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本編●主人公、外の世界に出て色々衝撃を受けたりしながら遊ぶ

ぼくはアルフォンソとの初めてを無事に終えて安心する

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二人とも達した後。
ぼくとしては内心このまま続けたい所だが。これ以上は次回以降のお楽しみとして、取っておく事にする。

まだ一回目のぼくはともかく、その前にもイッているアルフォンソは辛そうだった。アルフォンソには、身体を繋げる前に少々辛い目にも遭わせてしまったからね。
それに、受け入れる側の身体には、入れる側よりも負担が大きく掛かると聞く。

名残惜しい気持ちをぐっと我慢して、アルフォンソから身体を離した。


「んっ、……あ、っふ。」

敏感になっているアルフォンソは、ぼくが引き抜くだけでも艶っぽい吐息を漏らす。
無意識にぼくの理性を平然と殴り付けて来るんだから困ったものだよ。
それを振り切ったんだから。その時のぼくの心情を察して、ぼくの精神力を褒め称えて欲しい。


「初めてなのに少々無茶をしてしまったかな……アルフォンソ、大丈夫?」
「だ、……大丈、夫だ。」

ぼくはアルフォンソの顔の至る所……首筋や指先にも優しく口付ける。彼への労わりの気持ちを表したつもりだ。
唇で触れて軽く吸うたびに、擽ったそうな声を漏らし、そんな自分の反応にさえ困ったような表情をするアルフォンソが可愛い。


初めて同士のぼくとアルフォンソ。
その割には比較的、どうにか無事に出来たようだね。


「良かった。とても素敵だったよ、アルフォンソ……それに、可愛かった。」
「あ…あぁ……ぅん。」

歯が浮くような台詞にアルフォンソは肌をピンク色に染め、ぎこちない返答をする。
健気にもぼくから視線を離さず、じっと見つめ返してくれるのが実に意地らしい。
慣れていないのはお互い様だというのに、アルフォンソの初々しい反応でぼくは舞い上がりそうだよ。

ちなみに世野悟の記憶では、誘われた相手にこんな気障な言葉を吐いた事は無い。
付き合いだけは良くても案外、愛想は良くない男だね。


「それじゃ、アルフォンソ。そろそろ身支度をしようか。」
「ぁ、そ……そうだな。」

時計を見て気が付いたんだが。本当に、結構な時間が経過してしまっている。
回数等を考えれば、ぼくは大分もたついたようだね。
ぼくのタガが外れてしまった事が原因なんだから、これはぼく自身の課題として、しっかり重く受け止めておこうと思う。



「アドル。」

ベッドから起き上がろうと上体を起こしたぼくを、アルフォンソが呼び止める。
覗き込むとアルフォンソは手を伸ばし、ぼくの頬を優しく包み込んだ。


「アドル……、ありがとう。」

物凄く整った、ぼくの一番好きな顔が少し目を細めて小さく微笑む。
気怠い吐息混じりに、唇が微かに震えているようだ。


「少し大変な場面もあったが……俺は、アドルに抱いて貰えて良かった。こんな……俺みたいな外見の男が、アドルに……。」
「アルフォンソ……。」
「本当に嬉しいんだ……。一生の、思い出にな…んっ。」

一生の思い出になる。
恐らくはそう言おうとしたアルフォンソの唇をぼくので軽く塞いだ。
何かを計算しての行動ではない。本能的にしてしまっただけ。


前にも言った事があるとは思うが。自分を卑下する言葉でも、それを本人が口にする事は別に構わないとぼくは考えている。
いくら自分の事でも、心を傷付けるような真似をして欲しくない。という考え方もあるだろう。単にネガティブな言い方を嫌いな人もいるだろう。構ってちゃんだという見方もあるだろう。
それらの考え方はぼくにも理解出来るよ? それでも、だ。
弱気な言葉はそれまでの経験からの、本人の不安や、信じきれない思い等の表れ。
口にするぐらいは全然、ぼくは構わない。それで少しでも気が治まるなら良いじゃないか。どうせ誰も、その人の代わりに傷付いたりはしないんだから。


普段なら止めたりはしないんだが今のは例外だ。
怒っているんじゃないよ。むしろ逆だ。
お互いに裸でベッドにいる状態で、こんな風に、喜びの中に僅かに諦めの混じった儚げな表情を見せられて、しかも慎ましやかな事を伝えようとして来るなんて。

これでぼくが喜ばない理由が無いだろう!


「アルフォンソ? ぼくは思い出がこれだけ、にする気は無いよ?」

ちゅっちゅっと啄んでから少しだけ顔を離す。
間近で視線を絡め、ぼくはニヤリと笑ってみせた。
ぼくの言いたい事が伝わったんだろう。驚いたように目を丸くしたアルフォンソの頬に、見る見る赤みが差して行く。


「ぼくはまたお願いしたいんだが?」
「……本気、で?」
「勿論だとも。アルフォンソが嫌じゃなかったら。」
「いっ、嫌なわけがないっ。アドルは……アドルは俺でいいのかっ?」
「いいよ。アルフォンソはぼくで良いかな?」
「………っ。」

声を詰まらせたアルフォンソの顔が歪む。瞳から涙の雫が零れた。
でもそれは苦しさじゃなく。喜んでいると分かる表情で、ぼくも嬉しくなる。


「俺はアドルがいい……。」
「それは良かった。ぼくもアルフォンソが良いよ。」


お互いに伝えあって、ぼくの胸の中に擽ったさが広がる。
自然とぼくの身体は、アルフォンソを抱擁していた。
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