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第三章 ~改めてゲームを見守ろうとしてから自分の名前を思い出すまで~
オレの虚勢とオネェの癒し
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この世界じゃ、ハーレムで生まれた以外の子供は普通、養育所で育つ。
成長してく子供は、例えば貴族や金持ちに跡取りとして、例えば少し余裕のある夫夫(ふうふ)に大事な家族として……引き取られるか、成人して卒業するまでの間に、養育所で色々と教えて貰う。
読み書き、計算、野草の中から毒と薬と食べられる物を見分ける方法、炊事、洗濯、掃除、裁縫、物作り、乗馬、馬車を操る方法、狩りの方法、弓矢や罠の取扱い方、外で寝なきゃいけない場合にどうしたらいいか、テーブルマナーに性教育……とか。
他の養育所がどうかは知らないけど、オレの居たとこはそうだった。
特に真剣に教えられたのが。……人に襲われたら、どうしたらいいか、だ。
オレが教わり出したのは十二歳くらいだった気がする。ここ最近は十歳の子にも教えてたな。
戦う方法じゃなくて、逃げる為だったり、生きる為だったりの方法を。
年齢が上がるにつれて。
自分を守る為の護身術、同行者も守る為の護身術……って、一人一人の修得具合や適性やらで、内容の難易度も上がる。
扱う物も、素手、短剣術、剣術、槍術……って変わってく。
オレは、武器を持ったセンセイ相手に抵抗する訓練もあって……どんな地獄だよって当時は思ったさ。
今回は山賊みたいに大人数じゃなかったし、たまたま一人ずつ向かって来てくれてたし、オレを殺してやるって程の殺気が相手には無かったし。だから、オレ一人でも対応出来たんだ。
ヘタしたらこんなんじゃ済まなかったかも知れない。
オレも相手も酷いケガをするような、もっと残酷な戦いに発展してたかも知れない。
実際に誰か人を殴ったのも、その腕をへし折りそうな勢いで押さえ付けたのも、オレは今日が初めてだった。
まだ腕に重たさが残ってるみたいで、掌が熱いような気がしてる。
「二人とも……有難う。オネェさん、大丈夫?」
リオは、地面にヘタり込んだオネェが立ち上がれるよう、手を貸そうとしてた。
前に見たときはワンサイドに纏めてた髪が乱れて、顔に掛かっちゃってる。
凄くリッカに似てるんだけど、違うんだよな。
「えぇ、どうにか……。まだドキドキしてるわ。しゃしゃり出たくせに、アタシったら情けないわねン。」
答えるオネェはまだ動きがぎこちない。
リオに身体を支えられたオネェは、立ち上がる前の中途半端な状態で、片手をオレに差し出した。
二人のとこに駆け寄れず、固まっちゃってたオレに向かって。
「ねぇ? ……手を。貸して貰える?」
「あ。あぁ……もちろん。」
呼び寄せられて、ようやくオレの身体が動いてくれた。
リオと一緒に、オネェを立ち上がらせる。
オネェが掴まったオレの手は、そのままオネェの両手に優しく包まれた。
「……手。震えてるわよ。」
「あっ……。」
バレちゃった……。
凄い恥ずかしい。オレ、だいぶカッコ付けてたから。
何だか居た堪れない気分になるオレを、元気付けるみたいに。
オネェはオレの手をギュッてした。
「アナタが、天守さまみたいな超人じゃなくて。ふふっ、ちょっと安心したわ……。普通の人なのに、庇ってくれたのね……。」
オレの手を見つめるオネェの声がまるで、頑張った小さな子を褒めるみたいだ。
「助けてくれて、有難うね。」
「……うん。」
オネェが鮮やかに微笑んだ。
それを見ただけで……良かった。って、そう思えた。恥ずかしいけど。
成長してく子供は、例えば貴族や金持ちに跡取りとして、例えば少し余裕のある夫夫(ふうふ)に大事な家族として……引き取られるか、成人して卒業するまでの間に、養育所で色々と教えて貰う。
読み書き、計算、野草の中から毒と薬と食べられる物を見分ける方法、炊事、洗濯、掃除、裁縫、物作り、乗馬、馬車を操る方法、狩りの方法、弓矢や罠の取扱い方、外で寝なきゃいけない場合にどうしたらいいか、テーブルマナーに性教育……とか。
他の養育所がどうかは知らないけど、オレの居たとこはそうだった。
特に真剣に教えられたのが。……人に襲われたら、どうしたらいいか、だ。
オレが教わり出したのは十二歳くらいだった気がする。ここ最近は十歳の子にも教えてたな。
戦う方法じゃなくて、逃げる為だったり、生きる為だったりの方法を。
年齢が上がるにつれて。
自分を守る為の護身術、同行者も守る為の護身術……って、一人一人の修得具合や適性やらで、内容の難易度も上がる。
扱う物も、素手、短剣術、剣術、槍術……って変わってく。
オレは、武器を持ったセンセイ相手に抵抗する訓練もあって……どんな地獄だよって当時は思ったさ。
今回は山賊みたいに大人数じゃなかったし、たまたま一人ずつ向かって来てくれてたし、オレを殺してやるって程の殺気が相手には無かったし。だから、オレ一人でも対応出来たんだ。
ヘタしたらこんなんじゃ済まなかったかも知れない。
オレも相手も酷いケガをするような、もっと残酷な戦いに発展してたかも知れない。
実際に誰か人を殴ったのも、その腕をへし折りそうな勢いで押さえ付けたのも、オレは今日が初めてだった。
まだ腕に重たさが残ってるみたいで、掌が熱いような気がしてる。
「二人とも……有難う。オネェさん、大丈夫?」
リオは、地面にヘタり込んだオネェが立ち上がれるよう、手を貸そうとしてた。
前に見たときはワンサイドに纏めてた髪が乱れて、顔に掛かっちゃってる。
凄くリッカに似てるんだけど、違うんだよな。
「えぇ、どうにか……。まだドキドキしてるわ。しゃしゃり出たくせに、アタシったら情けないわねン。」
答えるオネェはまだ動きがぎこちない。
リオに身体を支えられたオネェは、立ち上がる前の中途半端な状態で、片手をオレに差し出した。
二人のとこに駆け寄れず、固まっちゃってたオレに向かって。
「ねぇ? ……手を。貸して貰える?」
「あ。あぁ……もちろん。」
呼び寄せられて、ようやくオレの身体が動いてくれた。
リオと一緒に、オネェを立ち上がらせる。
オネェが掴まったオレの手は、そのままオネェの両手に優しく包まれた。
「……手。震えてるわよ。」
「あっ……。」
バレちゃった……。
凄い恥ずかしい。オレ、だいぶカッコ付けてたから。
何だか居た堪れない気分になるオレを、元気付けるみたいに。
オネェはオレの手をギュッてした。
「アナタが、天守さまみたいな超人じゃなくて。ふふっ、ちょっと安心したわ……。普通の人なのに、庇ってくれたのね……。」
オレの手を見つめるオネェの声がまるで、頑張った小さな子を褒めるみたいだ。
「助けてくれて、有難うね。」
「……うん。」
オネェが鮮やかに微笑んだ。
それを見ただけで……良かった。って、そう思えた。恥ずかしいけど。
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