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第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~
どうやら誤解があるようだ
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ハーレムの設立と妻の登録を進めて貰うよう、シスターに頼んだ。
その為にリオやビリー、カシュの時間を貰ってるんだし。ルサー、リッカ、ユーグの三人を妻にするにはまず、オレがハーレムの天守になるのが大前提だからだ。
リオ達に、中断させちゃったタグの素材選びを再開して貰ってる間、オレとルサーはそっと眼鏡シスターに謝罪することにした。
「さっきはゴメン。頭に血が昇って、乱暴にして申し訳なかった。」
「俺もだ。済まなかった。」
「ハイっ、大丈夫ですっ。」
「……ありがとう。」
全然気にしてない、って感じで眼鏡シスターは笑みを浮かべた。
元気が良いだけじゃなく、結構おおらかな人柄なようだ。
「タグの出来上がりは明後日だったよな? 受け取りはどうしたらいい?」
「教会の窓口に取りに来て貰えれば良いですっ。誰かに頼んでも良いですけどっ、本人か殿下なら、特に必要な書類とかも無いんでっ。いつでも良いですけどっ、出来れば一週間以内に来て貰えると助かりますっ。」
「……ねぇ、あのさ? ちょっといい?」
何か考え事するような表情で、リオが声を掛けて来た。
手にプレートを二つ持ってるから、ドッチにするか迷ってるのかな。
「あぁ、どうしたんだ? リオ?」
「さっきはさ? なんか、途中でクチ出せるような……そんな雰囲気じゃなかったから、おれも聞かなかったんだけどさ。」
「気を遣わせちゃってゴメンな。」
「うん、それはいいんだけど。殿下って、どういう事?」
「……ぅん? 殿下?」
急にどうしたんだ、リオ。
殿下ってのは、例えば王子とか姫とか、王族に付ける敬称だよな。
王子殿下とか、王女殿下とか、妃殿下とか呼ぶヤツだ。
リオはなんで今、そんな質問をして来たんだ?
「もぉ~っ。教会の人が言ってただろ、殿下って。」
「え? 言ってたっけ?」
思わず首を捻ったオレ。
誤魔化してるように感じたのか、リオは形のいい唇をちょっと尖らせた。
さっき頭に血が昇ってた所為で記憶に自信の無いオレは、知力と観察力と聴力とに信頼の置けるビリーを見る。
きっとビリーはこの会話も聞こえてるだろうから、助けてくれるハズだ。
オレの視線を受けたビリーは、明白に頷いた。
「言って、た……。」
「そ、そっか……。」
言ってたらしい。
ビリーまでそう言うなら、間違いなさそうだ。
「あのっ、少し、良いですかっ? ちょっと確認で、あの……コチラへっ。」
「あっ、ちょっとぉ~?」
若干のデジャヴ感を醸し出しながら、オレは眼鏡シスターに引っ張られた。
眼鏡シスターはちょっと慌てた感じで、その場から離れて壁際の方へ移動する。
リオは不満気な声を上げたものの、追い掛けては来なかった。
移動したけどさ。
皆から十メートルくらいしか離れてないぞ?
「あの、スミマセン。あの人達は妻にするんですよね? 言ってないんですか?」
コッソリ喋ってるツモリなんだろう。
聞き取りやすさは抜群なまま、元気良さは多少控えめになった。
「言ってない? ……何を?」
「王子殿下だ、って事をですよ。秘密なんですか?」
「……何処の?」
「リスタニア国でしょう?」
「……誰が?」
「えっ? ぇ……えっと、そのぉ……。」
眼鏡シスターは困ったように眉を下げて、口を開いたり閉じたり。
それからゆっくり手を持ち上げて、チンマリした仕草で、オレを指差した。
その瞬間。
「殿下に指をさすんじゃありませんっ。」
眼鏡シスターの後ろ頭を、そうじゃないシスターが引っ叩いた。
そのまま鷲掴みして、勢い良く下げさせながら、本人もオレに向かって頭を下げる。
「済みません、恐らく悪気は無かったのです。お名前を呼ぶのが失礼だという事に思い至ったものの、緊張の余り、咄嗟に他の言葉が出て来なかったのでしょう。無礼な態度をどうぞお許しください。」
「普通に名前を呼んで貰って、全っ然いいんだぞ?」
「いいえ。一介のシスターが王族の方に、そのような事は出来ません。」
「………。」
オレ、言葉を無くす。の巻。
この話を真に受けるなら、オレがリスタニアの王子だ。……って、この人達は本気で思ってるっぽい。
……なんでだ? リスタニアの王子は、オレじゃないぞ?
「お許し頂けますでしょうか?」
「えっ? あっ、許す、許す許すっ。全っ然、大丈夫だから。」
「寛大なお心に感謝します。」
あー、参ったぞ。
どうせコッチの会話は皆に聞こえてるだろうから、ルサーに頼ろうかと思ったら。
あの表情を見る限り、ルサーもガチで驚いてる感じだな。
ビリーの驚き顔も、あれは演技じゃなさそうだから、あの養育所にいる子供イコール王子って仕組みでもなさそうだ。
リオもポカーンって顔してるし。
カシュは……なんかワクワクしてるぞ、あの人。前にも見たぞ、あの顔。
その為にリオやビリー、カシュの時間を貰ってるんだし。ルサー、リッカ、ユーグの三人を妻にするにはまず、オレがハーレムの天守になるのが大前提だからだ。
リオ達に、中断させちゃったタグの素材選びを再開して貰ってる間、オレとルサーはそっと眼鏡シスターに謝罪することにした。
「さっきはゴメン。頭に血が昇って、乱暴にして申し訳なかった。」
「俺もだ。済まなかった。」
「ハイっ、大丈夫ですっ。」
「……ありがとう。」
全然気にしてない、って感じで眼鏡シスターは笑みを浮かべた。
元気が良いだけじゃなく、結構おおらかな人柄なようだ。
「タグの出来上がりは明後日だったよな? 受け取りはどうしたらいい?」
「教会の窓口に取りに来て貰えれば良いですっ。誰かに頼んでも良いですけどっ、本人か殿下なら、特に必要な書類とかも無いんでっ。いつでも良いですけどっ、出来れば一週間以内に来て貰えると助かりますっ。」
「……ねぇ、あのさ? ちょっといい?」
何か考え事するような表情で、リオが声を掛けて来た。
手にプレートを二つ持ってるから、ドッチにするか迷ってるのかな。
「あぁ、どうしたんだ? リオ?」
「さっきはさ? なんか、途中でクチ出せるような……そんな雰囲気じゃなかったから、おれも聞かなかったんだけどさ。」
「気を遣わせちゃってゴメンな。」
「うん、それはいいんだけど。殿下って、どういう事?」
「……ぅん? 殿下?」
急にどうしたんだ、リオ。
殿下ってのは、例えば王子とか姫とか、王族に付ける敬称だよな。
王子殿下とか、王女殿下とか、妃殿下とか呼ぶヤツだ。
リオはなんで今、そんな質問をして来たんだ?
「もぉ~っ。教会の人が言ってただろ、殿下って。」
「え? 言ってたっけ?」
思わず首を捻ったオレ。
誤魔化してるように感じたのか、リオは形のいい唇をちょっと尖らせた。
さっき頭に血が昇ってた所為で記憶に自信の無いオレは、知力と観察力と聴力とに信頼の置けるビリーを見る。
きっとビリーはこの会話も聞こえてるだろうから、助けてくれるハズだ。
オレの視線を受けたビリーは、明白に頷いた。
「言って、た……。」
「そ、そっか……。」
言ってたらしい。
ビリーまでそう言うなら、間違いなさそうだ。
「あのっ、少し、良いですかっ? ちょっと確認で、あの……コチラへっ。」
「あっ、ちょっとぉ~?」
若干のデジャヴ感を醸し出しながら、オレは眼鏡シスターに引っ張られた。
眼鏡シスターはちょっと慌てた感じで、その場から離れて壁際の方へ移動する。
リオは不満気な声を上げたものの、追い掛けては来なかった。
移動したけどさ。
皆から十メートルくらいしか離れてないぞ?
「あの、スミマセン。あの人達は妻にするんですよね? 言ってないんですか?」
コッソリ喋ってるツモリなんだろう。
聞き取りやすさは抜群なまま、元気良さは多少控えめになった。
「言ってない? ……何を?」
「王子殿下だ、って事をですよ。秘密なんですか?」
「……何処の?」
「リスタニア国でしょう?」
「……誰が?」
「えっ? ぇ……えっと、そのぉ……。」
眼鏡シスターは困ったように眉を下げて、口を開いたり閉じたり。
それからゆっくり手を持ち上げて、チンマリした仕草で、オレを指差した。
その瞬間。
「殿下に指をさすんじゃありませんっ。」
眼鏡シスターの後ろ頭を、そうじゃないシスターが引っ叩いた。
そのまま鷲掴みして、勢い良く下げさせながら、本人もオレに向かって頭を下げる。
「済みません、恐らく悪気は無かったのです。お名前を呼ぶのが失礼だという事に思い至ったものの、緊張の余り、咄嗟に他の言葉が出て来なかったのでしょう。無礼な態度をどうぞお許しください。」
「普通に名前を呼んで貰って、全っ然いいんだぞ?」
「いいえ。一介のシスターが王族の方に、そのような事は出来ません。」
「………。」
オレ、言葉を無くす。の巻。
この話を真に受けるなら、オレがリスタニアの王子だ。……って、この人達は本気で思ってるっぽい。
……なんでだ? リスタニアの王子は、オレじゃないぞ?
「お許し頂けますでしょうか?」
「えっ? あっ、許す、許す許すっ。全っ然、大丈夫だから。」
「寛大なお心に感謝します。」
あー、参ったぞ。
どうせコッチの会話は皆に聞こえてるだろうから、ルサーに頼ろうかと思ったら。
あの表情を見る限り、ルサーもガチで驚いてる感じだな。
ビリーの驚き顔も、あれは演技じゃなさそうだから、あの養育所にいる子供イコール王子って仕組みでもなさそうだ。
リオもポカーンって顔してるし。
カシュは……なんかワクワクしてるぞ、あの人。前にも見たぞ、あの顔。
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