5 / 8
5
しおりを挟む昔から憂吾は変なやつだった。俺たちの初対面は小学校の入学式だ。遠く離れた外国から引っ越して来た憂吾は、“花のような美少年だ”と、入学初日から多くの人たちから注目されていた。さらに、頭も良く、スポーツも万能。人に囲まれる要素しかない。完璧な人間だ。それなのに、どういうわけか、憂吾は特に秀でた才能がない俺にべったりだった。どのくらいべったりかといえば、移動するときは必ず手を繋いで歩いていたし、“連れション”は当然で、“大”のほうをするときも個室に2人で入ってるくらいである。笑い事じゃない。本当の話だ。幼い頃からの刷り込みで“友達との付き合い”ってこういうもんだと思ってた。しかし中学生になり、性のあれこれに過敏になり情報も増える中で、ようやく俺たちの付き合い方は変だと気付いた。
だってさ、
「…ふふっ、遼、振られちゃったね?」
「んあっ…そ…こっぉ…」
友達同士ってこういうことしないだろ?
「大丈夫だよ。僕がいるでしょう?また元通りになっただけ。これが本来の形なんだよ」
ぱちゅんぱちゅんと生々しい音が俺の部屋に響き渡る。肉と肉がぶつかり合い、粘液が絡み合う音だ。蕩けた瞳には裸体の俺が映る。だらしなくヨダレを垂らし股を開き、腰を浮かせてる。見たくない。目を閉じれば唇を奪われた。
「ねえ遼。今僕たちは一つになってるんだよ。よく見て」
「ぁん…っ…みたくな…ッ…」
「見なきゃダメ」
耳の形に沿うようにじゅるるるっと舐められ、目を開けるよう促される。そのまま憂吾の口から銀色の糸が垂れた。「飲んで」と言われ、ゆるゆると口を開き、舌ですくう。喉を上下させれば、美しい緑色の瞳がとろんと甘く染まる。
「ふふ、僕たちが仲良しだって見せつけちゃった。でも僕があんな女に負けるはずがないよね?……遼の好みを知ることから始めて……何百年……何千年……想い続けて……ようやくここまできたんだ…今更あんな人間に負けるわけないっ……」
「…あぁ…っぅ、んぇ……?」
肉壁が擦られるたびにぽろぽろと涙が溢れた。快楽の波が思考を塗り潰していく。唇から伝って流れ行くヨダレを、目の前の麗しい男は、愛おしそうに啜っていた。
「…はぁ……遼のナカ…、きゅうって締まるぅ……、…僕を求めてくれてるんだね…っ、…ああ…、嬉しいっ…、興奮し過ぎてどうにかなっちゃいそう…」
「ぅ、あ…んっぁ……」
もうとっくにどうにかなってんだろ、と悪態を吐きたくなる。だがそんな余裕なんかない。俺は喘ぐことしかできなかった。やたらと早口に並べられる言葉は雨のように降り注ぐ。憂吾は肉壁を押し広げ奥へ奥へと入り込む。内臓が上に押し上げられる感覚だ。おえ、とえずけば、再び唇を塞がれた。
「んっ…りょお…すき…すき…」
上擦った甘い声とともに、ぱちゅぱちゅぱちゅ、と腰の動きが激しくなる。結合部が擦れて熱い。壊れてしまいそうだ。絶世の美男子といえる男が俺みたいな芋くさい男に、欲情し、無我夢中に腰を振ってる。何が間違ったらこうなるのか。誰もが抱く疑問だろう。俺が一番その答えを知りたい。
「りょうはぼくのことすき?」
「ぁあッ…っ…あ…ゃぁ」
女みたいな声が出る。嫌だ。この声が自分のものだと信じたくない。首を振る。すると「すきだよね」と、瞳孔が限界まで開き切った目が近寄る。肯定以外受け付けないと言わんばかりの圧に小さく頷けば、憂吾は嬉しそうに俺の乳首を唇を寄せた。
「あぁ、ゆぅ…ご…っ」
星が瞬くような快楽だ。乳首はぷっくり腫れていて、刺激を与えられるたびに、腰が勝手に動く。下はじんじんと熱い。自分の一番気持ち良いところに先端を押し付けてしまう。…もっと、もっと、もっと、激しいのが欲しい。
「ここ気持ちいい?蕩けた顔してるよ?同じところずっと突いてあげるね」
熱い塊が最奥に沈み込むたびに、ぐちゅっぐちゅっ、と激しい淫音が響く。与えられる快楽に抗うことができなかった。「あッ~ぁ…っ」と嬌声を上げれば、憂吾は目を輝かせる。それは狂った輝きだった。瞬きを忘れたように俺を見下ろす。その姿は不気味なほどに美しい。
「りょう…すきすきすきすきすきすきすきすき」
「あっ、あぁ…っ、ああぁぁっ、ゆ、ゆぅ…ご…っ」
目の前がチカチカ点滅する。絶頂が近い。おねだりをするように腰を振って快楽を貪った。
「お、…お、くっ、あたってるッ…」
「ふふ、きもちいいねえ」
「ふ、あぁ、…あ、きもちいい…きもちいいよぉ…っ…」
「『あぁっ…かわいい…ッ』」
歪んだ視界の中、複数の声が同時に聞こえるような感覚だった。
頬を両手で包まれ、顔が接近する。
「りょうっ、最高だよっ、…一緒にきもちよくなろ…っ…?」
「ぁあっ……あぁっ…あ――――」
ばちゅんっ、と貫かれ、視界が白く染まり、背を仰け反らせた。ナカにどくどくっと熱い飛沫を感じる。憂吾はそんな俺をうっとりと見つめて身体を震わせていた。緑の瞳はドロドロに蕩けている。ずっと見つめていたら飲み込まれてしまいそうだ。はあはあ、と肩で息をして、憂吾の唇を受け入れる。
「んぅ…っ…」
「りょう…りょう…」
ぎゅっと密着して舌を絡ませる。
互いの唾液が交わり、溢れた唾液は顎へ伝っていく。口蓋をざらりと撫でられぞくっと背筋が震えた。敏感な部分に舌が突く。果てたばかりだというのに、甘い刺激を繰り返されてこのまま脳が溶けてしまいそうだ。
「僕の遼は本当にかわいい…」
「んぅっ…」
「ずっと繋がっていようね……だれにもあーげない」
耳元で囁かれる声はどこか仄暗い。どろりとした甘い声が脳に響く。びくびくと身体を痙攣させながら、首筋を吸われる感覚に酔いしれた。
20
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)
てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。
言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち―――
大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡)
20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
幼馴染の王子に前世の記憶が戻ったらしい
325号室の住人
BL
父親代わりの叔父に、緊急事態だと呼び出された俺。
そこで、幼馴染の王子に前世の記憶が戻ったと知って…
☆全4話 完結しました
R18つけてますが、表現は軽いものとなります。
俺は完璧な君の唯一の欠点
白兪
BL
進藤海斗は完璧だ。端正な顔立ち、優秀な頭脳、抜群の運動神経。皆から好かれ、敬わられている彼は性格も真っ直ぐだ。
そんな彼にも、唯一の欠点がある。
それは、平凡な俺に依存している事。
平凡な受けがスパダリ攻めに囲われて逃げられなくなっちゃうお話です。
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる