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第一章・幼少期

10.グレイシアたん、因縁の邂逅

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この世界には転移スキルがある。これは誰でも使えるという訳ではないが、そのスキルを応用して、とある場所とまたとある場所を繋げる『ワープシステム』なるものが存在する。だから、1日限りのお給金しか貰えなかったとしても、大国であるフランソワーズ王国の広大な土地があったとしても、距離がいくら離れようとも、簡単に、行き来出来る。だから、国境近くの辺鄙な村出身でも、王立学園に行かせられることが、出来るから、村長さんが張り切っちゃうんだよね。


だから、今回、その村長さんが、1回王都に行ったことがある、グレイシアたんの母上と、グレイシアたんは、今は、王都に居を構えている、村長さんのお孫さんのところに、お野菜を運んで欲しいと、お使いを頼まれた。グレイシアたんは、これ幸いと、自ら率先して、同行を申し出た。どうやら、量が量なだけあって、1泊お泊まりして良いってさ。まぁ、アイテムボックスあるから、そんな配慮要らないけどね!スマートフォンにも、入るしね!


それで、今、王都に、到着。早速、迷ったフリして、課金ショップを見つけたようだ。店主は、陽気に、恋に効く香水をお勧めしてきた。何故なら、5歳児なのに、ゲーム開始時の姿に具現化しているから、見た目は、一応13歳程度になっているからです。そこで、鑑定スキルを使って、この店主さんは、魔族と判明したのを、現認して、1つ購入して、頂戴した。構造を分解して、確認する為に。


すぐ母上の元に戻る。元の姿でね!その日は、夜遅くだったので、民宿で、一泊。そして、翌日。グレイシアたんは、わざとらしく、いつも使っていた偽装スキルと隠蔽スキルを解いて、身体を震わせて、目が覚めた母上に、訴えかける。


グレイシア「……は、母上……朝早く、起きたら、僕、金髪碧眼に、なってて……これって、流石に、知識に疎い僕でもわかるよ。僕の父上って、現国王陛下なの……??」

クラリス「……!グレイシア……ごめんなさい。最初は、私の遺伝で生まれた子供だったから、こんな形で、バレるなんて、思ってなかったの。ごめんなさい……」

グレイシア「所謂、妾の子なの……??だから、今まで、父上のことを言わなかったの??こんな姿、いやだよ、いやだよ、」


と、猫被りスキルで、涙を浮かべて、母上をあっさり騙して、いや、最初から知ってたくせに。流石、グレイシアたん。でも、何の為に、このタイミングで、バラしたのだろうな。


民宿を出る際は、フードを深く被って、出た。そして、王都の外れに、ある村長さんのお孫さんの働く食堂に立ち寄る際、何故か王都周辺の人が慌ただしく動いている。えっ、と、確か、これ、もしかしたらもしかして、第四王子の、アザルド王子のトラウマイベントの、『ミノタウロスの襲撃』なのではないか??確か、アレ、5歳の出来事だったような。王族は、通常の貴族と比べて、魔法の発現が早い。まぁ、俺は、赤ん坊の頃から、使っていたけど。女神様の加護があったから、使えたみたいで……


アザルド王子が、王都近くで、鷹狩りをする為に、向かった高原で、いるはずのない、ミノタウロスの集団に、遭遇して、自ら指揮を執って、やっと使えるようになった、魔法を使って戦うも、ミノタウロスは、Sランクの魔物。そう簡単に倒せる訳もなくて、味方は、倒れ行くばかり。そして、自分の責任を深く痛感して、弱気になって、剰え、魔物を相対するだけで、また、みんなを傷付けるのではないかと、発作を引き起こすという、トラウマイベント!


クラリス「何だか騒がしいわね??何かあったのかしら」

グレイシア「……僕、行ってくるよ。これでも、例え、妾の子であろうと、仮にも、王族の一族であるから、民を守らなければならない。さっきは、慌てて気付かなかったけど、どうやら魔法が使えるみたいなんだっ。だから、こんな僕でも、役に立てることが、出来るかもしれない。例え、母上の名誉を傷付けてしまっても、それが、僕の責務だと、思うの」

クラリス「グレイシア……」


そんなやり取りを終えて、王都、アスクルの近くの高原。アスクル高原に、やってきたグレイシアたん。


サッと転移スキルを使って、偵察。そこで、陣頭指揮を執っている子供が、アレが、アザルド王子だった。サラサラしたストレートの髪の毛で、まだまだ幼さが残るが、アザルドの目鼻は、整っており、人々を魅了して、やまない、そんな王子様と、初対面したグレイシアたん。一体、どうなることやら。
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