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第一章 ~ゲームの流れをおさらい&自分がモブだと認識する~

お人好しなルサーにマジ感謝

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「じゃ、オレの名前、ノAにするっ。」

適当な名前を付けたオレ。必死だ。

「自分の名前、思い出したのか?」
「いや? 違うけど……ルサーが、名前が無いとイヤって言うから。」

オレが自分の名前を思い出したんじゃないって分かって、ルサーは渋い顔をした。

「キミはもう少し自分を大事にした方がいいですね。」

エステードさんも厳しい顔だ。
結構この人、名前ってもんを大事にしてるのかもな。


それはともかく。
オレはルサーに狙いを決めて、ひたすら拝み倒す。

「なぁ頼むよ、お願いっ。なんだったら、名前はルサーの好きな呼び方でいいから。オレ、帰る場所への帰り方が分かんないんだ。」
「まぁそりゃ、可哀想だとは思うがよ……。」
「オレ、養育所に住んでて、そこで新米センセイやってて、今年になって成人してて……えっと。」

ルサーにオレのことを知って貰うために、自己紹介を始めるオレ。
だけど、自分にはこれと言った長所が無いって気付いた。

小さい頃のオレなら、自信持って「オレ可愛い」って言ったんだろなぁ。

ちょっと考えた結果が。

「そこそこ明るいのが取り柄なんだ。」
「……地味だな。」
「……まぁ、な。」

オレとルサーは、微妙な笑顔を向け合った。


「じゃあ、ルサーさん。報告書の方、よろしくお願いしますね。」

エステードさん、離脱を試みる、の巻。

「おい、エステード。俺に、コイツの面倒見ろってのか?」
「私は兵舎住みなので。……どうせなら一緒に寝て、朝、起こして貰うといいですよ。」
「コラっ! ひ……一回り以上、年下だぞ!」
「なら、子供だと思ってみては? 少しの間なら世話も出来るでしょう。」

立ち去るエステードさんの背中を睨んだルサーが、オレを見る。
唸りながら髪をクシャクシャにして。



「ったく……しょ~がねぇ、な。」

そして、ルサーは諦めた。










その夜、ルサーの家で。オレは夢を見た。

日本人のオレが、BLゲームをやってる。
ゲームのタイトルは、ハーレムワンダーパラダイス。


画面の中で、ライバルキャラと、そいつのハーレム妻なネームドキャラが並んでる。

「ヤベェ、もうバレた?」

そうだ、この画面は。
オレが他ハーレムの妻に手を出して、それがそこの天守にバレて、抗議されるときに出るやつだ。
向こうには、オレが誰に手を出したかもバレてて、言い逃れ出来ない状況。
後はもう慰謝料を決める段階だ。

しかもネームドの台詞で「やはり、このハーレムを出たくない。」とか言われてる。
凄いダサい。


「あ~ぁ、しばらくはモブ妻でも漁るかぁ。」

慰謝料を決める交渉……連打ゲーをしながら、オレが呟く。
連打には自信あるけど、せっかく手を出した相手がコッチに来ないのが分かってて、ちょっとテンションが……いや、かなり下がってる。

「そう言えば……モブ妻って、何人いるんだっけ?」

タブレットを操作して攻略ページを開くオレ。
オレ以上の廃人が運営してるサイトで、地味~な情報が詰まってるトコだ。


モブの名前は、町の頭文字+アルファベット。
サイトで確認されてる限りじゃ、一番最後のアルファベットは、XYZだった。

一人目がA、二十六人目がZ、AAは二十七人目で、AZは五十二人目だ。
BAが五十三人目って感じで進んでって、ZZは六百七十六人目だろ……。
え? じゃあ、XYZって何人目だ?


「ん~、まぁ、沢山いるってことだな。」


いつでも使い捨て出来るモブ妻。

沢山いるのが分かって、ゲーマーなオレは一安心してた。
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