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第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~
ハーレムタグが出来上がる日
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教会で色々な手続きをしてから、二日が経った。
今日は、リオ、ビリー、カシュが作ったハーレムタグが出来上がる日だ。
入院中のリオにわざわざ、教会まで取りに行かせるのは忍びない。
本人か天守が取りに行けば簡単に済むんだから、オレが取りに行って、オレから皆に渡す約束をしてた。
ビリーも日中はヒマだって言ってたし、カシュの分はビリーに預ければいいよな。
ってワケで。
教会に向かって歩いてる間に、あの日の出来事をちょっと振り返ろうと思う。
シスターから便箋やペンを貰って、オレはさっそくアレス所長宛に手紙を書いた。
オレは元気で無事なこと。ノマルの町まで来ちゃったこと。
一時的に自分の名前や養育所の場所とかを忘れた所為で、今まで連絡出来ずに心配させちゃったことを謝って。
所長の弟王子だったルサージュと知り合って、一緒に住んでて、恋人になったこと。
ノマルの町でビリーと再会したこと……は、ビリーからの手紙で分かってるかも知れないけど、一応書いといた。
それから、オレに天守のシルシが見付かって。天守の登録とハーレムの設立、妻の登録をしたこと。ビリーを登録したこと。
結構悩んだ挙句、ルサーがイクシィズのハーレムに何故か登録されてることと……イクシィズに対する愚痴をちょこっと書いた。
もしアレス所長がまだイクシィズの妻で、幾らかでも好意を持ってるならゴメン。
こんだけたくさん書いたもんだから、結構な時間が掛かっちゃった。
一心不乱に文字を並べてる間に、自分の頭を整理する感じ、かな。
封をした手紙をシスターに預けたら、もう夕方六時ギリギリだった。
営業時間も終わりだし、リオも午後六時くらいに病院に戻るって話だったし。慌てて教会を出たんだ。
まずはリオを病院まで送る、その道すがら。
帰りも御者台に乗るオレの隣に、ルサーが座った。
妻の登録が出来なかったルサーを皆が気遣った、って理由もあるけど。オレもルサーに、相談しときたい話があったからだ。
皆には「後で話す」って伝えたオレの『殿下問題』について。
オレの予想……『行方不明になったオレが発見されやすくする為に、一時的に王子登録した』……を皆に話すに当たり、ルサーの過去について話す必要は無いと考えてる。アレス所長がリスタニアの第一王子だった話も、出さなくても問題無いとも思ってる。
だけど皆から何か質問されたら。それに答えてたら。
ルサーが所長の弟だって、隠すのが難しくなるかも知れない。アレス所長が王族じゃないかって予測が付いちゃうかも知れない。そうじゃなくても、オレの受け答えが不自然になる可能性もある。
同じ養育所にいたビリーは特に観察力が高いから。
きっとアレス所長の正体について、すぐに推測出来るだろう。
だから、どこまで話して大丈夫かをルサーに確認したんだ。
ルサーはちょっと考えて。イクシィズの宮殿での出来事以外は無理して秘密にしなくていいって、言ってくれた。
残念ながら今日は、馬車だけ借りてて人は雇ってない。オレかビリーのどちらかが御者をやらなきゃいけない以上は、移動してる馬車の中でオレの予想を話すのは無理だ。
仕方なく、病院に着いてからにした。
ただでさえ午後六時を軽~く過ぎちゃってるのに、病院の人は、午後七時までって約束でオレ達をリオの病室に入れてくれたから有難い。
これもどうやら、オレが天守だからっぽい。
なんだか申し訳ないな。でも助かった。
オレが教会で殿下って呼ばれた件について、約束通り、予想を話した。
リアクションはそれぞれ、だ。
移動中に聞いてたルサーは微妙な表情。
本当にそうなのかって思いながら、気にしても仕方ないって考えてるんだろう。
カシュは目を輝かせて「天守様が王子様って凄ぉ~い」って、テンション上げてた。
喜び方がちょっと他人事っぽくて、つい「カシュは、その妻だぞ?」ってオレが突っ込んじゃうくらい。
ビリーは信じてないようだった。
どうやら、オレの予想は間違ってる、って考えのようだ。
ビリー曰く「行方不明者を王子にする危険性を考えないハズが無い」って。
それでもオレが王子だって話自体は、悪くは思ってないっぽかった。
そんな中、リオは……泣き出してメチャクチャ焦った。
号泣って程じゃなく、ポロッポロッて涙を零す姿は一瞬、嬉しさが極まったようにも見えたけど。そうじゃなかった。
綺麗な眉を寄せながら「本当に王子様だなんて……それでなくても、おれは…」って呟く姿はとても不安そうで。
その場では他の皆も声を掛けて、なんとか沈み込んだ気持ちを浮上させたけど。近い内にちゃんと慰めて、シッカリ不安を聞かなくちゃ、な。
……ちなみに。
三人と別れ、家に帰ってから。
夜。オレとルサーはセックスした。
昨夜もシたんだし、翌日はルサーは仕事だし。精神的にショックを受けたルサーを休ませた方が……って思ってたのは嘘じゃないんだけどさ。
オレがルサーを、抱き締めて慰めたかったんだ。
ルサーの体温を感じたかった。
確かにここにいるって確認したかった。
ルサーもオレを慰めたいって、思ってくれてたようだ。
オレ、教会であんなに取り乱した姿を見せたもんなぁ。
だからついつい、その…………するだろ。なっ?
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