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本編●主人公、獲物を物色する
ぼくは自分の失敗を取り戻す為に画策する
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ぼくが待ちに待った、恐らくネコちゃんのアンドリュー王子。
室内に姿を現した彼は、お茶会の時には着けていなかったヴェールと……それだけでなく、額から鼻の下までを覆うタイプの仮面も装着して、年下なのに色っぽい顔を隠してしまっていた。
焦げ茶色の巻き毛を肩の上に垂らした髪型は変わらないが、着ている衣服も割とゆったりとしたワンピースタイプの物になっている。
襟ぐりがやや広めで、袖も大きく広がっているのが特徴的だ。布が二重になっており、内側の布地は膝上ぐらいの長さ。外側の生地はシルクシフォンのように透けており、脹脛の辺りまでふわりと広がって垂れている。
下衣は膝丈までの長さの、キュロットのように見える。これもやはり、かなり裾がゆったりと広がった印象だ。
「アンドリューです。アドルさん、お寛ぎの所を急にお邪魔して済みません。あの…」
「あぁもう、そんなに畏まらないで。それから、ぼくに『さん付け』は要らないから。ね?」
丁寧に挨拶をしようとするアンドリュー王子の言葉を、ぼくは切りの良い所で止めた。
これを放っておくと、彼はいつまでも丁寧でいようとするだろうし、そうなってはぼくが望んでいる親しさからは遠ざかってしまうから。
アンドリュー王子は、ぼくが対面側の席を勧めると、一瞬戸惑ったようにぼくとアレックとを交互に見た。
そして、無言のままじっとアレックを……ヴェールと仮面とで顔は見えないが、雰囲気から察するに……窺うようにしている。
アレックもまた、無言のまま。
だがこちらは、じろじろと相手の全身を上から下まで、明らかに眺め回している。
散々に視線をやっていたのに、不意にアレックの方から顔を逸らした。
まるでそれまでの興味を失ったかのように、アレックは優雅な『エロエロしい』の手付きで紅茶カップに、その指と瞳を向ける。
そうなってから初めてアンドリュー王子が動き出し、少々ぎこちない所作でアレックの隣に着席した。
ぼくはホクホク顔でアンドリュー王子に飲み物を用意するよう従者に伝えながら、内心では若干、首を傾げてしまった。
……今の一連のやり取りは何だろう?
部屋には先にアレックがいるという事は、アンドリュー王子にも伝わっているはずだと思うんだが、アレックの隣になるのが躊躇われるんだろうか。
顔面偏差値にかなりの格差があるとは言え、二人とも王子殿下じゃないか。母親が違うというのもあるが、寧ろそれであれば、アンドリュー王子の方が王妃様の息子というアドバンテージがある。
ならば、隣に座っても問題無いはずだし、そもそもこんな事は今更な……。あ。
ぼくは対面に並ぶ二人の王子の姿をまとめて目にして、自分の失敗……したかも知れない事に……はっとした。
彼等はもしかすると、横に並ぶ事自体が今まで無かったんじゃないか。
いや、そもそも……高ランクの隣にいるという事が、アンドリュー王子には辛い事なんじゃないか。
ぼくは……ぼくにとっては二人とも。偏差値に差はあるが、見ていて楽しめるぐらい美しく見えているから、気にもしていなかった。
それが……その推測が正しいかも知れないと表すように。
アンドリュー王子はヴェールさえ上げず、両手を太腿辺りにぎゅっと置いたまま、俯いて身体を強張らせているように見える。
その隣にいるアレックは、テーブルに肘を付いて、その上で頬杖を付き。声こそ洩れていないものの、今にもくすくすと笑い出しそうな気配を感じさせる。
どうしよう……。これは完全に、ぼくの失敗だ。
アンドリュー王子が普段感じているだろう外見に対する引け目を、全く考慮していなかった。
こんな状況では、彼がヴェールや仮面を外してくれる可能性は低い。
これを何とかする為には、可哀想だが、アレック。……キミには退室してもらうよ?
室内に姿を現した彼は、お茶会の時には着けていなかったヴェールと……それだけでなく、額から鼻の下までを覆うタイプの仮面も装着して、年下なのに色っぽい顔を隠してしまっていた。
焦げ茶色の巻き毛を肩の上に垂らした髪型は変わらないが、着ている衣服も割とゆったりとしたワンピースタイプの物になっている。
襟ぐりがやや広めで、袖も大きく広がっているのが特徴的だ。布が二重になっており、内側の布地は膝上ぐらいの長さ。外側の生地はシルクシフォンのように透けており、脹脛の辺りまでふわりと広がって垂れている。
下衣は膝丈までの長さの、キュロットのように見える。これもやはり、かなり裾がゆったりと広がった印象だ。
「アンドリューです。アドルさん、お寛ぎの所を急にお邪魔して済みません。あの…」
「あぁもう、そんなに畏まらないで。それから、ぼくに『さん付け』は要らないから。ね?」
丁寧に挨拶をしようとするアンドリュー王子の言葉を、ぼくは切りの良い所で止めた。
これを放っておくと、彼はいつまでも丁寧でいようとするだろうし、そうなってはぼくが望んでいる親しさからは遠ざかってしまうから。
アンドリュー王子は、ぼくが対面側の席を勧めると、一瞬戸惑ったようにぼくとアレックとを交互に見た。
そして、無言のままじっとアレックを……ヴェールと仮面とで顔は見えないが、雰囲気から察するに……窺うようにしている。
アレックもまた、無言のまま。
だがこちらは、じろじろと相手の全身を上から下まで、明らかに眺め回している。
散々に視線をやっていたのに、不意にアレックの方から顔を逸らした。
まるでそれまでの興味を失ったかのように、アレックは優雅な『エロエロしい』の手付きで紅茶カップに、その指と瞳を向ける。
そうなってから初めてアンドリュー王子が動き出し、少々ぎこちない所作でアレックの隣に着席した。
ぼくはホクホク顔でアンドリュー王子に飲み物を用意するよう従者に伝えながら、内心では若干、首を傾げてしまった。
……今の一連のやり取りは何だろう?
部屋には先にアレックがいるという事は、アンドリュー王子にも伝わっているはずだと思うんだが、アレックの隣になるのが躊躇われるんだろうか。
顔面偏差値にかなりの格差があるとは言え、二人とも王子殿下じゃないか。母親が違うというのもあるが、寧ろそれであれば、アンドリュー王子の方が王妃様の息子というアドバンテージがある。
ならば、隣に座っても問題無いはずだし、そもそもこんな事は今更な……。あ。
ぼくは対面に並ぶ二人の王子の姿をまとめて目にして、自分の失敗……したかも知れない事に……はっとした。
彼等はもしかすると、横に並ぶ事自体が今まで無かったんじゃないか。
いや、そもそも……高ランクの隣にいるという事が、アンドリュー王子には辛い事なんじゃないか。
ぼくは……ぼくにとっては二人とも。偏差値に差はあるが、見ていて楽しめるぐらい美しく見えているから、気にもしていなかった。
それが……その推測が正しいかも知れないと表すように。
アンドリュー王子はヴェールさえ上げず、両手を太腿辺りにぎゅっと置いたまま、俯いて身体を強張らせているように見える。
その隣にいるアレックは、テーブルに肘を付いて、その上で頬杖を付き。声こそ洩れていないものの、今にもくすくすと笑い出しそうな気配を感じさせる。
どうしよう……。これは完全に、ぼくの失敗だ。
アンドリュー王子が普段感じているだろう外見に対する引け目を、全く考慮していなかった。
こんな状況では、彼がヴェールや仮面を外してくれる可能性は低い。
これを何とかする為には、可哀想だが、アレック。……キミには退室してもらうよ?
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