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第二章 ~第二の砦~
第十四話 形状
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まぁ、作戦を考える。なんて、言っても、特に考えることは無い。
何故なら、本に触れてはいけない。と、しか言い切れないからだ。
「魔王様。作戦なんてものは特に無いよ」
「そっかー」
「家を出る時間は十一時頃。その、三十分前くらいに親が寝るから」
「りょーかーい」
この後は魔王様と特に話すこともなく、時間は十時半を過ぎていた。
「おい。魔王様、そろそろ時間だからゲームやめろ」
「はいよ!」
丁度、キリがいいのか、魔王様はゲームをあっさりやめた。
「……お前、意外と早くやめたな」
「そうだぜ! よし、行くか!」
「いいけど……。親が寝始めたばかり……」
「その点は安心しろ!」
そう言うと、俺の体に手を当てる。
「うわっ……! と?!」
気が付けば、家の外まで出ていた。
「これくらいの距離ならワープ出来るぜ!」
「め、飯の力って、すげぇ……」
「俺の力だ!!」
そんなツッコミを聞いた後に歩き始める。そして、少しすると、校舎前まで、辿り着いた。
「門、閉まってるけど、ワープで中に入ろうか」
「そう……だな」
すると、魔王様は俺に手を触れる。気が付けば、体は校庭に立っていた。
そんな校庭から、見える景色は真っ暗な校内だった。
砦内に何だか似ている気がする。
「よし……。行くぞ!」
俺達は校舎裏まで向かい、詠唱を始める。
そして、調子の良い、魔王様は難無く詠唱を行い、不思議な感覚と共に教室内の光景が目に映る。
でも……。その景色はこの前と違った。
机が、もう一つ追加され、一輪の花は無くなっていた。
『……? ま、まぁ、気にすることは無いか』
『何がだ……? あー、あの机か。関係ないだろ。とりあえず、外に出るぞ!』
そう言いながら、扉を開ける。
そこも、この前とは違った。
『端っこの部屋』と、いうのは変わらないが、手前から、一部屋……。いや、二部屋前までの床から光が見えていた。
教室の隙間から光が見えているのだろう。
そして、もう一つ。
真っ黒で何も見えなかったはずの、外は夜空くらいの明るさになっていた。
『……何だか、少しだけ変わっているな』
『この前とは形状が違うかもしれないなら気を付けろよ……』
『何かあったら、お前に頼むよ。魔王様』
『おう! 任せとけ!』
と、小さい体ながらに胸を張る。
やっぱり、砦内の魔王様は頼り甲斐があるなー。と、関心しながら歩き始める。
光の差し込んでいる、部屋を覗くと、暗い影で出来たような人達が授業を行っていた。黒板にもしっかり字が書いてある。
それは、人だけを除けば、授業そのものだった。
『何だか、気持ち悪いな……』
『確かに。授業をしているのに、声は聞こえない。人は影。だしな……』
そんな奇妙な教室を二つ抜け、暗い廊下に入る。
『この前よりは、マシだけど……。暗いな』
『確かに……そうだな』
今回は、短くなっているのだろうか……。
そして、黙々と歩き続け、5分くらいが経った。
すると、光が見えてきた。
この前よりも確実に短くなっている。
だけど……。
『この前より、明らかに暗くなっているな』
『だな、明るさは収まっている。普通に先が見えるくらいだもんな』
トンネルを抜ける……。と、いうよりは少し明るいところへ行く。くらいの明るさだった。
そして、そこへ向かうと、やはり『図書室』だった。
が、この前に比べ、本棚からは少しの光が出ているだけで、金ピカな訳では無い。
どれくらい光っているのか、分かりやすく言うのなら、水滴が太陽に照らされるくらいだ。
だが、広さは相変わらずだ。
『こ、怖いよぉ……』
『この前みたいに、眩しくはないぞ?』
『そこは関係ない!』
やっぱり本なのか……。何があったんだよ。
『そ、そっか。じゃあ、魔王様はここで待機して見張っててくれよ』
『俺は、また探索してくるから』
『わ、分かったぜ』
少し、心配だが、部屋の探索を始める。
とりあえず見渡してみて、気になる本は無かった。
なので、この前と同じ。
闇に包まれた、本がある通路へ入る。
「あれ……どこだ? ……あった!」
その闇に包まれいた本を見つける。
この前より、黒さが無くなっていた。周りの明かりが少し収まったこともあるとは思うが。
黒、よりは……紺に近いような色。
触れても大丈夫な気がするが、何が起こるかは分からない。
とりあえず……。他の場所も見てみるか。
そう思い、俺は他の通路へと移動した。
探し始めて、何通路だったのかも思い出せない。
様々なジャンルがあるので、面白いことは面白いのだが……長すぎるだろ!
魔王様との距離もあるし……さすがに危険じゃないか?
そう思った、俺は、急いで引き返す。
数分すると、元の場所に戻ってくる。
『だいぶ、かかってたなぁ……』
念話で、その声が聞こえる。
魔王様は眠そうだった。まぁ、かなりの時間を暇にさせてしまったからな。
『ごめん。ごめん。思ったより長くてさ……』
まだ、通路はあったが、その事は黙っておこう。
伝えたところで意味は無さそうだしな。
そして、奥まで行って思ったことがある。
RPGのように進むのならば……。そこにある、紺色のオーラを纏った本。
これは絶対、鍵になってくる。
中の形状が変わっているのなら、本を触れた時の反応も変わっているはず。
そう思い、紺色のオーラを纏った本の所へ向かった……。
何故なら、本に触れてはいけない。と、しか言い切れないからだ。
「魔王様。作戦なんてものは特に無いよ」
「そっかー」
「家を出る時間は十一時頃。その、三十分前くらいに親が寝るから」
「りょーかーい」
この後は魔王様と特に話すこともなく、時間は十時半を過ぎていた。
「おい。魔王様、そろそろ時間だからゲームやめろ」
「はいよ!」
丁度、キリがいいのか、魔王様はゲームをあっさりやめた。
「……お前、意外と早くやめたな」
「そうだぜ! よし、行くか!」
「いいけど……。親が寝始めたばかり……」
「その点は安心しろ!」
そう言うと、俺の体に手を当てる。
「うわっ……! と?!」
気が付けば、家の外まで出ていた。
「これくらいの距離ならワープ出来るぜ!」
「め、飯の力って、すげぇ……」
「俺の力だ!!」
そんなツッコミを聞いた後に歩き始める。そして、少しすると、校舎前まで、辿り着いた。
「門、閉まってるけど、ワープで中に入ろうか」
「そう……だな」
すると、魔王様は俺に手を触れる。気が付けば、体は校庭に立っていた。
そんな校庭から、見える景色は真っ暗な校内だった。
砦内に何だか似ている気がする。
「よし……。行くぞ!」
俺達は校舎裏まで向かい、詠唱を始める。
そして、調子の良い、魔王様は難無く詠唱を行い、不思議な感覚と共に教室内の光景が目に映る。
でも……。その景色はこの前と違った。
机が、もう一つ追加され、一輪の花は無くなっていた。
『……? ま、まぁ、気にすることは無いか』
『何がだ……? あー、あの机か。関係ないだろ。とりあえず、外に出るぞ!』
そう言いながら、扉を開ける。
そこも、この前とは違った。
『端っこの部屋』と、いうのは変わらないが、手前から、一部屋……。いや、二部屋前までの床から光が見えていた。
教室の隙間から光が見えているのだろう。
そして、もう一つ。
真っ黒で何も見えなかったはずの、外は夜空くらいの明るさになっていた。
『……何だか、少しだけ変わっているな』
『この前とは形状が違うかもしれないなら気を付けろよ……』
『何かあったら、お前に頼むよ。魔王様』
『おう! 任せとけ!』
と、小さい体ながらに胸を張る。
やっぱり、砦内の魔王様は頼り甲斐があるなー。と、関心しながら歩き始める。
光の差し込んでいる、部屋を覗くと、暗い影で出来たような人達が授業を行っていた。黒板にもしっかり字が書いてある。
それは、人だけを除けば、授業そのものだった。
『何だか、気持ち悪いな……』
『確かに。授業をしているのに、声は聞こえない。人は影。だしな……』
そんな奇妙な教室を二つ抜け、暗い廊下に入る。
『この前よりは、マシだけど……。暗いな』
『確かに……そうだな』
今回は、短くなっているのだろうか……。
そして、黙々と歩き続け、5分くらいが経った。
すると、光が見えてきた。
この前よりも確実に短くなっている。
だけど……。
『この前より、明らかに暗くなっているな』
『だな、明るさは収まっている。普通に先が見えるくらいだもんな』
トンネルを抜ける……。と、いうよりは少し明るいところへ行く。くらいの明るさだった。
そして、そこへ向かうと、やはり『図書室』だった。
が、この前に比べ、本棚からは少しの光が出ているだけで、金ピカな訳では無い。
どれくらい光っているのか、分かりやすく言うのなら、水滴が太陽に照らされるくらいだ。
だが、広さは相変わらずだ。
『こ、怖いよぉ……』
『この前みたいに、眩しくはないぞ?』
『そこは関係ない!』
やっぱり本なのか……。何があったんだよ。
『そ、そっか。じゃあ、魔王様はここで待機して見張っててくれよ』
『俺は、また探索してくるから』
『わ、分かったぜ』
少し、心配だが、部屋の探索を始める。
とりあえず見渡してみて、気になる本は無かった。
なので、この前と同じ。
闇に包まれた、本がある通路へ入る。
「あれ……どこだ? ……あった!」
その闇に包まれいた本を見つける。
この前より、黒さが無くなっていた。周りの明かりが少し収まったこともあるとは思うが。
黒、よりは……紺に近いような色。
触れても大丈夫な気がするが、何が起こるかは分からない。
とりあえず……。他の場所も見てみるか。
そう思い、俺は他の通路へと移動した。
探し始めて、何通路だったのかも思い出せない。
様々なジャンルがあるので、面白いことは面白いのだが……長すぎるだろ!
魔王様との距離もあるし……さすがに危険じゃないか?
そう思った、俺は、急いで引き返す。
数分すると、元の場所に戻ってくる。
『だいぶ、かかってたなぁ……』
念話で、その声が聞こえる。
魔王様は眠そうだった。まぁ、かなりの時間を暇にさせてしまったからな。
『ごめん。ごめん。思ったより長くてさ……』
まだ、通路はあったが、その事は黙っておこう。
伝えたところで意味は無さそうだしな。
そして、奥まで行って思ったことがある。
RPGのように進むのならば……。そこにある、紺色のオーラを纏った本。
これは絶対、鍵になってくる。
中の形状が変わっているのなら、本を触れた時の反応も変わっているはず。
そう思い、紺色のオーラを纏った本の所へ向かった……。
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