上 下
59 / 101
本編●主人公、獲物を物色する

ぼくは明日に向けて気力・体力を温存する

しおりを挟む
その日の夕方から夜にかけて。
食事会という名の、国王陛下との顔合わせ及び打ち合わせは無事に終了した。

これも一大イベントだから、本来ならば其処でどんな遣り取りがされたかをしっかり描写するべきなんだろうが。
内容としては、翌日に行われる儀式の進行及びぼくがやるべき行動の確認と、ぼくが取るべき王族への態度についての擦り合わせだから。
食事会での詳細は割愛して、その結果だけを簡単に並べておくよ。



ぼくの顔面偏差値認定の儀式に関する予定は、ざっと以下の通りだ。

 1.朝食前。神殿の偉い人に、ぼくの顔面偏差値について改めて確認して貰う。
   そもそも通常の顔面偏差値測定は既に済ませているという前提だ。
   『神殿側が公式認定』する為の、形式上の測定だから簡単に済む。
 2.午前中の早い時間に。謁見の間で国王陛下に報告する。
   神殿側からのお墨付きを添えられて、国王陛下からの正式認定を貰う。
 3.午後から王城で、貴族達を招集してのお披露目会。
 4.その後、神殿に移動して、大礼拝堂でぼくの顔面を奉納する。
   奉納式には、国王陛下を含む王族も参列する。
 5.夕方から夜にかけて。奇跡ランク認定のお祝いパーティが開かれる。
   これはぼくのデビューではない。単なる御目出度い宴だ。
   ぼくのデビューはあと五ヶ月ぐらい先の話だから。


……パーティとか、聞いてないよ。

ぼくはまだデビュー前だから、デビューなさった方々のように挨拶回りだの何だのは無いだろうとは思うが。
それでも、お披露目後の初の夜会だから、ぼくが丸っきり壁の花になる事は難しいじゃないか。下手すると夜会が始まる際に、何らかの挨拶を求められるかも知れない。
打ち合わせの時には出なかったが、その場の空気というか、出席者からのニーズが高まって雰囲気的に断り切れなくなるという可能性は、大いにあるよね。




あ、いけない。忘れる所だった。
王族と対面した時にぼくが取るべき態度に関しても、一応、話しが付いたんだよ。


結果。
国王陛下や王妃殿下に対しては、ぼくは年下の友人、あるいは甥っ子のように振る舞う。イメージとしては、部活の優しい先輩と、それに懐いている後輩……だと、ぼくは考えた。
だから、ぼくから敬語で話し掛けても良い事になった。
国王陛下や王妃殿下は、ぼくに敬語を使わなくても不敬として扱わない。とした。もちろん使っても構わない。

王子達との関係では、対等な事になった。敬語を使うも使わないも自由。
ただ、ぼくが望む限り、出来るだけ親しく振る舞うよう……ぼくはお願いした。
何故なら。
アリーはやっぱり堅苦しいというか、ぼくの方が上位なような丁寧さだったし。アンディはアリー程じゃないが、ぼくにさん付けしたままで丁寧語だし。
このままじゃ、ぼくと気軽に話してくれるのはアレックのみ。という悲しさマックス状態だからだ。


ところで……奇跡ランクであるぼくの取扱いは、前にも話したと思うが、成人する前と後で異なるんだが。
そう。成人したぼくは、それまでよりも更に敬われなくてはならないという……例のアレ。

だがぼくは、そんな面倒な事は望んでいない。
そもそも成人と言っても所詮は十六歳。サトル的な感覚もあるぼくには、まだまだ子供と言ってもいい年齢。
だから成人後もしばらくは、前述した結果のように対応する事を約束しておいた。
何か特段の事情が生じた場合にまた、改めて検討するという事で。




……そうそう。
食事会にはアリー、アンディ。それにアレックと側妃様も参加していた。

側妃様とアレックは、ご機嫌麗しくぼくに挨拶をしてくれて。
アンディと、それと王妃様も……恐らくはアンディとの約束を聞いたからだろう……そこはかとなく嬉しそうな様子で声を掛けてくれた。
だがアリーとは、殆ど言葉を交わせなかったのだけ、ぼくの気に掛かっている。






用意されたぼく用の部屋、ぼく用のベッドで横になり、ぼくは目を閉じる。
出来れば王城の中を色々と見て回りたい。と思っていたぼくだが、食事会ですっかり疲れてしまったんだ。


食事会の間にベッドメイクされたんだろう。寝具からは清潔な石鹸の香しかしない。
余計な残り香が無くなり、これで落ち着けるはずなのに。
何処かで勿体ないと感じるのは、アレックがタチの癖して無駄に『エロエロしい』からだろう。



明日は、いよいよ。


ぼくの顔面が正式に『格好良い』になる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!

結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)  でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない! 何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ………… ……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ? え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い… え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back… ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子? 無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布! って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない! イヤー!!!!!助けてお兄ー様!

異世界の美醜と私の認識について

佐藤 ちな
恋愛
 ある日気づくと、美玲は異世界に落ちた。  そこまでならラノベなら良くある話だが、更にその世界は女性が少ない上に、美醜感覚が美玲とは激しく異なるという不思議な世界だった。  そんな世界で稀人として特別扱いされる醜女(この世界では超美人)の美玲と、咎人として忌み嫌われる醜男(美玲がいた世界では超美青年)のルークが出会う。  不遇の扱いを受けるルークを、幸せにしてあげたい!そして出来ることなら、私も幸せに!  美醜逆転・一妻多夫の異世界で、美玲の迷走が始まる。 * 話の展開に伴い、あらすじを変更させて頂きました。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

独占欲強い系の同居人

狼蝶
BL
ある美醜逆転の世界。 その世界での底辺男子=リョウは学校の帰り、道に倒れていた美形な男=翔人を家に運び介抱する。 同居生活を始めることになった二人には、お互い恋心を抱きながらも相手を独占したい気持ちがあった。彼らはそんな気持ちに駆られながら、それぞれの生活を送っていく。

転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
 異世界転生をするものの、物語の様に分かりやすい活躍もなく、のんびりとスローライフを楽しんでいた主人公・マレーゼ。しかしある日、転移魔法を失敗してしまい、見知らぬ土地へと飛ばされてしまう。  全く知らない土地に慌てる彼女だったが、そこはかつて転生後に生きていた時代から1000年も後の世界であり、さらには自身が生きていた頃の文明は既に滅んでいるということを知る。  そして、実は転移魔法だけではなく、1000年後の世界で『嫁』として召喚された事実が判明し、召喚した相手たちと婚姻関係を結ぶこととなる。  人懐っこく明るい蛇獣人に、かつての文明に入れ込む兎獣人、なかなか心を開いてくれない狐獣人、そして本物の狼のような狼獣人。この時代では『モテない』と言われているらしい四人組は、マレーゼからしたらとてつもない美形たちだった。  1000年前に戻れないことを諦めつつも、1000年後のこの時代で新たに生きることを決めるマレーゼ。  異世界転生&転移に巻き込まれたマレーゼが、1000年後の世界でスローライフを送ります! 【この作品は逆ハーレムものとなっております。最終的に一人に絞られるのではなく、四人同時に結ばれますのでご注意ください】 【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『Pixiv』にも掲載しています】

滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ
ファンタジー
「ここわぁ、地獄かぁ――!?」  悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、気がつきゃ金糸のような髪の小娘に!? 「えっ、ファンタジーかと思ったぁ? 残っ念っ、ハイ坊主ハラペコSFファンタジーでしたぁ――ウケケケッケッ♪」  やかましぃやぁ。  ※小説家になろうさんにも投稿しています。投稿時は初稿そのまま。順次整えます。よろしくお願いします。

処理中です...