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強面の三十路兵士団長 × 若きエリート騎士団副長
2.兵士団長 × 騎士団副長(続)
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ここはモナイの自室だ。
第二騎士団の副長であるモナイには、居住空間としてそれなりに立派なものが与えられている。
モナイ一人で四部屋を使っており、ベッドのある寝室であれば、隣の住人に声や音が迷惑となる事は無いだろう。
「ま……マサラー団長。」
大きな枕から顔を上げ、モナイはおずおずとナンディに声を掛けた。
きっちりと準備をしてくれるのは有難いが、うつ伏せの裸で待ち続けるのも恥ずかしいというもの。
更にこうしている間にもモナイの尻穴は、何かが羽ばたくのではという程、ビルビルと細かく震えている。ような気がしている。
「適当な所で切り上げて、そろそろ…」
「そんなワケにも行かねぇだろう。病の処置で怪我してぇのか?」
モナイの提案をナンディはにべも無く切り捨てる。
口調は乱雑だが言っている事は正論だ。
三十代半ばという年齢で、多様な人種が混在する兵士団を纏める男は、こんな場面でも準備を適当に済ませる事を良しとはしなかった。
普段は『鉄面皮』と……時には『怒り神』と揶揄される強面が、真面目な表情でローションを温めている姿はある意味で滑稽だ。
ナンディを恐れつつも尊敬している兵士団員達にはとても見せられたものじゃない。
「なるべく……。早めに、頼む。」
しばらくナンディを待っていたモナイ。
やがて溜息を一つ吐くと、さっきまでと同じようにまた枕を抱き締めた。
病の症状を緩和する相手として、モナイがナンディを選んだのは、彼が秘密を守ってくれそうだからだ。
体格が良く、強面のナンディは同じ団の兵士達だけでなく、他の騎士団からも一目置かれている。
口調は少々乱暴になる事が多いが、団長として相応しい実力を持ち、性格も実直であるという評判だった。
また、第二騎士団と兵士団とは宿舎の場所が近い。
話をする事は無いが、食事処で時たま見掛けるナンディは、酒を飲んでいる状況でも、兵士達の輪に加わって猥談に盛り上がるような事は無いように見えた。
もちろんそれでナンディの性質を把握したとは言えないが、少なくとも、自分との事をアチコチで言いふらすような人物では無さそうだと、モナイは判断した。
同じ第二騎士団や他の騎士団に所属する騎士との間では、やはり上下関係による強制力が発生してしまう。
その為、騎士の誰かに声を掛けるという選択肢は、副長であるモナイの発想には無かった。
選んだのは自分だが、もう少し他を考えてみれば良かったかも知れない。
モナイの頭に後悔の文字が浮かんだ時。ナンディから声が掛かった。
「もういいか。……待たせたな?」
ホッとするのと同時に緊張感。
ナンディがベッドに上がる軋んだ音で、モナイは自分の身体と尻穴に力が入るのが分かった。
淡々と声を掛けたが。ナンディは滾っていた。
もしモナイが、ナンディの身体をちゃんと目で見ていたならば、彼が普通に勃起している様子に驚いただろう。
彼の心の声を文字で表すなら。
――― うわぁ……ヨーナ副長の、裸。……は、破壊力やべぇ……。
それはそうだ。
兵士達からは『鉄の人形』と揶揄される事もある、第二騎士団の副長モナイが、その美しい裸体を惜し気もなく晒してベッドに寝そべっているのだから。
ずっと大きな枕に縋って恥辱を感じていたモナイは気付いていないだけで。
実はローションを温めている間もずっと、ナンディの視線はモナイの身体に注がれていた。
騎士団の副長という肩書は飾りでなく、相応に鍛えられた筋肉を保持しながらも、しなやかで引き締まったプロポーション。見える限りでは肌に一切の傷が無いなど、騎士団に所属する身としては奇跡と言えよう。
括れた腰と、高い位置で膨らんだ尻は、お調子者の兵士達が「揉み易そうだ」と評した通り……否。それ以上。
モナイの目には、猥談で盛り上がるような事は無い、と見えていたナンディだが。
しなかったのではない。出来なかったのだ。
本当はナンディだって、輪の中に入りたかった。
平民やよそ者、変わり者だらけの兵士団にあって、「幹部は我が国の貴族で構成するべし」という規則の所為で団長に据えられた、子爵家の令息ナンディ。
兵士団内の数少ない貴族な彼は、自分の存在が若干浮いているように感じていた。
人間関係を円滑にする為にも、好きな猥談で肩書を問わず仲間達と盛り上がりたいのに。
顔が怖い・団長・貴族。
この三点セットのお陰でか。ナンディが話に参加しようとすると、せっかくの猥談の場がお開きになってしまうのだ。
だからナンディはコッソリと見守り、猥談で一緒に盛り上がった気分になっているのだった。
この男。要するにただの、ムッツリである。
第二騎士団の副長であるモナイには、居住空間としてそれなりに立派なものが与えられている。
モナイ一人で四部屋を使っており、ベッドのある寝室であれば、隣の住人に声や音が迷惑となる事は無いだろう。
「ま……マサラー団長。」
大きな枕から顔を上げ、モナイはおずおずとナンディに声を掛けた。
きっちりと準備をしてくれるのは有難いが、うつ伏せの裸で待ち続けるのも恥ずかしいというもの。
更にこうしている間にもモナイの尻穴は、何かが羽ばたくのではという程、ビルビルと細かく震えている。ような気がしている。
「適当な所で切り上げて、そろそろ…」
「そんなワケにも行かねぇだろう。病の処置で怪我してぇのか?」
モナイの提案をナンディはにべも無く切り捨てる。
口調は乱雑だが言っている事は正論だ。
三十代半ばという年齢で、多様な人種が混在する兵士団を纏める男は、こんな場面でも準備を適当に済ませる事を良しとはしなかった。
普段は『鉄面皮』と……時には『怒り神』と揶揄される強面が、真面目な表情でローションを温めている姿はある意味で滑稽だ。
ナンディを恐れつつも尊敬している兵士団員達にはとても見せられたものじゃない。
「なるべく……。早めに、頼む。」
しばらくナンディを待っていたモナイ。
やがて溜息を一つ吐くと、さっきまでと同じようにまた枕を抱き締めた。
病の症状を緩和する相手として、モナイがナンディを選んだのは、彼が秘密を守ってくれそうだからだ。
体格が良く、強面のナンディは同じ団の兵士達だけでなく、他の騎士団からも一目置かれている。
口調は少々乱暴になる事が多いが、団長として相応しい実力を持ち、性格も実直であるという評判だった。
また、第二騎士団と兵士団とは宿舎の場所が近い。
話をする事は無いが、食事処で時たま見掛けるナンディは、酒を飲んでいる状況でも、兵士達の輪に加わって猥談に盛り上がるような事は無いように見えた。
もちろんそれでナンディの性質を把握したとは言えないが、少なくとも、自分との事をアチコチで言いふらすような人物では無さそうだと、モナイは判断した。
同じ第二騎士団や他の騎士団に所属する騎士との間では、やはり上下関係による強制力が発生してしまう。
その為、騎士の誰かに声を掛けるという選択肢は、副長であるモナイの発想には無かった。
選んだのは自分だが、もう少し他を考えてみれば良かったかも知れない。
モナイの頭に後悔の文字が浮かんだ時。ナンディから声が掛かった。
「もういいか。……待たせたな?」
ホッとするのと同時に緊張感。
ナンディがベッドに上がる軋んだ音で、モナイは自分の身体と尻穴に力が入るのが分かった。
淡々と声を掛けたが。ナンディは滾っていた。
もしモナイが、ナンディの身体をちゃんと目で見ていたならば、彼が普通に勃起している様子に驚いただろう。
彼の心の声を文字で表すなら。
――― うわぁ……ヨーナ副長の、裸。……は、破壊力やべぇ……。
それはそうだ。
兵士達からは『鉄の人形』と揶揄される事もある、第二騎士団の副長モナイが、その美しい裸体を惜し気もなく晒してベッドに寝そべっているのだから。
ずっと大きな枕に縋って恥辱を感じていたモナイは気付いていないだけで。
実はローションを温めている間もずっと、ナンディの視線はモナイの身体に注がれていた。
騎士団の副長という肩書は飾りでなく、相応に鍛えられた筋肉を保持しながらも、しなやかで引き締まったプロポーション。見える限りでは肌に一切の傷が無いなど、騎士団に所属する身としては奇跡と言えよう。
括れた腰と、高い位置で膨らんだ尻は、お調子者の兵士達が「揉み易そうだ」と評した通り……否。それ以上。
モナイの目には、猥談で盛り上がるような事は無い、と見えていたナンディだが。
しなかったのではない。出来なかったのだ。
本当はナンディだって、輪の中に入りたかった。
平民やよそ者、変わり者だらけの兵士団にあって、「幹部は我が国の貴族で構成するべし」という規則の所為で団長に据えられた、子爵家の令息ナンディ。
兵士団内の数少ない貴族な彼は、自分の存在が若干浮いているように感じていた。
人間関係を円滑にする為にも、好きな猥談で肩書を問わず仲間達と盛り上がりたいのに。
顔が怖い・団長・貴族。
この三点セットのお陰でか。ナンディが話に参加しようとすると、せっかくの猥談の場がお開きになってしまうのだ。
だからナンディはコッソリと見守り、猥談で一緒に盛り上がった気分になっているのだった。
この男。要するにただの、ムッツリである。
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