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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
もう忘れてもいいじゃない・8 $リオ$
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鼻をタオルで押さえるイグゥを、とりあえずベッドにちゃんと座らせた。
寝かせてあげる方がいいんじゃないかって思ったけど、起きてた方がいいみたい。
「いきなり鼻血とか、もぉ、そんな興奮する事なんか無いだろ。」
「ご、ゴメン゛……。」
「ホント、おれ、ビックリしたんだから。看護師さん、呼ばなくて大丈夫か?」
「大丈夫だ、ずぐ……止まるって。」
並んで座って。おれはそっとイグゥの様子を窺う。
鼻血出して。タオルに顔を埋めて。イグゥはそんな姿でも嬉しそうだった。
具合が悪くなったんじゃなくて良かった……。
イグゥの血が止まるまでの間、何か喋ろうかとしたんだけど。
おれもおれで、なんだか妙に落ち着いちゃったっていうか。まったりしてる、っていうか。
自分の気持ちが上がったり下がったりツラくなったり怖くなったり、そういう色々なのが一気に全部落ち着いた感じで、張り詰めてた何かが緩んだか切れたかしてるんだ。
隣にいるだけで胸の中がジンワリする。
何も言わずにイグゥを見てるのがいい。
さり気なくイグゥがおれの肩に手を回してた。
おれがちょっとホワホワしてたら。本当に、気付いたら。いつの間に。
案外、スマートに手も早いなぁ~って感心したそばから。
イグゥの手がおれの腰の方へ下りてく。
「……大丈夫?」
「んっ?」
「興奮して、止まらなくなったら大変じゃない?」
素知らぬ顔して首を傾げたイグゥに、おれも何でもない風に言いながら。
完全におれの腰を抱いてる手の甲を抓ってやった。
ちょっとは痛かったのかな。
イグゥは片目を細める。
その表情、ちょっと色っぽくて悔しいな。
「…っタタ……。」
「ヤラシイお触りは禁止。ここ、病室だぞっ?」
「あぁぁ……そうだった。」
「ちょ……っ、……ぷっ! ふふ…っ、な、……なに、今頃、気付いたみたいに…言ってんだよぉ……ぷふっ。」
おれに言われて初めて気付いて絶望した、みたいな表情のイグゥが面白くて。
堪らず吹き出したおれに、イグゥも釣られて笑みを零す。
こうやって一緒に笑えるなんて、な。……凄い、幸せ。
一人でグルグル考え込んでた時のおれに見せてやりたいぐらいだ。きっと信じないんだろうけど。
おれだって不思議な気分。
ちょっと気になる事はあるけど、心配事はかなり……軽くなってる。
気になってるのは、おれの身体がタチだって事なんだけど。それはまぁ、いずれ……その内、な。そういう感じになったら、聞いてみよっかな。
でもなぁ、イグゥ、興奮して鼻血出すからなぁ。その場になってから言うの、逆にムゴいかな。
「リオがキスしてくれたのが嬉しくって、興奮し過ぎちゃって。ウッカリ、ここが病院なの忘れるトコだった。」
「嘘だぁ、あんな程度の……。」
イグゥからのリップサービスに軽口で返して。
それから「その前から興奮して、おれにキスしまくってたクセに~」って、揶揄ってやるツモリだったのに。
ジッとおれを見るイグゥの視線に、そんなの言えなくなった。
「リオ……。」
不自然に言葉を止めたおれにイグゥが手を伸ばす。
その動きは凄く自然で、何も反応出来ない内におれはイグゥに頭を撫でられた。それから当たり前みたいに、イグゥの手は髪を梳くように動く。
優しく滑る指が気持ち良くて、おれを見る視線は甘くて擽ったい。
「リオが安心した笑顔、やっと見れた。」
「ぃ…ぐぅ……。」
イグゥの声が心からホッとしてた。
そういうイグゥの方こそ、やっと安心出来たような、力の抜けた様子で。
なのに……。
「……良かった。」
まるで『安心・安全な男』っぽい発言しといて。
鼻を押さえる為のタオルで顔半分隠れてるのに。
微笑むイグゥの瞳の奥は欲情してるのが分かる。
身体のどこから来るのか分からないけど、ゾクって、した。
これは気持ちいいのか、怖いのか、分からない。
でも……イグゥに任せるって決めたから。怖くても、どっちでもいい。
「イグゥ、血……止まった? ……見せて。」
「あぁ、たぶんもう大丈…っん。」
「んぅ~。」
タオルを外すそばから、イグゥの唇を塞いでやった。
ビックリして目を見開く表情がおれを喜ばせる。
視線の色気で翻弄されそうだったから、ちょっとだけスッとした気分。
唇を舌先でなぞったら、イグゥはかなり焦り出した。
「りっ、……リオっ。…おさ……っ、お触りはダメ、って…」
「当たり前だろ、お触りはダメだぞ? ここは病院の、病室なんだから。個室だけど、看護師さんが来るんだからさ。……触ってて、っせ……セックスしたくなったら困るだろ?」
「そっ……それはそうだけどっ。」
また絶望の表情をしたイグゥの髪を、おれもお返しに撫でる。
余裕が戻って来た気になって、おれは気を良くして。
「でも、キスだけなら……いいけど。……する?」
「する。」
思いっ切り墓穴を掘った事に、気付いてなかった。
寝かせてあげる方がいいんじゃないかって思ったけど、起きてた方がいいみたい。
「いきなり鼻血とか、もぉ、そんな興奮する事なんか無いだろ。」
「ご、ゴメン゛……。」
「ホント、おれ、ビックリしたんだから。看護師さん、呼ばなくて大丈夫か?」
「大丈夫だ、ずぐ……止まるって。」
並んで座って。おれはそっとイグゥの様子を窺う。
鼻血出して。タオルに顔を埋めて。イグゥはそんな姿でも嬉しそうだった。
具合が悪くなったんじゃなくて良かった……。
イグゥの血が止まるまでの間、何か喋ろうかとしたんだけど。
おれもおれで、なんだか妙に落ち着いちゃったっていうか。まったりしてる、っていうか。
自分の気持ちが上がったり下がったりツラくなったり怖くなったり、そういう色々なのが一気に全部落ち着いた感じで、張り詰めてた何かが緩んだか切れたかしてるんだ。
隣にいるだけで胸の中がジンワリする。
何も言わずにイグゥを見てるのがいい。
さり気なくイグゥがおれの肩に手を回してた。
おれがちょっとホワホワしてたら。本当に、気付いたら。いつの間に。
案外、スマートに手も早いなぁ~って感心したそばから。
イグゥの手がおれの腰の方へ下りてく。
「……大丈夫?」
「んっ?」
「興奮して、止まらなくなったら大変じゃない?」
素知らぬ顔して首を傾げたイグゥに、おれも何でもない風に言いながら。
完全におれの腰を抱いてる手の甲を抓ってやった。
ちょっとは痛かったのかな。
イグゥは片目を細める。
その表情、ちょっと色っぽくて悔しいな。
「…っタタ……。」
「ヤラシイお触りは禁止。ここ、病室だぞっ?」
「あぁぁ……そうだった。」
「ちょ……っ、……ぷっ! ふふ…っ、な、……なに、今頃、気付いたみたいに…言ってんだよぉ……ぷふっ。」
おれに言われて初めて気付いて絶望した、みたいな表情のイグゥが面白くて。
堪らず吹き出したおれに、イグゥも釣られて笑みを零す。
こうやって一緒に笑えるなんて、な。……凄い、幸せ。
一人でグルグル考え込んでた時のおれに見せてやりたいぐらいだ。きっと信じないんだろうけど。
おれだって不思議な気分。
ちょっと気になる事はあるけど、心配事はかなり……軽くなってる。
気になってるのは、おれの身体がタチだって事なんだけど。それはまぁ、いずれ……その内、な。そういう感じになったら、聞いてみよっかな。
でもなぁ、イグゥ、興奮して鼻血出すからなぁ。その場になってから言うの、逆にムゴいかな。
「リオがキスしてくれたのが嬉しくって、興奮し過ぎちゃって。ウッカリ、ここが病院なの忘れるトコだった。」
「嘘だぁ、あんな程度の……。」
イグゥからのリップサービスに軽口で返して。
それから「その前から興奮して、おれにキスしまくってたクセに~」って、揶揄ってやるツモリだったのに。
ジッとおれを見るイグゥの視線に、そんなの言えなくなった。
「リオ……。」
不自然に言葉を止めたおれにイグゥが手を伸ばす。
その動きは凄く自然で、何も反応出来ない内におれはイグゥに頭を撫でられた。それから当たり前みたいに、イグゥの手は髪を梳くように動く。
優しく滑る指が気持ち良くて、おれを見る視線は甘くて擽ったい。
「リオが安心した笑顔、やっと見れた。」
「ぃ…ぐぅ……。」
イグゥの声が心からホッとしてた。
そういうイグゥの方こそ、やっと安心出来たような、力の抜けた様子で。
なのに……。
「……良かった。」
まるで『安心・安全な男』っぽい発言しといて。
鼻を押さえる為のタオルで顔半分隠れてるのに。
微笑むイグゥの瞳の奥は欲情してるのが分かる。
身体のどこから来るのか分からないけど、ゾクって、した。
これは気持ちいいのか、怖いのか、分からない。
でも……イグゥに任せるって決めたから。怖くても、どっちでもいい。
「イグゥ、血……止まった? ……見せて。」
「あぁ、たぶんもう大丈…っん。」
「んぅ~。」
タオルを外すそばから、イグゥの唇を塞いでやった。
ビックリして目を見開く表情がおれを喜ばせる。
視線の色気で翻弄されそうだったから、ちょっとだけスッとした気分。
唇を舌先でなぞったら、イグゥはかなり焦り出した。
「りっ、……リオっ。…おさ……っ、お触りはダメ、って…」
「当たり前だろ、お触りはダメだぞ? ここは病院の、病室なんだから。個室だけど、看護師さんが来るんだからさ。……触ってて、っせ……セックスしたくなったら困るだろ?」
「そっ……それはそうだけどっ。」
また絶望の表情をしたイグゥの髪を、おれもお返しに撫でる。
余裕が戻って来た気になって、おれは気を良くして。
「でも、キスだけなら……いいけど。……する?」
「する。」
思いっ切り墓穴を掘った事に、気付いてなかった。
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