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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~
ちょっとお邪魔したら本気で排除された
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「はあぁ~。フィロウも、ねぇ……。キミの半分でも…」
「話は終わったな? そろそろ帰れ。」
大きなため息と共に。たぶん弟の愚痴を零そうとしたエステードさん。
それを遮ったメリクルは台詞以上に表情が、出てけって言ってる。
「え~? メリクル、久し振りに会ったのにそれか?」
メリクルとしては早くエステードさんと二人きりになりたいんだろう。
その気持ちは分かる。
それにエステードさんは今日、深夜番だ。
いつ頃かは分かんないけど仮眠を取るって考えたら、確かにあんまり長居も良くない。……けど。
さっき来たばっかりだし。そもそもオツマミ一口も食べてないっ。
その前にメリクルが来たからだ。怪し過ぎる感じで。隣の部屋から。
「も~ちょっと話そうよ。せっかくオツマミも出して貰ってるんだから。」
「お前と話なんか無いっつったろ。」
「じゃあいーよ、メリクルは黙ってて。オレはエステードさんと話しながら食べるから。言っとくけど、メリクルの所為で食べれなかったんだからな。……オレ、お腹空いてたのに。」
スネた調子で言って、オレは輪切り渦巻き型のパイに手を伸ばした。
実は内心、本当にちょっとスネてる。
幾らオレが邪魔くさいからって、そんなに邪険にしなくたっていいじゃん。
四年振りくらいなのに、会えたのが嬉しかったのってオレだけ?
子供じゃないんだって言われたらそれまでだけど、オレは……嬉しかったのに。
「なぁメリクル。……オレ、可愛くなくなったか?」
「ぶぅ、っ……!」
昔はあんなに可愛がってくれてたのに。卒業したらそれもナシなのか。
そんな気持ちで言ったらメリクルが珈琲紅茶を吹き出した。
その後、豪快にむせる背中を、エステードさんが機械人形みたいな動きで容赦なく叩いた。
メリクルはどうにか復活したっぽい。
「あのなぁ……いいか、イグゥ? タチのお前が可愛いとか、ねーから。お前の事を可愛いって言うのは、お前のちんぽ狙いのネコだけだっ。」
「がびーっ! なんか、なんかよく分かんないけど酷い! メリクルだって昔、可愛いって言ってくれてたじゃんか! 嘘だったのかっ?」
「昔の事は忘れろっ。大体、子供の頃はみんな可愛いもんだろぉが。お前はもう子供じゃねーだろ。」
「子供じゃないから可愛くないのか……、……っ!」
このフレーズ。……まさか、メリクル。
「メリクルって、まさか……。ショタコンだったの……ぼぐぁ!」
言い終える前にチーズを口に突っ込まれた。
掌大よりちょっと大きいサイズなのに、そのまんまで。
「だ・ま・れぇ……っ!」
「ぼごーっ、ぼごーっ!」
この人、グイグイ押し込んで来る~。
「……いいか? 二度と言うなよ? 分かったら一回だけ頷け。」
コックリするオレ。
やっとメリクルは手を離してくれた。
オレの顔、下半分がベトベトだ。シロップが服にボタボタ垂れてる。
「これで拭いてください。」
オレ達の遣り取りが一段落したのを確認して、エステードさんが濡れタオルを渡してくれた。
色気は無くても気が利くエステードさん。オレが顔を拭いてる間に、服に着いた分を擦ってくれてる……んだと思う。たぶん。
角度的にちょうどバスローブの中が見えそうだったから、途中からオレは目を瞑って顔を拭いた。
ここから更にメリクルを怒らせるとか、勘弁して欲しいからな。
「じゃあオレ、お腹空いたからそろそろ帰るけどさ。」
エステードさんの胸や太腿を覗かないよう、視線を逸らして立ち上がるオレ。
「帰る前に一個。一個だけ教えてくれ。」
「教えたら帰れよ?」
「帰る、帰る。メリクルってなんで隣の部屋から来たんだ?」
「………。」
「変な音がするまでは、人の気配はしてなかったぞ? ずっと気配を消してたのか?」
「……知りたいか? じゃあ今すぐ、自分の靴を持って来い。」
まさか隣の部屋から出てけ、ってツモリじゃないよな?
意味が分かんないけど、取り敢えず持って来る素直なオレ。
エステードさんが止めたそうな様子だったけど、その理由を聞く前に、オレはメリクルに襟首を掴まれて、隣室へと引きずり込まれた。
予想通り、隣は寝室だった。
ただ、部屋の隅っこに、なんでか薄くて大きな石板チックな物が敷いてある。
「メリクル? 本気ですか? せめて説明くらいはしますよね?」
「……じゃあな、イグゥ。」
エステードさんの声を無視してメリクルは、石板の方へとオレを突き放した。
咄嗟にメリクルを掴もうと伸ばした手を弾かれる。
石板を踏んだ瞬間、メリクルが何かのスイッチを入れた感じがして。
心なしか身体が浮く。
どっかに吸い込まれるような感覚がするのと同時に、眩暈がした。
周りの景色が歪みながら足元に飛んでった。
その部屋でオレが最後に見たのは。
メリクルがベッドに押し倒したエステードさんのバスローブを、思いっきり捲る光景だった。
本当に遠慮なく捲ったもんだから、バスローブの中……エステードさんの下半身が丸見えだった。って話を、オレは墓場まで持ってくツモリだ。
歪んだ景色がちゃんとした形になって、眩暈が治まった頃。
オレがいたのは厳かな感じの部屋だった。
「話は終わったな? そろそろ帰れ。」
大きなため息と共に。たぶん弟の愚痴を零そうとしたエステードさん。
それを遮ったメリクルは台詞以上に表情が、出てけって言ってる。
「え~? メリクル、久し振りに会ったのにそれか?」
メリクルとしては早くエステードさんと二人きりになりたいんだろう。
その気持ちは分かる。
それにエステードさんは今日、深夜番だ。
いつ頃かは分かんないけど仮眠を取るって考えたら、確かにあんまり長居も良くない。……けど。
さっき来たばっかりだし。そもそもオツマミ一口も食べてないっ。
その前にメリクルが来たからだ。怪し過ぎる感じで。隣の部屋から。
「も~ちょっと話そうよ。せっかくオツマミも出して貰ってるんだから。」
「お前と話なんか無いっつったろ。」
「じゃあいーよ、メリクルは黙ってて。オレはエステードさんと話しながら食べるから。言っとくけど、メリクルの所為で食べれなかったんだからな。……オレ、お腹空いてたのに。」
スネた調子で言って、オレは輪切り渦巻き型のパイに手を伸ばした。
実は内心、本当にちょっとスネてる。
幾らオレが邪魔くさいからって、そんなに邪険にしなくたっていいじゃん。
四年振りくらいなのに、会えたのが嬉しかったのってオレだけ?
子供じゃないんだって言われたらそれまでだけど、オレは……嬉しかったのに。
「なぁメリクル。……オレ、可愛くなくなったか?」
「ぶぅ、っ……!」
昔はあんなに可愛がってくれてたのに。卒業したらそれもナシなのか。
そんな気持ちで言ったらメリクルが珈琲紅茶を吹き出した。
その後、豪快にむせる背中を、エステードさんが機械人形みたいな動きで容赦なく叩いた。
メリクルはどうにか復活したっぽい。
「あのなぁ……いいか、イグゥ? タチのお前が可愛いとか、ねーから。お前の事を可愛いって言うのは、お前のちんぽ狙いのネコだけだっ。」
「がびーっ! なんか、なんかよく分かんないけど酷い! メリクルだって昔、可愛いって言ってくれてたじゃんか! 嘘だったのかっ?」
「昔の事は忘れろっ。大体、子供の頃はみんな可愛いもんだろぉが。お前はもう子供じゃねーだろ。」
「子供じゃないから可愛くないのか……、……っ!」
このフレーズ。……まさか、メリクル。
「メリクルって、まさか……。ショタコンだったの……ぼぐぁ!」
言い終える前にチーズを口に突っ込まれた。
掌大よりちょっと大きいサイズなのに、そのまんまで。
「だ・ま・れぇ……っ!」
「ぼごーっ、ぼごーっ!」
この人、グイグイ押し込んで来る~。
「……いいか? 二度と言うなよ? 分かったら一回だけ頷け。」
コックリするオレ。
やっとメリクルは手を離してくれた。
オレの顔、下半分がベトベトだ。シロップが服にボタボタ垂れてる。
「これで拭いてください。」
オレ達の遣り取りが一段落したのを確認して、エステードさんが濡れタオルを渡してくれた。
色気は無くても気が利くエステードさん。オレが顔を拭いてる間に、服に着いた分を擦ってくれてる……んだと思う。たぶん。
角度的にちょうどバスローブの中が見えそうだったから、途中からオレは目を瞑って顔を拭いた。
ここから更にメリクルを怒らせるとか、勘弁して欲しいからな。
「じゃあオレ、お腹空いたからそろそろ帰るけどさ。」
エステードさんの胸や太腿を覗かないよう、視線を逸らして立ち上がるオレ。
「帰る前に一個。一個だけ教えてくれ。」
「教えたら帰れよ?」
「帰る、帰る。メリクルってなんで隣の部屋から来たんだ?」
「………。」
「変な音がするまでは、人の気配はしてなかったぞ? ずっと気配を消してたのか?」
「……知りたいか? じゃあ今すぐ、自分の靴を持って来い。」
まさか隣の部屋から出てけ、ってツモリじゃないよな?
意味が分かんないけど、取り敢えず持って来る素直なオレ。
エステードさんが止めたそうな様子だったけど、その理由を聞く前に、オレはメリクルに襟首を掴まれて、隣室へと引きずり込まれた。
予想通り、隣は寝室だった。
ただ、部屋の隅っこに、なんでか薄くて大きな石板チックな物が敷いてある。
「メリクル? 本気ですか? せめて説明くらいはしますよね?」
「……じゃあな、イグゥ。」
エステードさんの声を無視してメリクルは、石板の方へとオレを突き放した。
咄嗟にメリクルを掴もうと伸ばした手を弾かれる。
石板を踏んだ瞬間、メリクルが何かのスイッチを入れた感じがして。
心なしか身体が浮く。
どっかに吸い込まれるような感覚がするのと同時に、眩暈がした。
周りの景色が歪みながら足元に飛んでった。
その部屋でオレが最後に見たのは。
メリクルがベッドに押し倒したエステードさんのバスローブを、思いっきり捲る光景だった。
本当に遠慮なく捲ったもんだから、バスローブの中……エステードさんの下半身が丸見えだった。って話を、オレは墓場まで持ってくツモリだ。
歪んだ景色がちゃんとした形になって、眩暈が治まった頃。
オレがいたのは厳かな感じの部屋だった。
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