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第101話
しおりを挟む『まずひとつ目!』
1つ目ってことは、変更が複数あるということだ。もうその時点で全く微妙に変更と言えない。
あの人は微妙という言葉を辞書で引き直した方が良いと思う。
『今のルールだと“飼い主”は“動物”を一匹しか捕まえられないよねー?でもそれだと鬼ごっこっぽくないってことで!ドドンっ!!!“飼い主”は複数匹捕獲出来るようになりまーす!!紗霧くんは娯楽が増えるから嬉しいよwww捕獲証拠となる尻尾は、今から教師が配って周る簡易リュックに入れて持ち歩くことになるよー!因みにー、首輪は捕獲した“動物”の中でペアになりたいコに装着してね☆“動物”に拒否権は無いんだおwwwハハハッ、かっわいそーww…あ、そうそう!!リュックの色は腕輪&首輪と同じ色だからズルは出来ないよ!』
このように変更するということはつまり、“飼い主”側のご褒美を与える条件をも変更しなければいけないということ。
人数はそのままでいいだろうが、この条件だと早く戻った順でなく多く捕まえた順に変更した方が無難だろう。
また、捕獲された“動物”は1人で会場へ戻らなくてはならないということにもなる。そうなると、未遂も合わせた強姦又は制裁被害発生数が現段階よりも増加してしまう。
それを防ぐ為に見回りの風紀動員数を限界まで増やし、獣耳や腕輪に埋め込まれたGPSを駆使して捕まった弱い“動物”を会場まで護送した方が良いだろうな。
だが、風紀だけでは人数はどう足掻いても足りないだろうし…護送人員には教師も使うか。それでも足りなければ、俺も“飼い主”兼護送役の二足わらじを履かなくてはな。
となると、放送部部長と情報通な新聞部とも連携を取った方が良いか。新聞部にやる報酬は……面倒だが俺が後日取材を受ける事で何とかなるだろ。普段は絶対に受けないし、アイツらなら必ず食い付くはずだ。
ここまでの事を僅か数秒で構築しながら、『お次はふたつ目ー!』とノリに乗った声から発せられる言葉に耳を傾ける。
念の為周囲を見渡すが、やはり人っ子一人見当たらない。
ついでに校舎内に侵入するような生徒もいなさそうだし、そろそろここを離れるか。
『まあ、賢い人ならもう分かってると思うけどー、このルールになっちゃうと“飼い主”のご褒美を貰える条件が今のままだと成り立たないんだよねーwwってことで!!“動物”をたくさん捕獲したコから上位10人に変更されまーす!』
まぁ、それはそうか。
というか、次はってことはまだ3つ目があるのか。
本当、微妙のびの字の面影すら全く無いな。
こうなればあの場所へ行って過ごす暇など無いなと思いながら、とりあえず人の居そうな場所を目指してようやく歩き始めた。
『最後のみっつ目はー、…“動物”のコたちにろーほーだぁ!!なんとなんと!!!!“飼い主”側である生徒会役員さんたちをキミらは捕まえることが出来るよーになるよ!!役員さんたちを捕まえたコは“飼い主”に捕まる恐れが無くなるから、その時点でごほーびを貰えることが確定しちゃう!!生徒会役員さんたちにとっては災難だけどー、面白いことが大っ好きな紗霧くんと、“動物”のコたちにとっては最高だね☆』
つまり狩る側が狩られる側にもなるということだ。
確かに、俺達にとっては最悪でしかないな。
…だが、考えようと相手によってはwin-winになるかもしれない。
捕まれば俺は“動物”を捕獲するという責務から解放され、護衛と見回りに専念出来る。
相手はこれ以上“飼い主”から逃げ回る必要が無くなり、ご褒美を確実に獲得することが出来る。
問題は、俺にとって都合の良い“動物”と遭遇できるかどうかだ。誰か丁度良い知り合いで“動物”側の人間はいただろうか?
『…ん?紗霧くん何か言い忘れてるよーな……あ、そうだった!!役員さんたちを捕まえるには、彼らの下げてる首輪を奪う必要があるからねー!因みにキミらの尻尾は、捕まえた役員さんに渡しとく必要があるから気を付けてねー。ということで、これで今回の放送を終わりまーすwwみんな精々頑張ってねーwww』
ピン、ポン、パン、ポーン……
「(首輪か…)」
赤いソレを摘み上げ、ブラブラと意味も無く揺らす。
地面の緑とほぼ反対の色なため、ソレの赤色が異様に浮いて見えた。
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