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15話 お前は俺を

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 目の前には、拘束され抵抗出来ないアイリさん。

 少し離れた所には、力を使い果たして地面に倒れている俺。

 そんな状況なんだ、ユノが勝ち確定と思って、調子に乗ってしまうのも分からないでもない。

 だからって、警戒が甘すぎだろ。

 こんな状態では、反撃する力も無いと思っているかもしれないが、それは違うぞ?

 忘れたのか?
 俺が一瞬で、武器をかすめ取った事を。

 それをやった少しチートな収納スキルは、お前に脅威を与えたVーマッスルと違って、消費魔力が圧倒的に少なくて済むんだよ。

 それを発動するだけの魔力は、調子に乗って与えてくれたこの時間で溜める事が出来た。

 そして、そのチートを使ってどうやってこの状況を覆すかは、調子に乗って色々喋ってくれたから、思い付くことが出来たぞ。


「どうして? 刻印から力が供給されない! 何で!?」

 無警戒に背中を向けていたユノを標的に収納スキルを使うと、ユノは力が出ないと慌てふためき、その向こうではアイリさんに巻き付いていた蔦などが、地面へと落ちていく。


「さては……お前の仕業!?」

「はい、正解」

 俺の方へユノは振り返るが、もう遅い。
 狙った物は、全て収納した。


「一体何をしたの!?」

「前に言ったろ? 優位になったからって、手の内は明かさないって」

 まあ、明かしたところで、この場ではどうしようもないし、多分信じられないだろうから、教えてやってもいいんだけどな。

 だって俺が収納したのは、ユノが人へ打った隷属の刻印なのだから。



 ◆◆◆



 隷属の刻印を収納し、ユノを弱体化させる。

 この作戦を思い付いたのは、ユノが草木等を操り始めた時、彼女の胸に淡く光る印と、そこから延びる無数の糸のような物が見えた時だ。

 おそらくそれは、普通では見えない物だろう。
 しかし、アイリさんの鎖の呪術が見えた俺だからか、それは見えてしまった。

 見えた理由は相変わらず分からないが、刻印の話を聞いた後で見えてしまえば、その淡く光る印が刻印で、そこから延びている糸のような物が、人から信仰を集めるパイプのような物だと、簡単に推測が出来た。

 それで、刻印も呪術の類いっぽいし、目視出来てるのだから収納出来るはずって思ったわけだ。

 刻印に世界樹が関係していれば、失敗の可能性もあったから、次の手は用意してあったけど、世界樹は関係してないようで、上手くいってくれた。


「ということで、投降しろ。勝ち目はない」

「勝ち目が無いですって?  たとえ刻印から力が来なくても、フラフラの二人に負けはしないわ。覚悟しなさい、今から叩きのめして、刻印を打ってやるから!」

「出来ると思うか? 後ろ……アイリさんを見てみろよ」

「何がアイリよ……なっ!?」

 ユノは振り向いて向こうを見たから、その顔がどんな表情かは見えないが、大体想像はつく。

 おそらくユノは、とても信じられない物を見たって顔をしてるだろう。

 だってそこには、さっきまでユノが操っていたのとは比べ物にならない量の蔓や草が、今まさにユノへ襲い掛かろうとしているのだから。

「これ……アイリが? 何で? どうしてアイリにこれだけの力が?」

 何で?

 まあ、俺のエルフの信仰についての推測が、当たっていたんだろうね。
 エルフに向けられたエロい感情は、エルフの力の元になるっていう推測がね。

 ただ、ここまで力が復活するとは、俺も想像はしていなかったから、今ちょっと自分のエロさと共に、驚いてるけどな。

 まあ、なんにせよ。

 ユノ……お前は俺を興奮させ過ぎた。

 それが、お前の敗因だよ。

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