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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

分かってたけど最大の難関はエステードさんだ

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会議室並に広い部屋の、大きめな長方形な卓に着いてるオレ、ルサー、フィロウ、エステードさんの四人。
室内にいるのは現時点で、どうやらオレ達だけっぽい。
もう二~三人居たような気がしたんだけど、いつの間にか居なくなってた。

長方形の端の方で、オレの隣にフィロウ。向かい側にはエステードさん。
緊張してるオレとフィロウの前に立ち塞がるエステードさん、って感じだ。イベントボス感が凄い。

ルサーはお誕生日席に座った。
オレがフィロウを妻にしたいと思ってるの、たぶんルサーは気付いてる。そんな風に見える。
呆れたような許したような表情でオレを見るのが、大人な対応のような気がする。



「さて、大事な話を聞きますか。フィロウ、どうぞ?」

席に着くなり、か。
話しが早くていいけど……エステードさん、容赦無いなぁ。


まずは、話を振られたフィロウに任せるのがいいだろうから、一先ずオレは様子を見ることにした。
フィロウがキャパオーバーするようなら、すぐに割り込めるよう注意はして。


「ぃやぁの、今日は……大事な話をする日の、日程調整を…」
「大事な話が『何について』なのか、それも言えないのですか?」
「お父さんとお母さんと、一緒に……その、出来れば家族皆で…」
「…………はーーーっ。」

大きな溜息を吐くエステードさんは、珍しくジト目でフィロウを睨む。

しばらく睨んで、それからちょっとだけ辛そうな表情になって。
ふっと視線を卓へ落とした。


「…私に直接話すのは嫌ですか?」

エステードさんの硬い声を聞いてフィロウが目を見開く。


「あっ、ぁ、あ……あの…」
「私に言えば反対されるに決まっていますからね。反対する私を、両親から説得して貰う心積もりですか?」
「そ、それは……でも、それだけじゃ無いもん。」
「話と言うのは、ハーレム作りの事でしょう? もちろん私は反対ですよ。」
「ま……まだ何も言ってないのに。なんで?」
「それぐらい、フィロウの様子を見ればすぐに分かります。」

話してないのにやっぱりバレバレだった。
グゥの音も出ない。


フィロウがジンワリと涙目になって来たのが見えて。
無作法かも知れないけど、オレは二人の会話に割って入る。

「エステードさん。良かったら、オレから説明させて貰えないか?」
「いいえ、これはフィロウが話さないといけない事です。フィロウから聞いた後でイグゥ君にも話を聞こうと考えていたんですが……。」

そこで区切ったエステードさん。
また溜息を吐いた。

「……フィロウは。どうやら私には話す気が無い事も、今、分かりました。」
「違うもんっ、ちゃんと家族揃ってから、話そうって…」
「両親には、でしょう? ……私にはどんな話なのか、その概要さえ言おうとしなかったじゃないですか。」
「それは……だって……。」


兄弟喧嘩だから、かな。二人ともちょっと感情的になってないか?
なんだかフィロウは駄々こね気味だし。
一方、エステードさんも……表情が怖いけど、落ち着いて聞いてみたら。オレの耳には。要するに、フィロウが自分に話してくれないからスネてる、みたいな感じに聞こえるぞ。


これじゃ話が進まない。でも、どうしよう?
……って考えてたトコに。



「なぁエステード……。なんつ~か、その……あんまり責めてやるな。」


どっかバツが悪そうな声。
ルサーだった。
注意するような言葉だけど、声はエステードさんを責めてない。


「ですが、ルサーさ…」
「そういう話題ってよ。なかなか言い難いモンだ、……兄貴にはな。……俺も弟…だから、気持ちは分からないでもない。」

言いながら瞳を細めたルサー。
リスタニアの第二王子だった過去。兄である第一王子との遣り取りとか、そういうのを思い出してるんだろう。

フィロウがなかなか話し難そうなのは、単純にエステードさんが怖いから、って気もするんだけど。
それは黙っとこう。


「それにお前さんだって、あるだろ? 弟に言ってない事、言えねぇ事の一つや二つぐらいは。」
「それは……。……えぇ、まぁ。」

返答するエステードさんの声が落ち着いて来た。
この機会を、この良い流れを、ふいにしないよう注意を払いつつ。


「それじゃあ、エステードさん。オレから説明していいか?」
「仕方ないですね……えぇ。」

出来るだけ自然な調子で話し掛けるオレ。


せっかくルサーが作ってくれたチャンスだからな。
シッカリちゃんと説明して。
これならフィロウを任せられる、ってエステードさんを安心させてあげよう。
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