蝶の如く

きなこ

文字の大きさ
上 下
19 / 68
困惑と決意

12 (19p)

しおりを挟む

「どうかされましたか?」

その問に、男は茶をすすった後茶を見ながら口を開いた。

「この茶はお前が淹れたものか?」

「はい…」

「お前、見ない娘だが初めてか?」

「はい、今日から此処で働かせて頂いてます。」
(怖い怖い!何かあるならさっさと言えよー!)

男の言葉にびびりながらも心の中で逆ギレする楓に、男が視線を向ける


「お口に合いませんでしたか?
でしたら、お取替えを…」

「いや…」楓の言葉を遮るように男は言い、口元を綻ばせながら優しい声で続ける

「うまい…」

「え?」

突然の男の言葉に困惑する

確かに現代の社内では上司や同僚、部下に楓の入れた茶はうまいと好評だったが
まさかこの時代で褒められるとは思っていなかったので、内心驚き耳を疑った。
しおりを挟む

処理中です...