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本編●主人公、獲物を物色する
ぼくはアンディと約束した
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アンディはネコ。大事な事なので繰り返す。アンディは、ネコ。
ぼくは内心、ホッと胸を撫で下ろす。
アンディの向こう側。チラチラとぼくの視界に入り込むアレックが、些か機嫌が悪そうに唇を尖らせているが、ぼくは気にしない。
何だったら、そんなアレックの顔も『エロエロしい』から目の保養にするぐらい、ぼくの余裕が帰って来た。
「……でも、アドルさんはまだ未経験なんですよね?」
余裕が帰って来たのは一瞬だった。
さようなら、ぼくの余裕。
……いや、そうじゃなくて! アンディ、その話は今、蒸し返す事じゃないぞ!
「まずはアドルが何処かで童貞を卒業して、更にそれなりに、経験して来ないと。話にならないぞ?」
「アレックは今、関係無いだろう。」
「そうですね。このままだと、初めて同士になってしまいますから……。」
「えっ、駄目なのっ?」
やや不機嫌そうだが真面目な表情になったアレックと。
恥ずかしそうにぼくを潤んだ瞳で見詰めるものの、神妙な面持ちのアンディと。
訳の分からない常識とやらに振り回されたような気分になったぼく。
しかもここに来てまた、新たな常識が現れた気配。
「ねぇ? 質問があるんだが、いいかな?」
「あ? あぁ、いいぞ。」
「はい、僕で分かれば。」
ほぼ同時に答えた二人を交互に見て。ぼくは開き直って聞いた。
「ぼくが童貞だと何か問題でも?」
何故ぼくが、王城内で、こんな言葉を口に出さねばならないのか。
それもこれも、えぇと……そう。アレックの所為だ。もしくは、ここの常識がおかしい所為だ。
決して、アドルが引き篭もっていて常識を学ばなかったからじゃない。
「それは……だって。」
「アドル……お前、本当に何も知らな過ぎじゃないか?」
口籠るアンディ。呆れた様子のアレック。
もういいから、さっさと言ってくれ。
どうせまた、ぼくが驚くような常識を言い出すんだろう?
ややしばらく待つと。やはり、アレックが説明してくれるようだ。
「初めて同士じゃ、上手く出来るわけがないって……常識だぞ?」
「ふーん、そうなんだ。」
「恋人がたまたま経験豊富ならいいけど、そんな幸運は滅多に無いからな。だから普通は、親とかが手配した、慣れてる男かプロと初体験を済ませるもんだ。」
「ふ……ふーん。そう、なんだ……。」
「よっぽどの不細工で、恋人もいないしプロにも断られて、抱いてくれる相手がいない場合……。先に初体験を済ませてる兄弟が、面倒を見る事になる。」
「フーン、ソウナンダー。」
心の準備が出来ていたぼくは、この程度じゃもう驚かないぞ。驚いてなんかない。
どうせ、そんな事だろうと思って……。
……ん? 初めて同士は避けるべき、というのであれば。
アンディが来た時、アレックがぼくに言った台詞は……。
「ねぇアレック……。確か、アンディが部屋を訪れた時に…」
「ん? 俺が何か言ったか?」
「……。いや、何でもない。」
アレックはあの時ぼくに、初めての経験を云々……と言っていた気がするが。
今の話からすると、ぼくとアンディは初めて同士だから、どうせ上手く出来っこないと思っていた。という事になるんだが。
つまりアレックは、あの時点から、ぼくを揶揄っていたんだ。
知らず知らず、ぼくの視線は恨めしいものになる。
ぼくが動揺した時間を返せ、アレック。
「……アレックが案外、歪んだ性格をしているという事は、充分に分かったよ。」
「悪かったな。『エロエロしい』の癖に、中身が……こんなので。」
再び口を尖らせるアレック。これはこれで眼福だなんて思っていないから。
これでアレックが、タチじゃなければ……と思ったのは事実だがね。
ぼくは内心、ホッと胸を撫で下ろす。
アンディの向こう側。チラチラとぼくの視界に入り込むアレックが、些か機嫌が悪そうに唇を尖らせているが、ぼくは気にしない。
何だったら、そんなアレックの顔も『エロエロしい』から目の保養にするぐらい、ぼくの余裕が帰って来た。
「……でも、アドルさんはまだ未経験なんですよね?」
余裕が帰って来たのは一瞬だった。
さようなら、ぼくの余裕。
……いや、そうじゃなくて! アンディ、その話は今、蒸し返す事じゃないぞ!
「まずはアドルが何処かで童貞を卒業して、更にそれなりに、経験して来ないと。話にならないぞ?」
「アレックは今、関係無いだろう。」
「そうですね。このままだと、初めて同士になってしまいますから……。」
「えっ、駄目なのっ?」
やや不機嫌そうだが真面目な表情になったアレックと。
恥ずかしそうにぼくを潤んだ瞳で見詰めるものの、神妙な面持ちのアンディと。
訳の分からない常識とやらに振り回されたような気分になったぼく。
しかもここに来てまた、新たな常識が現れた気配。
「ねぇ? 質問があるんだが、いいかな?」
「あ? あぁ、いいぞ。」
「はい、僕で分かれば。」
ほぼ同時に答えた二人を交互に見て。ぼくは開き直って聞いた。
「ぼくが童貞だと何か問題でも?」
何故ぼくが、王城内で、こんな言葉を口に出さねばならないのか。
それもこれも、えぇと……そう。アレックの所為だ。もしくは、ここの常識がおかしい所為だ。
決して、アドルが引き篭もっていて常識を学ばなかったからじゃない。
「それは……だって。」
「アドル……お前、本当に何も知らな過ぎじゃないか?」
口籠るアンディ。呆れた様子のアレック。
もういいから、さっさと言ってくれ。
どうせまた、ぼくが驚くような常識を言い出すんだろう?
ややしばらく待つと。やはり、アレックが説明してくれるようだ。
「初めて同士じゃ、上手く出来るわけがないって……常識だぞ?」
「ふーん、そうなんだ。」
「恋人がたまたま経験豊富ならいいけど、そんな幸運は滅多に無いからな。だから普通は、親とかが手配した、慣れてる男かプロと初体験を済ませるもんだ。」
「ふ……ふーん。そう、なんだ……。」
「よっぽどの不細工で、恋人もいないしプロにも断られて、抱いてくれる相手がいない場合……。先に初体験を済ませてる兄弟が、面倒を見る事になる。」
「フーン、ソウナンダー。」
心の準備が出来ていたぼくは、この程度じゃもう驚かないぞ。驚いてなんかない。
どうせ、そんな事だろうと思って……。
……ん? 初めて同士は避けるべき、というのであれば。
アンディが来た時、アレックがぼくに言った台詞は……。
「ねぇアレック……。確か、アンディが部屋を訪れた時に…」
「ん? 俺が何か言ったか?」
「……。いや、何でもない。」
アレックはあの時ぼくに、初めての経験を云々……と言っていた気がするが。
今の話からすると、ぼくとアンディは初めて同士だから、どうせ上手く出来っこないと思っていた。という事になるんだが。
つまりアレックは、あの時点から、ぼくを揶揄っていたんだ。
知らず知らず、ぼくの視線は恨めしいものになる。
ぼくが動揺した時間を返せ、アレック。
「……アレックが案外、歪んだ性格をしているという事は、充分に分かったよ。」
「悪かったな。『エロエロしい』の癖に、中身が……こんなので。」
再び口を尖らせるアレック。これはこれで眼福だなんて思っていないから。
これでアレックが、タチじゃなければ……と思ったのは事実だがね。
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