美醜感覚が歪な世界でも二つの価値観を持つ僕に死角はない。

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本編●主人公、外の世界に出て色々衝撃を受けたりしながら遊ぶ

ぼくは学校に通う事にした

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色々と言いたい事の多かったような気がするお祝いパーティを終え、翌日の国王陛下への挨拶等も済ませ。ぼく達家族はようやく街外れに建っている自宅へと戻った。
パーティ会場は、王城に隣接する宮殿……宮内庁と呼ばれる組織のある建物……の敷地内に設けられた催し物会場だったから、そこから自宅まで帰るのに馬車で三時間は掛かってしまったよ。


この街はとても広いんだ。
どれぐらいかと言うと……あぁそうだね、恐らくは京都市以上の面積があるんじゃないかな。札幌市とどちらが広いだろうと考えるぐらいには広くて。

そもそもね。王城のある場所が奥まっていて不便なんだ。簡単に攻め入られちゃ堪らないから当然と言えば当然なんだろうがね。
王城とか宮殿とかの周囲には『王都』と呼ばれる、伯爵以上の貴族達や金持ちの住居エリアがあり。貴族や金持ち御用達の高級店もある。

王都の周囲にあるのが『街』だ。
高い壁や柵で仕切られており、王都との行き来は門扉でチェックされているが、門番にきちんと対応すれば特に問題は無いはずだ。夜間には門扉が閉ざされて行き来は出来なくなる仕組みらしい。

街の外側は塀のような物は無く、大きな道沿いに兵士の詰め所があるだけ。
王都に近い中心部から街外れに行くだけでも二時間ぐらい掛かったりして……もう、とにかく遠いんだよ。



……それで。ぼくが何故こんなにも、自宅が遠いという話をしているか。

それはぼくが、学校に通うという事に決まったからだよ。
十六歳になる者達が通う学校だよ。


学校は中心部では無いものの、街の中にある。それも比較的、外よりな場所。
山側に近い位置にあるから、ぼくの自宅からだと真逆までは行かないが、街の中でもかなり遠いんだ。
正直に言うと、毎朝毎夕、片道二時間掛けて学校に通うのはとてもしんどいんだよ。

だからエイベル兄さんは自宅から通ってはいない。
兄の通う……そしてこれからはぼくも通う……学校は、毎日通う必要が無いから。兄は時々、学校に通う為に王都で泊まっていたらしい。

ぼくはずっと引き篭もっていたけど、兄はそんな苦労をしていたんだね。
カーネフォード家の自宅がかなりな街外れに建てられているのは、幼い頃から『格好良い』の奇跡ランクな片鱗があったぼくを人目に晒さない為という理由が大きかったようだから、兄には苦労を掛けている事になるかな。
だが兄だって『麗しい』の高ランクなんだから、兄の為でもあったよね? よね?



この世界の学校という制度についての詳しい話は、また今度。
ぼくが何らかの理由で、暇を持て余しているにも関わらず、好きなように過ごす事も出来ないような状況の時に暇潰しとして話す事にして。

学校に通いたいとぼくが言った時には、両親から若干の反対があったものの、最終的には後々に必要な事だからと納得してくれた。
意外な事に、ぼくの希望を後押ししてくれたのは、弟のアンセルだった。
今まで散々引き篭もっていたんだから、これまでの分を取り返す為にも、学校に通ってみたいという気持ちが本人にあるのならさせてやった方がいいと。
そして最後まで反対していたのは兄だった。とにかく危険過ぎる、の一点張り。

まさか兄の説得が一番苦労するとはね……。



一悶着あったものの、ぼくは兄と同じ学校に通う事となった。
そして兄と同じように、学校に通う際には王都で何日か宿泊する。

あぁそうだよ、街じゃなくて王都に、だね。
ウチは子爵家だが、顔面偏差値の関係上、兄個人は公爵より下で侯爵より上という扱いだから。王都にある高級な宿の特別室を借りられるんだ。
それにこれからは奇跡ランクのぼくも加わるんだから、その宿に取ってはこれ以上無いぐらいの栄誉だろう。

本当なら時々通うんじゃなくて、結構みっちりと通いたい気持ちはあったんだが。
そうなると宿に泊まるんじゃなくて、家を用意した方が良いだろうし、そんな話になってしまえば兄が増々反対するだろう。両親も引き篭もりのぼくが急に、そこまで冒険的な事をするのは許してくれないかも知れない。


しばらくは兄と同じペースで通学しておいて、頃合いを見てからその後の事を考えようかな。
意外とぼくが考えているよりも学校が詰まらないという可能性もあるからね。
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