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第28話

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 ふと目が覚めた。
 アラームはまだ鳴っていない。

 ポケットに入れていたスマホを取り出して時間を確認すると、大体40分は経っていた。

 あと20分は寝れたのに……何故起きたんだ。
 少し寝ぼけた頭でそう思う。


 〘流ッ石主人格サマ。ボクに言われる前に起きたね〙

 銀蝶がそう言ったのを聞いたと同時に、誰かがこちらへ近づいてくる気配がした。あぁ、だから目が覚めたのか。

 木々の茂みの隙間からそっと覗う。

 よく見ると、その人物は背の高い黒髪の生徒だと分かった。
 風紀委員会に所属していることを示す、白の腕章を右腕に着けている。普通は黒色で誇りと正義を表す椿と竜胆りんどうの模様が刺繍されているのだが、この生徒のは金色でそれが刺繍されていた。

 これを着けられるのは、この学園で1人しかいない。
 神無月かんなづきあおい─会長と大変仲が悪く、俺達の1つ年上である風紀委員長だ。


 この人とはこの学園で初めて会ったはずなのだが、当初から色々とかまってもらっていた。始めは世話好きな人なのかと思って納得していたが、接しているとすぐにそうではないことに気づいた。

 そういうのはどちらかと言うと、委員長達と同年で風紀副委員長である長月ながつき朔夜さくやの方だ。あの人は根っからのお兄ちゃん気質を持っている。

 だから、気になったかつての俺は一度だけ、委員長に“何故俺にかまってくれるのか”と聞いたことがある。
 しかし、委員長はどこか悲しそうな表情をしただけで、質問には答えてくれなかった。

 その理由は今でも分からない。



 閑話休題。



 さて、どうしたものか。

 確実にこちらへと近づいてくる委員長を横目に見ながら、“出ていくか”それとも“気づかれないうちに退散するか”のどちらを選ぼうか考える。

 ……うん、よし。バレた時がキャラ的にあれだし、自分から出ていった方がいいか。


 委員長はこんな所まで見回りをしているのか、時々立ち止まって植物の間を見ている。

 このベンチの所にいたことがバレてしまえば、安心できる場所がなくなってしまうので、委員長が向こう側を見たらすぐに出て行くことにした。

 ……………よし、今だっ!


 音をたてず、静かに目標地点へと走る。
 一応、ここに来た時から気配は消しているので、それ気配で気付かれることはない。

 ちらっと委員長を見ると、もうすぐでこちら側に向き直りそうだったが、ぎりぎりで間に合った。息は上がっていない。




「あれぇ?委員長じゃ~ん」

 ヘラリと、何食わぬ顔で笑顔を浮かべながらそう声を上げ、マイペースに歩いてあちらへ向かった。











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