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強面の三十路兵士団長 × 若きエリート騎士団副長
3.兵士団長 × 騎士団副長(続)
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ギシリ、と鳴る音を聞きながら。
こんな事になるならもう少し大きなベッドを買えば良かった……と、モナイは現実逃避にも似た事を考えていた。
「なぁ、ヨーナ副長?」
ナンディの声が予想していたよりも近い。
ビクリと肩を震わせたモナイだが、ナンディから言い難そうな気配を感じて枕から顔を外す。
この状況で、ナンディが何を躊躇うのか。
思い当たるのは、彼が『そもそもこの行為自体に戸惑っている』だろうという事だ。
それは当たり前だとモナイは思う。
大して親しくもない、互いの就いている役職から、辛うじて顔と名前とが一致する程度の知り合いだったモナイに、尻穴を弄る事を頼まれたのだから。
だが、だからと言って今更「やっぱり止めよう」と言われても困ってしまう。
「どうした……、な……何か、問題が…」
「もうちょっと足、広げられねぇか?」
恐る恐る尋ねたモナイに対して、ナンディの言葉はシンプルだ。
しかし、告げられた内容に、モナイは再び肩を震わせた。
今のモナイの姿勢はほぼうつ伏せに近い斜め向きで、枕を抱え、揃えた両足は付け根と膝の位置で軽く曲げている状態だ。
ナンディがモナイの尻肉を手で広げれば、容易に尻穴が晒せるのだから、足を開かねばならない理由がモナイには思い当たらない。
「何故だ……? べ、別に、横からでも…」
「横からじゃ見辛いんだ。触るだけならともかくよ、……何を入れるにしたって手探りはマズい。」
「そっ……。そう、か……分かった。」
とにかく入れれば良いだろうと軽く考えていた事に、モナイは気付かされる。
ローションをじっくり温めてくれた事と言い。自分よりもナンディの方が、自分の症状に対して真剣に向き合ってくれているように感じた。
忙しいであろう兵士団長の、貴重なプライベート時間を貰っている事は間違いない。
それに元はと言えば自分から頼んだ事なのだ。
手間を掛けさせているのだから、もう泣き言を洩らすのも考えるのも止めよう。
心の中でそう決めて、モナイはおっかなびっくり身体を動かす。
ナンディから見え易いように、うつ伏せで両足を開き、膝を立てて、尻を上げた。
大きな枕に上体を埋め、片腕を自分の尻へと伸ばし。その場所を知らせるべく、孔の襞を指先で辿って見せる。
泣き言は振り払ったが、残念ながら羞恥心だけは消えず。
モナイにはナンディの反応を確認する余裕は無かった。
「こ、これで……大丈夫か?」
「……あ、あぁ。大丈夫、だ……。」
恥ずかしがりながら自分の尻を広げて見せるモナイは、通常時の彼を……整った容貌に酷薄な笑みを貼り付けた姿を知らない者が見ても、劣情を掻き立てられる姿態をしていた。
思わずナンディが生唾を飲んだ事に、モナイは気が付いていない。
眼前に広がる絶景を脳膜に焼き付けようと、ナンディの瞳孔はこれでもかと言うぐらいに開き切っていた。
誰もが知っている、あの。
第二騎士団のエリート副長が、こんな。
夜の蝶でも滅多にやらないような淫らな姿勢を取って、秘められた場所を晒している。
肌を薄く桃色に染め上げながら、繊細な箇所へと自分で指を這わせ、そこを弄って欲しいと強請っている。
しかも、あの。
鉄の人形と言われるぐらい、整っているクセに高慢な表情を殆ど崩さない顔が。
足を広げるように言われただけで、恥ずかしがるような、狼狽えるような様子で視線を泳がせていた。
あん時、変な警戒しねぇで付いてって良かった。
と、ナンディは。これまでの人生の中で一番、今日の自分を褒めた。
今朝、宿舎を出てすぐの場所で。
待ち構えていたモナイから声を掛けられた。
ナンディに今夜の予定が無いかを確認し、声を潜めて「内密に頼みたい事がある」と言ったモナイは、何を考えているか分からない無表情だった。
それを聞いた時のナンディは、やっぱりそう来たか……と、内心で呟いていた。
兵士団長であるナンディはモナイに『借り』があったからだ。
ナンディの部下である、兵士団のスーパールーキーの所為で。あわやモナイが大怪我を負い掛けるという事態が、直近の過去に起きていた。
もちろんモナイは無事だったし、実はスーパールーキーの動き自体は間違った事では無かったのだが、それでも第二騎士団から問題にされそうだった所を。
当の本人であるモナイの申し出により、不問として貰っていた。
――― 鉄の人形に甘っちょろい情など無い。
兵士達の見解は概ねこうだったし、ナンディも、何か思惑があるのだろうと睨んでいた。
モナイの性格が悪いというのではなく、エリート副長殿は転んでも只では起きぬと評判だったから。
いずれ今回の借りを返すよう、モナイから要求される事を覚悟していたのだ。
そして夜。
食事をご馳走になり、モナイの自室に招かれたナンディは。
モナイの口から、思いもよらぬ頼み事を聞く。
余りの衝撃でナンディは、碌に考えられないままそれに応じていた。
腰を高く上げたモナイの背後から、ナンディは足の間に場所を取る。
目の前に、弾力のありそうな尻が待ち構えていた。
さぞや面倒な事を頼まれるかと思ったら。こんな……まさかの僥倖とは、な。
……明日、死ぬんじゃないのか?
こんな事になるならもう少し大きなベッドを買えば良かった……と、モナイは現実逃避にも似た事を考えていた。
「なぁ、ヨーナ副長?」
ナンディの声が予想していたよりも近い。
ビクリと肩を震わせたモナイだが、ナンディから言い難そうな気配を感じて枕から顔を外す。
この状況で、ナンディが何を躊躇うのか。
思い当たるのは、彼が『そもそもこの行為自体に戸惑っている』だろうという事だ。
それは当たり前だとモナイは思う。
大して親しくもない、互いの就いている役職から、辛うじて顔と名前とが一致する程度の知り合いだったモナイに、尻穴を弄る事を頼まれたのだから。
だが、だからと言って今更「やっぱり止めよう」と言われても困ってしまう。
「どうした……、な……何か、問題が…」
「もうちょっと足、広げられねぇか?」
恐る恐る尋ねたモナイに対して、ナンディの言葉はシンプルだ。
しかし、告げられた内容に、モナイは再び肩を震わせた。
今のモナイの姿勢はほぼうつ伏せに近い斜め向きで、枕を抱え、揃えた両足は付け根と膝の位置で軽く曲げている状態だ。
ナンディがモナイの尻肉を手で広げれば、容易に尻穴が晒せるのだから、足を開かねばならない理由がモナイには思い当たらない。
「何故だ……? べ、別に、横からでも…」
「横からじゃ見辛いんだ。触るだけならともかくよ、……何を入れるにしたって手探りはマズい。」
「そっ……。そう、か……分かった。」
とにかく入れれば良いだろうと軽く考えていた事に、モナイは気付かされる。
ローションをじっくり温めてくれた事と言い。自分よりもナンディの方が、自分の症状に対して真剣に向き合ってくれているように感じた。
忙しいであろう兵士団長の、貴重なプライベート時間を貰っている事は間違いない。
それに元はと言えば自分から頼んだ事なのだ。
手間を掛けさせているのだから、もう泣き言を洩らすのも考えるのも止めよう。
心の中でそう決めて、モナイはおっかなびっくり身体を動かす。
ナンディから見え易いように、うつ伏せで両足を開き、膝を立てて、尻を上げた。
大きな枕に上体を埋め、片腕を自分の尻へと伸ばし。その場所を知らせるべく、孔の襞を指先で辿って見せる。
泣き言は振り払ったが、残念ながら羞恥心だけは消えず。
モナイにはナンディの反応を確認する余裕は無かった。
「こ、これで……大丈夫か?」
「……あ、あぁ。大丈夫、だ……。」
恥ずかしがりながら自分の尻を広げて見せるモナイは、通常時の彼を……整った容貌に酷薄な笑みを貼り付けた姿を知らない者が見ても、劣情を掻き立てられる姿態をしていた。
思わずナンディが生唾を飲んだ事に、モナイは気が付いていない。
眼前に広がる絶景を脳膜に焼き付けようと、ナンディの瞳孔はこれでもかと言うぐらいに開き切っていた。
誰もが知っている、あの。
第二騎士団のエリート副長が、こんな。
夜の蝶でも滅多にやらないような淫らな姿勢を取って、秘められた場所を晒している。
肌を薄く桃色に染め上げながら、繊細な箇所へと自分で指を這わせ、そこを弄って欲しいと強請っている。
しかも、あの。
鉄の人形と言われるぐらい、整っているクセに高慢な表情を殆ど崩さない顔が。
足を広げるように言われただけで、恥ずかしがるような、狼狽えるような様子で視線を泳がせていた。
あん時、変な警戒しねぇで付いてって良かった。
と、ナンディは。これまでの人生の中で一番、今日の自分を褒めた。
今朝、宿舎を出てすぐの場所で。
待ち構えていたモナイから声を掛けられた。
ナンディに今夜の予定が無いかを確認し、声を潜めて「内密に頼みたい事がある」と言ったモナイは、何を考えているか分からない無表情だった。
それを聞いた時のナンディは、やっぱりそう来たか……と、内心で呟いていた。
兵士団長であるナンディはモナイに『借り』があったからだ。
ナンディの部下である、兵士団のスーパールーキーの所為で。あわやモナイが大怪我を負い掛けるという事態が、直近の過去に起きていた。
もちろんモナイは無事だったし、実はスーパールーキーの動き自体は間違った事では無かったのだが、それでも第二騎士団から問題にされそうだった所を。
当の本人であるモナイの申し出により、不問として貰っていた。
――― 鉄の人形に甘っちょろい情など無い。
兵士達の見解は概ねこうだったし、ナンディも、何か思惑があるのだろうと睨んでいた。
モナイの性格が悪いというのではなく、エリート副長殿は転んでも只では起きぬと評判だったから。
いずれ今回の借りを返すよう、モナイから要求される事を覚悟していたのだ。
そして夜。
食事をご馳走になり、モナイの自室に招かれたナンディは。
モナイの口から、思いもよらぬ頼み事を聞く。
余りの衝撃でナンディは、碌に考えられないままそれに応じていた。
腰を高く上げたモナイの背後から、ナンディは足の間に場所を取る。
目の前に、弾力のありそうな尻が待ち構えていた。
さぞや面倒な事を頼まれるかと思ったら。こんな……まさかの僥倖とは、な。
……明日、死ぬんじゃないのか?
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