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第1章
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しおりを挟むあんな出来事もあり五限目は案の定遅刻した。
結局予習も最後までできなかったし,授業も途中からで全く頭に入ってこなかった。あの後では,仮に最初から受けていようが関係はなかっただろう。
『喫茶ニュートンでね』
彼女のその一言が脳裏にこびりついている。教科書とノートに目を向ける度に活用形ではなく彼女の言葉が耳奥で何度もリピートで再生される。
一日の最後の六限目も全く同じだった。
動揺していたのが顔に出ていたのであろう相沢は後ろの席でそんな僕のことを見てクスクスと笑っている。
先生相沢君が僕の顔見て笑っています。チョークを投げつけてやってください。まあ口にできるはずがない。
そして六限目の終了を告げるチャイムが鳴る。今度は今までで一番聞きたくなかった音色に聞こえる。
「はぁ」
僕は深く嘆息する。
そこに,にやにやしながらこちらを見る相沢がいた。
「で,陽葵どうなったんだよ」
相沢の顔を何かもう察しがついているようにも見える。
「ほんっといい性格してるよ。元はといえばお前が言い出したんだからな。しかもちゃっかり授業遅れず受けてんし」
皮肉たっぷり濃い味返答をしてやる。
「ハッハッハッー。お前は俺に感謝すべきだ」
「…」
だんだんと呆れてきた。そもそも感謝すべき点などどこにもない。
相沢に弄ばれながら一階まで下り,下駄箱で革靴に履き替える。
現在十六時前。そういえば放課後喫茶ニュートンと言われただけで詳しい時間は指定されていない。どうしたものか,このまま帰って今度会った時に言い訳でもしようかなと僕は考え始める。我ながら名案だ。
しかし今日の僕の歯車はどこまでも狂っているらしい。
前方に見覚えのある生徒が近づいてきた。女子生徒二人組だった。
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