19 / 71
第二章 陰謀のしっぽ
第4話 三者三様 悪党どもの集い
しおりを挟む
人気の絶えた夜の湾岸地帯の倉庫街に3つの影が佇んでいた。
「おい。サバド。ヒミカの姉御には今夜中なんて気前のいいこと言ったが、本当に集められるのか?」
サバドと呼ばれたつり目で白い体毛を持つイタチのような小柄な妖魔にそう疑問を呈したのは、彼の仲間である茶色い毛並みでクマに似た巨体の妖魔・フリッガーだった。
現在、彼らには雇い主である薬王院ヒミカの指示により生贄となる妖魔を集める仕事が課せられていた。
フリッガーの疑心の眼差しを受けたサバドは鼻を鳴らしてそれに答える。
「フン。心配には及ばん。今夜は潜伏中の密航者どもの集会があるだろ? 国内の在庫で対応するって姉御に言ったのはそういうことだ」
サバドの言葉に得心したフリッガーはニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべた。
「なるほど。そいつはなかなかいい見世物になりそうだな。なあヨンス?」
彼らの背後にはヨンスと呼ばれる3人目の男が立っていた。
真っ黒な毛並みを持つカラスの妖魔・ヨンスはフリッガーの問いかけには答えず、うつむいたまま黙ってただ立ち尽くしていた。
そんな仲間の様子にフリッガーは肩をすくめてサバドに目配せをする。
「チッ。陰気な野郎だぜ」
サバドは舌打ちをしながらも、連れのそんな様子を楽しむように口の端を吊り上げた。
「とにかく先に集会場に向かおう。万が一エサを集められなかったらヒミカの姉御に殺されちまうぞ」
そう言うとサバドは他の二人と共に足早に目的地へと向かうのだった。
「おい。サバド。ヒミカの姉御には今夜中なんて気前のいいこと言ったが、本当に集められるのか?」
サバドと呼ばれたつり目で白い体毛を持つイタチのような小柄な妖魔にそう疑問を呈したのは、彼の仲間である茶色い毛並みでクマに似た巨体の妖魔・フリッガーだった。
現在、彼らには雇い主である薬王院ヒミカの指示により生贄となる妖魔を集める仕事が課せられていた。
フリッガーの疑心の眼差しを受けたサバドは鼻を鳴らしてそれに答える。
「フン。心配には及ばん。今夜は潜伏中の密航者どもの集会があるだろ? 国内の在庫で対応するって姉御に言ったのはそういうことだ」
サバドの言葉に得心したフリッガーはニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべた。
「なるほど。そいつはなかなかいい見世物になりそうだな。なあヨンス?」
彼らの背後にはヨンスと呼ばれる3人目の男が立っていた。
真っ黒な毛並みを持つカラスの妖魔・ヨンスはフリッガーの問いかけには答えず、うつむいたまま黙ってただ立ち尽くしていた。
そんな仲間の様子にフリッガーは肩をすくめてサバドに目配せをする。
「チッ。陰気な野郎だぜ」
サバドは舌打ちをしながらも、連れのそんな様子を楽しむように口の端を吊り上げた。
「とにかく先に集会場に向かおう。万が一エサを集められなかったらヒミカの姉御に殺されちまうぞ」
そう言うとサバドは他の二人と共に足早に目的地へと向かうのだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる