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第二章 ~ゲームの邪魔はしないから、せめてちょっとだけ~
年下相手に●●●3 $ルサー$
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* * * 時間は、町中でオレがエステードに見付かる日まで戻る * * *
俺が次に自分の噂を知ったのは、その内容は『ルサーが若いオトコを囲ってる』から『フラれた』に変わってからだった。
「最近~ん、どうなのぉ、ルサー?」
詰め所内で書類なんぞ眺めてた俺に、隣の席から年下の同僚が声を掛けて来た。
何の事だか分からねぇ。……と言いてぇとこだが。
奴が誰との事を言ってるのか、聞き返した方が面倒そうだ。
「特に面白い事は無ェぞ、生憎だったな。」
「んならい~ぃんだけどぉ。」
同僚のカシュが、頬杖を付いて俺を覗き込む。
今日は有難い事に至極平和で、兵士連中はのどかなもんだ。
荒事以外の日常業務しか無ぇから、この程度のヒマ潰しは許容範囲内だろ。
「実はさぁ。最近ルサーが、囲ってる若いオトコにフラれたって噂、聞いたよ?」
「はあぁっ? ナンだその、とぼけた噂ァっ!」
「最近ん~、詰め所まで迎えに来てない、ってぇ……。」
「囲ってねぇし、フラれてねぇ。そもそもアイツが詰め所に来てたのは、ウチの鍵が一本しか無かったからだ。不便だから、こないだ合鍵を渡しといた。だからアイツが詰め所に来る理由は無ェ。」
それを聞いたカシュが、ヒューッと口笛を吹く。
他の席にいる奴から「うるせぇぞ」と文句を言われたが、カシュは気にする風も無くニヤついた。
「へー、合鍵渡したんだー。」
「妙な棒読みヤメロっつの。」
「ルサー、明日お休みじゃなぁ~い? そろそろぉ、あのお店に行く頃かなあって、思ったんだけどぉ~。……もう必要無い、かなぁ?」
カシュの言う『あのお店』ってのは、娼館だ。
金を払って抱いて貰う店。
金を払って抱く店もあるようだが、そっち側の店は少ねぇ。
この世界はネコが多いからな。
タチが二割、ネコが七割。両方出来る奴が一割ぐらいいるらしい。
ハーレムには大勢のネコが必要だって言うから、これで丁度いい人数比のようだ。
……いや、それとも逆か?
ネコが多いから、一人のタチが沢山囲ってやらなきゃならねぇのか。
まぁとにかく。
そもそも天守の人数が少なすぎるから、ハーレムに入れるネコも僅かだ。
だから巷にいるあぶれたネコの相手をしてやる店は、そりゃあ賑わうってもんでな。
天守になれねぇタチは、……金持ちや貴族、変人に生まれた奴を除いて、結構な人数が娼館で男娼になる。
タチは基本的に不細工がいねぇから、誰でも稼げるからだ。
タチと違って、ネコは……オトコを知ったネコは……定期的に抱いて貰わねぇとダメだからな。
身体にある『割れた実』が疼いたり、痛んだりすんだよ。
だから金を払って抱いて貰う。
ひと月に一度か、二~三か月に一度か、頻度は人によりけりだが。
実は俺も、もうそろそろだ。
カシュが言うのはつまり、俺はアイツに抱いて貰ってるから店に行く必要が無いだろ……って意味だ。
ハッ、馬鹿馬鹿しい。
「……アイツは、そんなんじゃねぇよ。」
言い返す前に一瞬、俺は言葉に詰まった。
「えぇ? じゃ~あ、どういう…」
「ルサーさんっ。」
俺に聞き返そうとしたカシュの声を遮って、急に現れたのはエステードだった。
なんでか知らねぇが、泣きそうなツラになってる。
「おい? ど~した?」
「今日はもう、上がっていいですよ。ヒマですからっ。」
意味が分からん。
俺は明日、休みだぞ。
「おい、俺は明日…」
「休みなのは知ってます。いいですから。彼を元気付けてやりなさいっ。」
ますます意味不明だろ。
すっかり結論を決めてるらしいエステードが、俺の手から書類を奪い取る。
「あっ……おい。」
「この書類は私が片付けておきますから。」
「エステード。分かるように話せ。なァ?」
さっぱり理解出来ねぇ俺に、エステードは溜息を吐く。
そしてエステードは話し出した。
アイツには、誰か大切な人がいるようだ、って話を。
どうやら今は互いに離れてるらしく、アイツはその人が幸せかどうかを気にしてるんだが、その姿を一目見るだけでイイんだとさ。
大事な人、ねぇ……。
どうやらビルメリオって奴が見付かったようだな。
……だとしたら。
アイツが出てくのも時間の問題、か……。
* * * * * *
エステードに追い出されて詰め所を出た俺は、聞いてた通り、果物屋に行った。
正直ちょっと気分が悪い。
なんでかは……知るか。
果物屋のルベロとネモーリは、俺のちょっとした知り合いだ。
店に行くと、ちょうどアイツがルベロと揉めてる。
イライラした気分をどうにか落ち着けて、その場を取りなしてやる気だったのを。
ルベロが……馬鹿言いやがって……!
何が「騙されてないか?」だ!
店の脇でルベロと揉める。
俺の事を心配してくれてんのは分かるが、余計な世話すんじゃねぇ。
アイツと……噂になってるような、んな事があるわけ無ぇだろ。
年の差を考えろってんだ。
「とにかく。ルベロが思ってるようなコトは無ぇ。」
どうせアイツはもうすぐ、いなくなる。
これで話を終わらせる気でいた俺を……。
誰かが、後ろから抱き締めて来た。
俺が次に自分の噂を知ったのは、その内容は『ルサーが若いオトコを囲ってる』から『フラれた』に変わってからだった。
「最近~ん、どうなのぉ、ルサー?」
詰め所内で書類なんぞ眺めてた俺に、隣の席から年下の同僚が声を掛けて来た。
何の事だか分からねぇ。……と言いてぇとこだが。
奴が誰との事を言ってるのか、聞き返した方が面倒そうだ。
「特に面白い事は無ェぞ、生憎だったな。」
「んならい~ぃんだけどぉ。」
同僚のカシュが、頬杖を付いて俺を覗き込む。
今日は有難い事に至極平和で、兵士連中はのどかなもんだ。
荒事以外の日常業務しか無ぇから、この程度のヒマ潰しは許容範囲内だろ。
「実はさぁ。最近ルサーが、囲ってる若いオトコにフラれたって噂、聞いたよ?」
「はあぁっ? ナンだその、とぼけた噂ァっ!」
「最近ん~、詰め所まで迎えに来てない、ってぇ……。」
「囲ってねぇし、フラれてねぇ。そもそもアイツが詰め所に来てたのは、ウチの鍵が一本しか無かったからだ。不便だから、こないだ合鍵を渡しといた。だからアイツが詰め所に来る理由は無ェ。」
それを聞いたカシュが、ヒューッと口笛を吹く。
他の席にいる奴から「うるせぇぞ」と文句を言われたが、カシュは気にする風も無くニヤついた。
「へー、合鍵渡したんだー。」
「妙な棒読みヤメロっつの。」
「ルサー、明日お休みじゃなぁ~い? そろそろぉ、あのお店に行く頃かなあって、思ったんだけどぉ~。……もう必要無い、かなぁ?」
カシュの言う『あのお店』ってのは、娼館だ。
金を払って抱いて貰う店。
金を払って抱く店もあるようだが、そっち側の店は少ねぇ。
この世界はネコが多いからな。
タチが二割、ネコが七割。両方出来る奴が一割ぐらいいるらしい。
ハーレムには大勢のネコが必要だって言うから、これで丁度いい人数比のようだ。
……いや、それとも逆か?
ネコが多いから、一人のタチが沢山囲ってやらなきゃならねぇのか。
まぁとにかく。
そもそも天守の人数が少なすぎるから、ハーレムに入れるネコも僅かだ。
だから巷にいるあぶれたネコの相手をしてやる店は、そりゃあ賑わうってもんでな。
天守になれねぇタチは、……金持ちや貴族、変人に生まれた奴を除いて、結構な人数が娼館で男娼になる。
タチは基本的に不細工がいねぇから、誰でも稼げるからだ。
タチと違って、ネコは……オトコを知ったネコは……定期的に抱いて貰わねぇとダメだからな。
身体にある『割れた実』が疼いたり、痛んだりすんだよ。
だから金を払って抱いて貰う。
ひと月に一度か、二~三か月に一度か、頻度は人によりけりだが。
実は俺も、もうそろそろだ。
カシュが言うのはつまり、俺はアイツに抱いて貰ってるから店に行く必要が無いだろ……って意味だ。
ハッ、馬鹿馬鹿しい。
「……アイツは、そんなんじゃねぇよ。」
言い返す前に一瞬、俺は言葉に詰まった。
「えぇ? じゃ~あ、どういう…」
「ルサーさんっ。」
俺に聞き返そうとしたカシュの声を遮って、急に現れたのはエステードだった。
なんでか知らねぇが、泣きそうなツラになってる。
「おい? ど~した?」
「今日はもう、上がっていいですよ。ヒマですからっ。」
意味が分からん。
俺は明日、休みだぞ。
「おい、俺は明日…」
「休みなのは知ってます。いいですから。彼を元気付けてやりなさいっ。」
ますます意味不明だろ。
すっかり結論を決めてるらしいエステードが、俺の手から書類を奪い取る。
「あっ……おい。」
「この書類は私が片付けておきますから。」
「エステード。分かるように話せ。なァ?」
さっぱり理解出来ねぇ俺に、エステードは溜息を吐く。
そしてエステードは話し出した。
アイツには、誰か大切な人がいるようだ、って話を。
どうやら今は互いに離れてるらしく、アイツはその人が幸せかどうかを気にしてるんだが、その姿を一目見るだけでイイんだとさ。
大事な人、ねぇ……。
どうやらビルメリオって奴が見付かったようだな。
……だとしたら。
アイツが出てくのも時間の問題、か……。
* * * * * *
エステードに追い出されて詰め所を出た俺は、聞いてた通り、果物屋に行った。
正直ちょっと気分が悪い。
なんでかは……知るか。
果物屋のルベロとネモーリは、俺のちょっとした知り合いだ。
店に行くと、ちょうどアイツがルベロと揉めてる。
イライラした気分をどうにか落ち着けて、その場を取りなしてやる気だったのを。
ルベロが……馬鹿言いやがって……!
何が「騙されてないか?」だ!
店の脇でルベロと揉める。
俺の事を心配してくれてんのは分かるが、余計な世話すんじゃねぇ。
アイツと……噂になってるような、んな事があるわけ無ぇだろ。
年の差を考えろってんだ。
「とにかく。ルベロが思ってるようなコトは無ぇ。」
どうせアイツはもうすぐ、いなくなる。
これで話を終わらせる気でいた俺を……。
誰かが、後ろから抱き締めて来た。
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