37 / 118
第31話
しおりを挟む放課後。
鬼門である数学もなんとか乗り越え、双子と慶と一緒に生徒会室で書類やデータを処理していた。
何故なら早く会長達に例の報告をしようと思って速足で来たが、まだホームルームが終わっていないのか、3年組はいなかったからだ。
早く来てくれ…
でないと、あと30分ぐらいで楓の集中力が切れそうだ。奏と慶はもってそれぞれあと40分と60分ぐらいだろう。
「すいません、遅くなりました」
「双子が自主的に仕事している、だと!」
少しして、副会長が会長を引きずってやって来た。
会長が副会長に引きずって連れてこられるのは10回に3回はある光景だからに別にいいとして。
会長、開口1番で言うのがそれか。双子がきちんと仕事をしていたのがどれだけ衝撃的だったんだよ。
「あ、やっと来た~!会長達に報告しないといけないことがあるからぁ、早く来て待ってたんだよぉ」
「そうだったのですね」
「「僕達も早く来て待ってたんだよー!!」」
「ん……そ、で…真琴、ほ、こく…何?…」
「へぇ、一体何だ?」
双子は大きな黒目をきらきらさせて、慶はきょとんとして、副会長は静かに促し、会長は椅子に偉そうに座って、俺が話すのを待っている。
「え~とねぇ、早ければ明日、遅くとも来週までに転入生が来るんだって~。だから、その迎えを俺達の誰かがしないといけないらしいよぉ」
「明日って早すぎませんか?!そんなの聞いてませんよ!?」
「おい、俺様もそんなこと聞いてねぇが」
「だってぇ、俺も今日の昼休憩時間に初めて聞いたんだよぉ」
「因みにそれは誰からだ」
あー…会長と委員長ってまさに水に油な関係だから言いづらい。でも、言わないと後から余計面倒な事態になりそうだし。
「あ~……委員長だよ~」
「チッ…アイツか。なんでアイツが知ってて俺様が知らねぇんだ」
「それこそ知りませんよ」
委員長という単語を聞いた途端、機嫌を急降下させた会長が零した言葉に副会長が至って冷静にツッコんだ。やっぱり副会長強い。
「「ねぇねぇマコちゃん!!」」
「ん?どうしたの~?」
「転入生はなんで今来るの?」
「新学年は1週間前に始まったばかりだよー!」
「そ、と……て…にゅ、せ……誰…?」
奏が先に聞いてくるのは珍しいな。普段は兄の楓からなのに。
でもまぁ確かに、まだ言ってなかったな。
慶は質問ありがとう。慶が言わなかったら基本情報言うの忘れたままだったよ。
「転入生の名前は柳瀬春人、1年生だよ~。編入試験はいくつか満点らしいよ~、すごいよねぇ。で、なんで今なのかというとぉ、前の学校で問題を起こして退学になったからなんだってぇ!」
「何故んな奴がうちの学園に入れたんだよ」
「やっぱりそこが気になるよねぇ!実はねぇ…なんと、転入生クンは理事長の甥なんだよ~。弟夫婦がこの学園に編入させろって、理事長に迫ったんだってさぁ~」
それを聞いて会長と副会長は見るからに引いた感じになった。会長なんて「理事長も苦労してんだな…」とか明らかに同情した口ぶりだし。
まぁ気持ちは分かるけど。
「うわー」
「なんか」
「「すっごく楽しく(面倒に)なりそうだね!……え?」」
35
お気に入りに追加
405
あなたにおすすめの小説
偽物アルファは何を想う
緋影 ナヅキ
BL
多分短編です。
作者の気が向いた時に書くので、一生完結しない可能性があります。それでも良ければ…
共学設定ですが、王道学園味があります。
腐ァンタジーにする予定だったのですがね…
PS.オメガバなのに、オメガバ要素が活かせてないです。
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
“孤蝶”雑多ログ
緋影 ナヅキ
BL
エブリスタにて、スター特典として出しているものの集合体です。
読まなくともなんら支障はありません。
更新をスター特典に出した順にするので、章の上下が入れ替わる事があります。ご了承下さい。
♢内容♢
【登場人物設定集】※随時更新
【華織学園案内紙】
【真琴の春休み(1年)】※未完
【ロイヤル3人組、とある日の会話】
【没話集】
【腐男子ズと騎士クンのカオスな休日】※一応完結済
*表紙は したののキャラメーカー で作成したものを加工して作者が作ったものです。つまり、ある意味二次創作です(多分違う)
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。
会長の親衛隊隊長になったので一生懸命猫を被ろうと思います。
かしあ
BL
「きゃー会長様今日も素敵ですね♪(お前はいつになったら彼氏を作るんだバ会長)」
「あ、副会長様今日もいい笑顔ですね(気持ち悪い笑顔向ける暇あんなら親衛隊の子達とイチャコラしろよ、見に行くから)」
気づいたら会長の親衛隊隊長になっていたので、生徒会に嫌われる為に猫を被りながら生活しているのに非王道な生徒会の中にいる非王道な会長に絡まれる腐男子のお話。
会長×会長の親衛隊隊長のお話です。
※題名、小説内容も少し変更しております。
生徒会長親衛隊長を辞めたい!
佳奈
BL
私立黎明学園という全寮制男子校に通っている鮎川頼は幼なじみの生徒会長の親衛隊長をしている。
その役職により頼は全校生徒から嫌われていたがなんだかんだ平和に過ごしていた。
しかし季節外れの転校生の出現により大混乱発生
面倒事には関わりたくないけどいろんなことに巻き込まれてしまう嫌われ親衛隊長の総愛され物語!
嫌われ要素は少なめです。タイトル回収まで気持ち長いかもしれません。
一旦考えているところまで不定期更新です。ちょくちょく手直ししながら更新したいと思います。
*王道学園の設定を使用してるため設定や名称などが被りますが他作品などとは関係ありません。全てフィクションです。
素人の文のため暖かい目で見ていただけると幸いです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる