ、後はオレが心の準備をしとけばいい話か。
あぁ……だったら、教会へ行く前に。
「教会へ行く前に、さ。詰め所に行ってもいいかな? ルサーにも伝えときたい。」
「いいよ、勿論。」
「昼の休憩時に話せば良いですね。」
「ありがとう。急いで支度して来る。」
「あんまり慌てなくてもいいよ。馬車で来てるから。」
「分かった。でもなるべく急ぐ。」
二人を待たせてるんだから、出来るだけ急ぐのは普通にマナーだろ。
洗濯物を干したまま、しばらく放置になるのは仕方ないよな。
「鍵でも無くしましたか?」
自宅の外壁にぶら下がる怪しいオレに話し掛けて来た声は、二人分。
振り返る前でも分かった。フィロウと、たぶんエステードさん。
そっと確認したら、オレの斜め下辺りから二人が見上げてた。
フィロウはちょっと驚いたような表情で。エステードさんは何だか苦笑っぽい。
「イグゥってば、なんでそんな所にぶら下がってるの? 凄く怪しいよ?」
「あ~、いや、ちょっとな……。」
「玄関は開いてないんですか? 鍵、一緒に探しましょうか?」
「いや、鍵が無くて二階の窓から入ろうってワケじゃなくて。えぇと、……この体勢と距離で話すのもオカシイよな。二人とも、ちょっと離れてくれ。今、降りるから。」
二人が距離を取ってくれたのを確認して、オレは壁を軽く蹴りながら手を離す。
ただ手を離して落下したら、壁に身体が擦れちゃう可能性があるからな。
壁に背中を向けるように空中で反転、地面に飛び降りた。
着地したオレに、更に驚いた表情のフィロウが駆け寄って来る。
「なっ、何やってるのっ!」
「ちょっとぶら下がってみたくなって…」
「飛び降りるなんて危ないじゃない! 怪我でもしたらどうするの!」
「それは大丈夫だ。流石にこの高さくらいじゃ、落ちても怪我しないし。それに今のは『予想外に落ちてしまった』じゃなくて、『安全に飛び降りた』だから安心してくれ。」
「……もおぉ~っ。」
王子様フェイスを心配そうに曇らせるフィロウ。
オレは安心させるべく、精一杯、力強く言った。
力強く頷いても効果があまり無いって、分かったからな。
フィロウは心配して、ちょっとプリプリして、それから許してくれた。
「窓から入ろうとしてたんじゃないんですか。」
「エステードさん、それも違うから安心してくれ。」
エステードさんもエステードさんで、納得行かないって顔をしてる。
オレが二階からぶら下がってた件について、シッカリした理由が無いからだな。
これに関してはほっといて良さそうだ。
ところで……。オレも、気になってることがある。
お昼前から兄弟二人揃って訪ねて来る理由。
この時間、ルサーが家にいないのはエステードさんは分かってるハズ。
だったら用事があるのはオレに、ってワケで。
それを考えたら、こんな、呑気にしてる場合じゃないぞ。早く聞かなきゃ。
話を逸らす為じゃないからな。
「それはそうと……二人してオレに、何か用事か?」
「そうだった。イグゥに伝えたい事があって来たんだよ。ハーレムの事。」
「危うく忘れる所でしたね?」
「お兄さんっ……。もうっ、忘れたりなんかしないもん。」
そうだぞ、忘れられたら困るぞ。
例え、それが良い話って限らなくてもな。
「あのね、イグゥ。お父さんとお母さんがね。ハーレムに入ってもいい、って。」
「許可して貰えたのか。良かった……。えっと……エステードさんは?」
「私は保留です。」
「そんな……っ!」
フィロウのハーレム入りの許可が意外に早かったから、オレは期待してた。
でもエステードさんのアッサリした言葉に、デジャヴを感じつつ膝を着く。
厳しいっ。厳しいぞ、エステードさん。
ここはエステードさん、ちょっと渋々でも「いいですよ」って言う流れだろ。
流石は最難関って仮定しただけはあるぞ。
「ちゃんとフィロウを大事にしてくれるか、ハーレムに入ってからもシッカリ様子を観察してますからね? 油断しないようにしてください。」
「ぃよ……っしゃ! じゃ、許可してくれるんだな?」
「保留です。」
「そんなっ!」
再びガクリってなるオレ。
そんなオレを見てエステードさんはクスクス笑った。
小さな声を漏らして笑う様子を見たら、オレもホッとする。
「それでね、イグゥ。ボクの加入手続きなんだけど、今日これから、どうかな?」
「オレは予定無いから構わない。でもまだ、フィロウの両親に挨拶してないぞ。」
「大丈夫。教会に行ったら会えるから。」
「そっ……そうか。」
まさかの、加入手続きと両親への挨拶を同時に済ませる、ってヤツか~。
ちょっと慌ただしいなぁ。むしろ逆に、それくらいの方が緊張しなくていいか?
「大丈夫かなぁ、オレ、殴られたりしないかな?」
「イグゥが堂々としてれば大丈夫だよ。」
「イグゥ君が既にハーレム登録をした天守だと、分かってますからね。客観的な証拠がある事ですから、両親も安心出来たはずです。」
教会で手続きをしたから、少なくともオレが天守だ、って点だけは確実だ。
それなら……あの日、ハーレムを作っといて良かったんだな。
じゃ、後はオレが心の準備をしとけばいい話か。
あぁ……だったら、教会へ行く前に。
「教会へ行く前に、さ。詰め所に行ってもいいかな? ルサーにも伝えときたい。」
「いいよ、勿論。」
「昼の休憩時に話せば良いですね。」
「ありがとう。急いで支度して来る。」
「あんまり慌てなくてもいいよ。馬車で来てるから。」
「分かった。でもなるべく急ぐ。」
二人を待たせてるんだから、出来るだけ急ぐのは普通にマナーだろ。
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