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第三章 ~改めてゲームを見守ろうとしてから自分の名前を思い出すまで~

繁華街を通るとこんな感じになる

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連れて来た男がオレ……って理由でフィロウを叱るエステードさん。
叱られてるフィロウは、甘いイケメンフェイスの口を尖らせた。

「そ、そんなんじゃないよ……。会ったばっかりなんだ。」
「でも好きなタイプだから、連れて来たんでしょう?」

それを見守ってるオレは、どんなカオしたらいいんだろ。
前にも会ってるんだけど、覚えてないんだろな。

……挨拶して帰るタイミング逃したなぁ。


「すっ、好きって、別に。」
「じゃあ、嫌いですか?」
「やっ、き、嫌いって……そんな。」

これ、ツラいなぁ~。
何がツラいって、フィロウが申し訳なさそうにオレを見るのがなぁ。

フィロウは瞳孔に、天守さまのシルシがある。
その瞳を向けられて、そんな表情を見せられたらそりゃ……ハーレム入りは絶望的だって確定だろ。
ゲームのライバルキャラがエステードさんだったら、そっちのハーレム入りも無理だしさ。
いや、もう知ってたよ、知ってたけどな。


「き……嫌いじゃないよ。嫌いじゃ、ない……けど……。」

言葉を区切ったフィロウが、オレの顔を見て、だけどシッカリと言う。

「無理。」


うっわぁ~。なんかすっごい、グサッて来たぞ。


オレのこと…… スキ?  キライ?  スキ?  キライ?
嫌いじゃな、い、け、ど、生理的に無理! 

……ってことか!



「あのぉ~。」

魂が半分くらい出ちゃったオレは、やっとエステードさんに声を掛けれた。

「オレ、帰ります。遅くなって、ルサーに心配かけてもナンだから。」

連れ込んだ男が家に入る前に帰っちゃったら、フィロウが余計に怒られるのかな~って、ちょっと思ったけど。
手短に挨拶して、オレは来た道を戻った。






ライバルの豪邸からルサーの家まで、来るときにも思ったけど、結構遠い。
しかもオレは、ちょっとだけ遠回りになるけど、酒場通りや娼館のある繁華街を通る気でいたから。

最短距離の道だと完全に住宅街だから、道も細めだし、夜はかなり暗いんだよ。日本と違ってコンビニも無いしさ。
住宅地の暗がりに怪しい男がいる、って思われるのは困るからな。


その点、この世界の娼館とかは、お店の装飾自体が結構賑やかだ。
賑やかで……うん、賑やかなのはいいんだけど……。


「ねぇ、オニイサ~ン。……あんた、タチでしょ。」
「娼館に行くぐらいなら、今から俺達とどう?」
「そーそー。幾ら高級娼夫だってさ、孔なんかどれでも同じだってば。」

ちょっと信じられないんだけど、オレ、声掛けられてる。


男三人……えぇとたぶん、ネコなんだろな。
よくオレに声掛ける気になったなぁ……あ、そうか。娼館の近くじゃん、ここ。
こんなぼんやりした顔だから、ネコじゃないだろって思ったのか。


「あー、ごめん。オレ、ちょっと…」
「そんな事言ったって、溜まってるんでしょ?」
「お金の節約にもなるんだ、いいだろう?」
「すっごく気持ちいいフェラするよ?」

そんなエッチな誘いとか、日本人な頃にも無かったぞ!


二十代半ばくらいかな。三人とも若くて、それぞれ割と派手目な外見。
そんな人達からの誘いは凄く嬉しいんだけど……。

惜しむらくは、全員が、かな~り酔っ払ってるんだ。
足取りもフラフラ、首筋まで赤くなってて、ちょっと舌足らずな甘え声で絡んで来る。


は~いはい、これ、本気にしちゃダメな種類だ。


酔っ払ってないオレは、どうやって断ろうかな~って考え……



あ、れ……?




娼館から出て来た姿を見て、離れてるのに、オレは思わず声を掛けた。


「ルサーっ!」
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