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第三章 迫り来る命の終わり

第6話 雷奈の異変

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 蛇口じゃぐちから流れ落ちる湯がシャワールームの床に跳ね返って湯気ゆげを立てる。
 雷奈らいなは水圧の高いシャワーを頭から浴びた。
 疲れた体に熱いシャワーが心地良かった。
 頭の中には響詩郎きょうしろうが自分をかばって敵に刺されたときのことが繰り返し思い返される。

響詩郎きょうしろう。どうして私をかばって……弱いくせに。馬鹿)

 バスハウスに戻ってきたとき、響詩郎きょうしろうが眠っていると聞いて思わずホッとしてしまった自分をあざ笑いながら雷奈らいなはポツリと声をらした。

「……弱いのは私だ」

 あれから響詩郎きょうしろうをどんな顔で見て何と声をかけたらいいのか分からず、雷奈らいなはずっと居心地の悪い思いをしてきた。
 そんな自分が嫌いだった。
 雷奈らいなれた髪をかき上げながら深く息を吐いた。
 いまだ違和感の消えない下腹部を手でさする。
 その時だった。

「うっ!」

 ふいに胃からこみ上げてくる吐き気に襲われ、雷奈らいなは息を止めた。
 吐き気を我慢できず雷奈らいなは口元を手で押さえてしゃがみ込む。

「ううっ……」

 シャワールームの床に手をついてしばらく吐き気に耐えていると、やがてそれは治まった。

「はぁ……はぁ……疲れてるのかしら」

 短く息を整えながらそう言うと、雷奈らいなはシャワーを早々に切り上げた。
 吐き気は治まったものの、腹部の違和感は徐々に強くなっていた。
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