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第二章 ~第二の砦~

第二十二話 魔法

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 何んでもいい! 魔王様の真似でも……!

『ファイア!』

 俺の手に、魔王様より、少し小さい火の玉が創られる。
 そして、それは俺が手を向けていた方向。相手の忍に向かって、勢いよく飛んでいく。
 それにより、魔王様に接近していた、敵が燃え散るように居なくなる。
 こ、こいつに中身は無いのか!? 空間が装備を付けている感じなのか……?

「おお! 助かったぜ!」

 そう言うと、魔王様は、もう一人、接近していた、忍を投げ飛ばす。

「お前が魔法を使えるようになったなら、逃げる必要はねぇ! さっさと片付けるぞ!」
「おう!」

 その後、俺達は忍を全て倒す。敵は、確かに強かったが、呪文が使える、俺達にとっては屁でもなかった。

「よし、終わっな。帰るか」
「おう! そ、それもそうなんだけどさ。ま、まさか……。俺が魔法を使えるなんてな……」

 正直、俺だってかなり驚いた。あの、意味の分からない声が聞こえたあと、まさか、魔法が使えるなんて思ってもいなかったから。
 だが、それのせいで、疑問点もある。あの声の出どころは何なのか。そして、誰の声だったのか。だ。でも……。どこかで聞いたことのある声なんだなぁ……。

「確かにそうだな。人間なのに、魔法が使えるなんてスペックが高すぎないか!?」

 ハリー〇ッターも、ビックリだよな。

「でも、何で使えたんだろうなー」
「お前の想いが強かったんじゃないか? それが、あーなって、わー! って」
「わ、分かりづらいな……。まぁ、いい! とりあえず帰るぞ!」

 そして、家に帰った後、眠りについた。


「ふぁあ……」

 俺は目を覚ます。

 今日は金曜日。そろそろ、砦にケリを付けたいのだが……。
 土日に入ると、何かと大変だし。

 そう思い、気合を入れて学校へ向かった。


 一、二……と、時間はどんどん過ぎていく。
 ふぅ……。今日は、大事な日になるからな。絶対に好感度を上げるぞ……! 最悪、まだ、交換してない連絡先を……!

 そして、午前の授業が終わり、すぐに生徒会室に向かおうとしたが……後ろから「待って」と、言う声が聞こえる。
 後ろに立っていたのは、やよいだ。き、昨日、振ってしまったから、凄い返事をしにくいんだが。

「一緒に『お弁当』食べよっ!」
「ご、ごめん……。今日も無理なんだ」
「そっか。なら、私、言いふらしちゃおうかな。この前、襲われそうになりましたー! って」

 この子は何なの!? 俺に何かしらの妨害がしたいのか!?

「根も葉もない嘘をつくな!」
「なら! 言ってもいいよねー」

 うわぁぁぁ!! こんな噂が広まったら、確実に俺は今日、男子達に殺され、女子からの軽蔑の目によって、自殺を迫られる。
 一日に、俺は何回死ねばいいんだ? ていうか、こんな噂が広まったら、砦攻略にも関わっちまう!

 し、仕方ない。

「じゃあ、一緒に食べる? 生徒会室でなんだけど」
「うんっ!」

 俺達二人は生徒会室まで、一緒に歩く……のは、いいのだが、何で俺と腕を組んでるの?! 俺は力がある方だから、普通の人間なら、簡単に振り払えるんだけど……。何で、振り払えないの?! 力強すぎだろ! ゴリラか!
 そして、生徒会室に向かうまでが辛かった。

「昨日は生徒会長と、だったのに……?」
「だよね。今度は転入生……? 何者なの? あいつ」

「「「「殺す。殺す。殺す。殺す」」」」

 怖い怖い怖い! 俺、悪くないのに! 涙が出そうだった。

「生徒会室前まで、来たんだから、腕を離せよ」
「はーいっ!」

 そして、俺は扉を開けて、部屋に入ろうとする。だが、扉は開かない。

 ……? まだ、来てないのかな?

「開いてないなら、しょうがないね! 二人でイチャイチャしようか」
「おい! そういう事を言うな」

 本当に何なんだ! チョロインよりも、ちょろいぞ。こんなのは! ちょろ過ぎて、不信感しか出ないぜ……。


「……さっきまでの光景。見させてもらいました」

 背筋が凍るような、感覚がする。おいおい、待てよ。嘘だろ。

「あっ! 生徒会長さん! 私の彼氏でーす! 生徒会室さんとは『友達』との、事なんで来ちゃいましたっ!」
「いや……それは違うだろ! 逆だ!」
「そうですか……。まぁ、話は『ゆっくり』と中でしましょう」

 か、顔が真顔で思考は読み取れないけど、怒ってるのは確実だよ……。

 ガチャ

 そして、恐怖の扉は開かれた。
 夏奈を何とかしないと、とりあえずヤバいな。

 そして、扉の中に入る。机を囲むようにして、食べればいい。
 だが、何故か、俺が右側の椅子に座ると、左の間近に夏奈。右の間近にやよいが椅子を移動させて、座った。

「あ、そうだ。壮一。今日は、少し食べて欲しいものがあるんだけど……」

 そう言って、夏奈は可愛らしい弁当箱を取り出す。
 俺のは、あるけど、こっちを食べようか。
 そして、弁当箱が開かれる。
 そこには、形の整った、黄色の綺麗な卵焼き。綺麗に焼かれていて、ケチャップのような赤いソースでハートマークが描かれているハンバーグ。可愛いクマが様々な具材で作られたキャラ弁など、とても凄かった。

「す、凄い……。ていうか、凄いしか出ない……」
「ありがと。嬉しい!」

 やよいは隣でツンとした顔をしている。何のために、来たのだろうか。

「じゃあ、何から食べたい?」
「んー……卵焼き」
「分かった。はい、あーん」
「……!」

 俺は止まって、口をあんぐりと開ける。

「嫌……だった?」
「い、いや! まさか、してくれるとは思わなくてさ!」
「そうなの? まぁ、いい。続ける……あーん」
「あーん」

 パクッ

 口に卵焼きが入る。

 し、幸せに包まれる気が……!


 ……そして、俺はそれをしっかりと噛んだ。
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