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第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~
お前がそれでいいなら俺もそれでいい $ルサー$
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仕事上がり、イグザと外でメシを食って帰る事にした。
カシュとビリー……呼び方は若干迷ったがイグザが妻にしたがってる幼馴染みの『ビリー』の方で、俺も呼ぶ事にした……も一緒に、四人でな。
残念ながらエステードは今日、実家に行く予定らしい。
弟と話をするンだとさ。
アイツの弟がハーレム入りする話だから、早いに越した事は無ぇ。
とは言え……今日はエステード、かなり面白くねぇ事があったばかりだからな。
変に荒れたりしなきゃいいんだが。
念の為、個室のある店を選んだ。
イグザのハーレムの話をするってのは決まった事だし、話の流れによっちゃそのまま『顔合わせ』まで済ませる事になるかも知れねぇ。
同僚と飲みに行くようなオープンな場所じゃマズいだろ。
「……この四人で、改めてちゃんと話したくって、来て貰ったんだけど……さ。」
適当に料理を注文した後、飲み物が届いたのを頃合いに。
俺に促されたイグザが緊張した面持ちで切り出した。
歓迎会で自己紹介させられる新入りかってぐらいの緊張っぷりに笑いながら、俺は努めてさり気なく三人の様子を窺ってた。
今日ここで話さなきゃならねぇのは、ビリーのハーレム入りについて、だからな。
ビリー。イグザと同じ養育所に居た幼馴染み。
ウェーブがかった明るい髪に整った顔立ちをした、かなりの色男だ。
イグザに惚れてて、イグザもビリーを可愛いと思い、その気持ちを受け入れてる。
だが現在、ビリーはカシュと恋人でもある。
休憩室でカシュが泣いてる姿を見た途端、すぐに駆け出して慰めてンのを見る限り、大事にしてそうだった。
跪いて、手を繋いで。エステードの話を聞いてる最中もずっとそうしてたな。
それなり以上に二人は、恋人同士として仲良くやってんだろう。
「俺、イグゥの……妻、に……。……なりたい。」
「……! そ、そっ、そうか、ありがと、ビリーっ!」
立ち上がったイグザが嬉しそうにビリーの手を握った。
ビリーも嬉しそうに微笑んでる。
ここまでは想定通り。順調だ。
惚れてる男から妻になるよう誘われて、断るなんぞ有り得んからな。
……って、こんな発想は王都から来た連中と同じじゃねぇか。その内に「イグザに抱かれて嫌なワケがねぇ」とか言い出さねぇよう、気を付けねぇと。
「カシュ、の事なんだ…けど……。」
「そう、それっ。カシュは、どういう風にしたいんだ?」
そこは結構デカ目な問題だ。
ビリーがハーレムに入るんなら、カシュとの恋人関係をどうするか、ちゃんと考えなきゃならねぇぞ。
妻がハーレム外にオトコを作ってる、ってのは天守の評判に傷を付けるからな。
一般的な事を言えば、妻になる前に今のオトコは切る、それが出来ねぇなら妻にしない。そういうモンだ。
カシュとビリーは……いや、イグザもか。その辺をどう考えてンだか。
対応策らしきモンは一応、あるにはあるんだが……。
イグザにもカシュにも妥協させるような内容だ。俺から提案すべき事じゃねぇな。
まぁ、困り果てるような展開になるようだったら、知らせてやればいいか。
ビリーが言うには、イグザもカシュも好きで、ドッチかだけにするってのは考えてないらしい。
その言い分にカシュが頷いてる所を見ると、そこはアイツも納得してンだろう。
「だから、ね……イグゥ。……お願いなん、だけど…」
「あぁ、言ってくれ。」
「…俺と、カシュ……、二人…とも……。……して。」
頷きながら聞いてたイグザは、ビリーの言葉で明らかに動きを止めた。
一瞬硬直し、口元がピクリとした所で、慌てて自分の両頬をパシパシ叩き出す。
確実に妙な想像をしたに違いねぇ。
気にしねぇ風でビリーが話を進めたから、叱ってやる事はしなかったがな。
「つ、……妻同士が……交流、するんじゃ……なくて。……えっと……、恋人…同士の、俺とカシュを……妻に、して……欲しい……。」
「んん? オレには違いが良く分かんないんだけど…」
ビリーが言ったのは、カシュも一緒に妻にしてくれ、って話だ。
俺が知ってる対応策と同じ内容だった。恋人同士の二人を纏めて妻にして、『天守の寛容性』をアピールする方向にすり替える方法だな。
だからイグザが理解しにくい部分については、俺がちょろっと補足してやれた。
こんな事でも、役に立てたなら嬉しいってモンだ。
説明を聞いたイグザはすぐに答えを出した。
カシュも妻に迎える、と。
予定もしてなかっただろう、他の妻の恋人を、だ。
「ルサー、いいか? もう一人、妻が増えるんだけど。」
「イグザがそれでいいってンなら、俺も別に構わねぇ。……本当にいいのか? 自分の妻に、他に男がいるってので。」
「あぁ分かってる。でもオレ、ビリーにカシュを諦めてツライ思いをして欲しくないし、カシュも泣かせたくないんだ。……変な気持ちだなって、自分でも分かってるぞ。」
イグザが俺を窺うように確認して来た。
俺を本妻にする予定だからだろう。
同意してやると、ホッとした様子を見せる。
天守が新しく妻を迎える前に、本妻や既存の妻に相談する事もある、とは聞く。
だがよっぽどの場合……それこそ、入宮させるのにかなり問題がある人物でもない限り、妻達が反対出来るワケが無ぇだろ。
しかも今回の場合、相手はカシュだ。
悪いヤツじゃねぇのは分かってるし、俺とも、他の妻とも揉めたりもしねぇだろう。
イグザがそれでいいんなら、俺は反対する気は無い。
イグザが俺を愛してくれてるなら……俺も、イグザが望んだ通りでいい。
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