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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
絶対に離さないって決めてるんだ
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冷静に、落ち着いて振り返れば。
今オレが言ったのって、かなりプロポーズ的な台詞じゃないか。
だったら状況とか雰囲気とか、もっとちゃんとするべきなんだろうけど。それを気遣える余裕はオレに無かったんだ。
ルサーが……、オレにシルシがあるからって……。
自分を捨てて他の男でハーレムを作れ。みたいなことを言い出して、身を引くような雰囲気を出して来るから。
ジッとオレを見詰めるルサーの耳には、オレの声が聞こえてるハズだ。
肝心の、ルサーの心に、オレの言葉が届くのを祈った。
「俺、は……。ハーレムには…」
「嫌だ、イエスって答えしか聞きたくない。頷いてくれるまで離さない。」
オレの言いっぷりに、驚いたように目を見開いて。反対に、キュっと口を閉じて。
ルサーは乾いた唇を舐める。
ゴメン。祈る、なんて嘘だ。そんな風に、大人しく穏やかになんか待てない。
ルサーに断られるなんて、ルサーと離れるなんて考えられない。
凄く傲慢な言葉だけど、これがオレの本音。
知らなかった。
恋愛面で、素のオレって、こんなに我が儘なんだ。
呆れたかな、ルサー。呆れたよな……?
「ゴメン、ルサー。我が儘言って、ゴメン。でも、嫌いに……ならないでくれ。」
「イグザ……。」
「ルサーが居ない、なんて嫌なんだ。なぁ……一緒に居てよ。」
オレの言ってることの繋がりが雑だ。
自分の願いをゴリ押しする子供と同じじゃないか。
「ルサーが嫌だったら、……シルシの件、黙ってる。秘密にする。こんな場所にあるんだから、どうせ普通は見えないんだ。天守にはならない。ハーレムにはしない。……誰にも、内緒にしよう?」
「……っ、お前…」
ルサーが困った顔になった。
ちょっと間があって。腕の中にいるルサーが長い息を吐く。
つい反射的に、逃げられないようにオレは腕に力を込めちゃって。
駄々を捏ねてるオレに、ルサーがゆっくり手を伸ばす。
さっきみたく押し返されるんじゃなく、伸びた手はオレの頭に触れた。
あやすようにポンポンってしてから、ルサーが優しく撫でてくれる。
「嫌いになんぞ、なるワケが無ぇだろ。……こんなに惚れてくれてンのに、よ。」
「ルサー、好きだ。」
「あぁ、俺も……イグザが好きだ。」
ルサーのその一言で、オレの気分が上昇する。
しかも、そうなってから初めて、オレは自分がシュンとしてた事実に気付いた。
「じゃ……じゃあ、えっと、ルサ…」
「…イグザ。お前に話してねぇ事がある。聞いてくれるか?」
浮足立って、期待を込めたオレに。ルサーの表情は真剣だった。
ごく自然な感じで、オレの頭を撫でてた手が離れてく。
甘い雰囲気があんまり無くて、流石のオレも、ルサーが言おうとしてるのは単なる返事じゃないって分かる。
「言う機会は、無いと……思ってたんだが……。……俺を。イグザが、妻にしたい…って言うなら……、黙ってはおけねぇ、話だ……。」
話し難いけど大事な話。もしかして……。
そう考えたら、全裸同士なのは置いとくけど、立ち話はダメだ。
万が一にでもルサーが逃げ出せないような体勢に持ち込んでから聞かなくちゃ。
「分かった。長くなるようなら、立ち話は止めよう?」
「あぁ、そうだな。ついでに服も…ぉ、おいっ! ちょっと待っ……、イグザっ!」
やっぱり、予想通りだった。
服を着る提案をしようとしたルサーを裸のまま、抱え上げてベッドに運んだ。
ルサーと一緒にベッドで横になった。
もちろんルサーが起き上がれないよう、しっかりと身体を捕まえてだ。
さっきは切羽詰まってたから、毛布の上に寝転がったけど。話を聞く予定だから、お互いの身体が冷えないようにちゃんと毛布を被せた。
「おいっ、話をするのに裸で横になる必要は無ぇだろっ。」
「ルサーにくっ付いて聞きたいから、このまま話してくれ。……聞くから。」
毛布の中でルサーの手を握った。指も絡めて。
ちゃんと聞くってアピールする為に、ルサーを見たままでオレは口を閉ざす。
そう言えば、こうやってルサーと寝転がって見つめ合うのって初めてかも。
しばらく黙ってたら、握られっぱなしのルサーの手が握り返してくれた。
ポツリポツリ。ルサーは話し始める。
「出来れば、この話を聞いた後も……その…、お前が変わらないで、いてくれればいいんだがな……。」
「あぁ。……大丈夫。」
聞く前から無責任な、って言われそうだけど。
何かを聞いた所為でルサーを嫌いにならない自信はあるから。
「お前も知っての通り、俺は昔、ルサージュって呼ばれててな……。」
今オレが言ったのって、かなりプロポーズ的な台詞じゃないか。
だったら状況とか雰囲気とか、もっとちゃんとするべきなんだろうけど。それを気遣える余裕はオレに無かったんだ。
ルサーが……、オレにシルシがあるからって……。
自分を捨てて他の男でハーレムを作れ。みたいなことを言い出して、身を引くような雰囲気を出して来るから。
ジッとオレを見詰めるルサーの耳には、オレの声が聞こえてるハズだ。
肝心の、ルサーの心に、オレの言葉が届くのを祈った。
「俺、は……。ハーレムには…」
「嫌だ、イエスって答えしか聞きたくない。頷いてくれるまで離さない。」
オレの言いっぷりに、驚いたように目を見開いて。反対に、キュっと口を閉じて。
ルサーは乾いた唇を舐める。
ゴメン。祈る、なんて嘘だ。そんな風に、大人しく穏やかになんか待てない。
ルサーに断られるなんて、ルサーと離れるなんて考えられない。
凄く傲慢な言葉だけど、これがオレの本音。
知らなかった。
恋愛面で、素のオレって、こんなに我が儘なんだ。
呆れたかな、ルサー。呆れたよな……?
「ゴメン、ルサー。我が儘言って、ゴメン。でも、嫌いに……ならないでくれ。」
「イグザ……。」
「ルサーが居ない、なんて嫌なんだ。なぁ……一緒に居てよ。」
オレの言ってることの繋がりが雑だ。
自分の願いをゴリ押しする子供と同じじゃないか。
「ルサーが嫌だったら、……シルシの件、黙ってる。秘密にする。こんな場所にあるんだから、どうせ普通は見えないんだ。天守にはならない。ハーレムにはしない。……誰にも、内緒にしよう?」
「……っ、お前…」
ルサーが困った顔になった。
ちょっと間があって。腕の中にいるルサーが長い息を吐く。
つい反射的に、逃げられないようにオレは腕に力を込めちゃって。
駄々を捏ねてるオレに、ルサーがゆっくり手を伸ばす。
さっきみたく押し返されるんじゃなく、伸びた手はオレの頭に触れた。
あやすようにポンポンってしてから、ルサーが優しく撫でてくれる。
「嫌いになんぞ、なるワケが無ぇだろ。……こんなに惚れてくれてンのに、よ。」
「ルサー、好きだ。」
「あぁ、俺も……イグザが好きだ。」
ルサーのその一言で、オレの気分が上昇する。
しかも、そうなってから初めて、オレは自分がシュンとしてた事実に気付いた。
「じゃ……じゃあ、えっと、ルサ…」
「…イグザ。お前に話してねぇ事がある。聞いてくれるか?」
浮足立って、期待を込めたオレに。ルサーの表情は真剣だった。
ごく自然な感じで、オレの頭を撫でてた手が離れてく。
甘い雰囲気があんまり無くて、流石のオレも、ルサーが言おうとしてるのは単なる返事じゃないって分かる。
「言う機会は、無いと……思ってたんだが……。……俺を。イグザが、妻にしたい…って言うなら……、黙ってはおけねぇ、話だ……。」
話し難いけど大事な話。もしかして……。
そう考えたら、全裸同士なのは置いとくけど、立ち話はダメだ。
万が一にでもルサーが逃げ出せないような体勢に持ち込んでから聞かなくちゃ。
「分かった。長くなるようなら、立ち話は止めよう?」
「あぁ、そうだな。ついでに服も…ぉ、おいっ! ちょっと待っ……、イグザっ!」
やっぱり、予想通りだった。
服を着る提案をしようとしたルサーを裸のまま、抱え上げてベッドに運んだ。
ルサーと一緒にベッドで横になった。
もちろんルサーが起き上がれないよう、しっかりと身体を捕まえてだ。
さっきは切羽詰まってたから、毛布の上に寝転がったけど。話を聞く予定だから、お互いの身体が冷えないようにちゃんと毛布を被せた。
「おいっ、話をするのに裸で横になる必要は無ぇだろっ。」
「ルサーにくっ付いて聞きたいから、このまま話してくれ。……聞くから。」
毛布の中でルサーの手を握った。指も絡めて。
ちゃんと聞くってアピールする為に、ルサーを見たままでオレは口を閉ざす。
そう言えば、こうやってルサーと寝転がって見つめ合うのって初めてかも。
しばらく黙ってたら、握られっぱなしのルサーの手が握り返してくれた。
ポツリポツリ。ルサーは話し始める。
「出来れば、この話を聞いた後も……その…、お前が変わらないで、いてくれればいいんだがな……。」
「あぁ。……大丈夫。」
聞く前から無責任な、って言われそうだけど。
何かを聞いた所為でルサーを嫌いにならない自信はあるから。
「お前も知っての通り、俺は昔、ルサージュって呼ばれててな……。」
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